ホーム > ニュース

ニュース

2019.11.15

「権利処理」の駆け込み部屋 VOL.16

権利処理アイキャッチ

ロケーションジャパンの人気連載、「権利処理」の駆け込み部屋をWEBで一挙公開!「撮影風景を写真で撮ってもいいの?」「お店の宣伝に使ってもいいの?」など、ロケの受け入れを行う自治体担当者やお店などから届く「権利処理」の疑問に対して、田中康之さんと國松崇さんが回答してくださいます!

 

Q.1
私の町は観光地で情報番組や旅番組、バラエティー番組の撮影がよく行われます。番組の実績をSNSなどで紹介したいので制作側に申請すると「シーン写真はない」、「ロゴも使えない」との返答が多いです。映画やドラマの場合はきちんと対応してもらえるのですが、情報番組は宣伝担当者の動き方が異なりますか?
Q.2
プロデューサーと情報解禁日の約束をしましたが、スタッフの一人が誤って解禁日前にキャスト情報をSNSで発信してしまいました。その場合、起こり得る法律的な問題を教えて下さい。(自治体と制作で契約書を交わしている場合は少ない)

 

A

田中:テレビ局は各局独自に番組編成で「ニュース」「情報・バラエティー」「ドラマ・映画」「スポーツ」等と分類していますが、著作権法上は番組の区別はなく「権利処理」も番組分類による区別はありません。

 

國松:著作権法では、テレビ番組は「映画の著作物」という分類に入ります(著作権法第10条第1項第7号)。「映画」というと映画館でみる映画を思い浮かべるかも知れませんが「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現されているもの」を含むという定めがされており、テレビ番組を含むいわゆる映像コンテンツがすべて含まれます。

 

田中:各番組には宣伝担当者がいますが、宣伝プロデューサーとして番組に深く関わるのは、確かに「ドラマ」です。動きが異なるように見えるのは、帯番組(月~金)や番組内の情報量が多過ぎて対応が後手に回っているのかも知れません。また、番組側の意向で取材内容や放送内容が大幅に変わることが多く、宣伝担当者もフォロー出来ない場合もあります。

 

國松:ドラマや映画は「映像作品」であり、後にビデオグラム化や配信などの二次利用が行われることから、より「商品性」が強いコンテンツと言えます。一方で、特に朝や昼の帯番組などは、視聴者への情報伝達を目的とし、ドラマなどと比べると、それ自体の「商品性」はあまり強くないものです。基本的に二次利用等されることもありません。そういうコンテンツの性格の違いが、マーケティング手法の差異に繋がっているのかも知れませんね。帯番組は各世帯の視聴習慣や定着度に結び付くような、ある程度長期的な目線でのマーケティングにも目を配らなければいけませんから。

 

田中:情報・バラエティーの場合には、番組制作側と「事前確認書」の時点で予め必要な要望事項を伝えて承諾を得ると同時に準備手配をしてもらうことをお勧めします。また、受け取り期日を設けることも有効だと思います。
次に、情報解禁日前にキャスト情報等の出してはいけない情報を誤ってSNSで発信したことについては、意図的(故意)であっても、知らなかった・勘違い(過失)であっても結果は同じです。プロデューサーとの信頼関係は一瞬にして崩れるでしょう。

 

國松:法律的な観点から言っても,契約書などに明記されていればもちろんですし,口約束でも契約は成立しますから,「解禁日まで情報を発信してはいけない」という条件に違反すれば,契約違反ということにはなってしまいます。その結果,契約違反を理由に契約を解除されてしまうおそれがあり,そのときは,例えばその契約によって使用許可を受けている「シーン写真」は使えなくなりますし,場合によっては損害賠償などの請求を受ける可能性がないとはいえません。皆さんが思っている以上に,制作サイドにとって公開前の情報管理は重要だということを忘れないようにしましょう。

 

田中:実際、プロデューサーになる人は、しっかりリスク予防をして、すべての情報を伝えることは避けると思いますが、テレビ情報誌や社外向けに取り決めている期日を反故にされると、すべての規律が乱れますので避けたいですね。

 

國松:そうですね。作品にとってどんな情報がどんな意味を持つか,といったところは,ロケーションを受け入れる側には当然分からない部分も多いです。ここは安易に判断せず,逐一制作サイドに確認するなどの丁寧な作業を心掛けた方がよいかと思います。情報管理がしっかりしているという点は,そうでないところと比べて,制作サイドも安心して仕事ができますから,そうした信頼関係が次のロケーションを呼び込むきっかけにも繋がるかも知れません。

 

田中:予防策としては、すべてのことに言えるのですが、約束したことをカレンダー上に文字情報として書き出して明確にすることと、地域の担当者もプロデューサーと同様に、リスク要望策を取って必要でない情報は限定するなどの仕分けをお勧めします。必要