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SPECIALインタビュー

佐々部監督×桐山漣 映画『群青色の、とおり道』
群馬県太田市の人たちの宝物になるような映画を作りたい

 

 誰もが心の中に持っている故郷の風景を舞台にした青春映画『群青色の、とおり道』。群馬県太田市が、ヒューマンドラマの名匠・佐々部清監督を迎えて、地域のPR映画とは一線を画すエンターテインメント作品を完成させた。

その全国公開を記念して、佐々部監督と主演の桐山漣さんにインタビュー。ロケ地について、撮影中のエピソードについて、お話を伺いました。

 

佐々部清 桐山漣01

 

■事前にロケ地へ行って、役作りの参考にした

―舞台となった太田市の第一印象はどうでしたか?

佐々部監督(以下:佐々部):最初は何もないところだなあ、と(笑)。でも、映画作りにおいては観光名所がいっぱいあってもしょうがない。人間ドラマさえ描けていれば、背景は付いてくるものだと思っていますから。

桐山漣(以下:桐山):実は撮影前に一度行ってみたんですよ、プライベートで。意外と近いんですよね。東京から車で2時間くらいでした。なのに、空が広くて緑がいっぱいあって…。気持ちいいところだなあと思いました。

佐々部:でも、不審者扱いされちゃったんだよね?(笑)

桐山:あやうく(笑)。ロケ地の近くに車を停めて、主人公はここで育ったんだな、と思いながら土手をウロウロ歩いていたら、周辺の人に「怪しいヤツがいる」と思われたみたいで(笑)。普段はあまり散歩している人とかいないみたいなんですよ。でも、その後映画関係の人だとわかってもらえて事なきを得ました(笑)。

 

 ロケ地に行くというのは役作りの参考になるのですか?

桐山:そうですね。事前にできる限り準備をしておきたいというのもありますが、特に今回は10年振りに故郷に帰ってきて…というのが物語のスタートなので、台本を読んだ時にパッと地元の風景が出てくるようじゃないといけないなって思ったんです。

 

 

■自然体の桐山漣を撮りたかった

― 役作りにおいて、監督がアドバイスしたことはありますか?

佐々部:何にもしていないですね。自然体の桐山漣がいてくれればいいと思っていたんで。逆に「髪にメッシュ入れていいですか」とか、桐山くんから提案してきてくれたよね。

桐山:そうですね。ミュージシャンぽい要素を入れたいな、と。

 

―作中では、妹にメッシュをダメ出しされてましたけど(笑)

桐山:もともと台本にはなかったんですよ(笑)。現場で監督がセリフを変えてくださって。そういうなにげないセリフの積み重ねが、作品の深みを増すんだなと勉強になりました。

佐々部:現場を見ていると、もうちょっとおもしろくするためにはどうすればいいかって、いろいろ試したくなってくるんですよ。主人公が酒に酔って小学校のポールに昇っちゃうシーンも、台本にはないもんね。前日に急に思いついたんですよ、あそこに昇ろうって(笑)。

桐山:初日だったんですよ、そのシーン。いきなり監督が「漣、服脱いで、そこ昇ろう」って(笑)。まさかそんな撮影になるとは思ってなかったんで「えっ、そうなんですか」って(笑)。でも後になって、ただ酒に酔っているだけじゃなく、ポールに昇ることで主人公の憤りを表現できると気付きました。

 

 

■町の人の協力体制に、心を鷲掴みにされました

―撮影はわずか9日間だったそうですね。

桐山:スカッと晴れる日がほとんどなかったですね。

佐々部:どこかに究極の雨男がいる…。

桐山:ココにいる僕ですね(笑)。クライマックスのライブシーンでも、ワンコーラスを撮ったら雨が降ってきて、撮影が中断してしまいました。道路封鎖していたから使える時間が限られていて…、あの時はギリギリでしたよね。

佐々部:道路封鎖解除まであと15分というところで雨が止んで、無事撮影することができたんです。

桐山:雨の中、たくさんのエキストラの方々がずっと帰らずテントの中で待っていてくれたのが本当に嬉しくて。心を鷲掴みにされました。街の人の、映画作りに協力しようというあったかい気持ちを強く感じましたね。

 

―太田市の名物・ねぷた祭りはいかがでした?

桐山:他のキャストの皆さんは祭りを楽しむ時間があったみたいんなんですが、僕はほとんどなくて。升さんや希妃ちゃんはお祭りの1日目に、山車に乗せてもらったらしいんですよ。ズルイ!って(笑)

佐々部:桐山くんはずっと出ずっぱりだからね。

桐山:でも、2日目にお願いしてみたら僕も乗せてもらえて(笑)。いい思い出になりました!

 

佐々部清 桐山漣02

 

 

■観てくれた人の宝物になる映画になれば

― 地域に根ざした作品ということで、街の人と一緒に映画作りをされるというのはいかがでしたか?

桐山:監督が、一番最初に「太田の人たちの宝物になるような映画を作りたい」とおっしゃっていたのがずっと心に残っていて。それを念頭に撮影に挑みました。スタッフだけじゃなく、地域の人も加わって、みんなでひとつのモノを作り上げる楽しさを味わうことができて、普段の作品ではできない経験をさせてもらえたなと思っています。とにかく、いろんな人の流した汗がギュッと凝縮された9日間でした。太田市に留まらず、観てくださった人の宝物になる映画になればいいなと思っています。

佐々部:半年かけて撮る映画だろうと、9日間で撮る映画だろうと、撮影中の熱量が観客に伝わればいい。桐山くんも僕も、自分がやれることを精一杯やって、それはスクリーンに表れていると思います。すでに群馬では先行公開されていますが、すでに何度も観たという人が感想をよせてくれているんですよ。リピーターが多いというのは、この映画に力があるってことだと嬉しく思っています。

 

 

■ロケ地検索サイト<ロケなび!>でも佐々部清監督のインタビューを掲載中!

映画『群青色の、とおり道』のほか、映画監督として目指すことや
スタッフに求めることなどを語っていただきました。
http://locationjapan.net/interview_di/sasabe-kiyoshi/

 

佐々部 清(ささべ・きよし)
1958年、山口県下関市生まれ。フリーの助監督を経て、2002年『陽はまた昇る』で監督デビュー。『チルソクの夏』(03)、『半落ち』(04)で日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞。その他の作品に『出口のない海』(06)、『夕凪の街 桜の国』(07)、『ツレがうつになりまして。』(11)、『六月燈の三姉妹』(14)など多数。

桐山 漣(きりやま・れん)
1985年、神奈川県生まれ。2009年『仮面ライダーW』の主演を射止める。映画出演作に『吉祥寺の朝日奈くん』(11)、『東京闇虫』(13)、『L♡DK』(14)など。2015年には『呪怨−ザ・ファイナル−』に出演のほか、8/22より『東京PRウーマン』の公開が控える。7/16よりNHK木曜時代劇『まんまこと~麻之助裁定帳』が放送スタート。

 

佐々部監督×桐山漣 映画『群青色の、とおり道』
群馬県太田市の人たちの宝物になるような映画を作りたい

監督:佐々部清
脚本:橋本剛実、佐々部清
出演:桐山漣、升毅、杉野希妃、安田聖愛、伊嵜充則、井上順、宮崎美子 ほか
ユーロスペースほか全国順次ロードショー中
©「群青色の、とおり道」製作委員会、太田市

 

STORY
ミュージシャンをめざし、勘当同然で上京した佳幸(桐山漣)。10年たったある日、父親からある知らせを受けた彼は、ギターと共に複雑な思いを抱えて帰郷する。そこには、昔と変わらず陽気な母・明子(宮崎美子)、高校生になった妹・幸恵(安田聖愛)、厳格さが影を潜めた父・年男(升毅)、小学校の教師となった同級生・唯香(杉野希妃)たちの姿があった。生まれ育った街で故郷の人々の思いに触れた佳幸は、自分自身、そして10年間完成させられなかった曲に向き合っていく…。

 

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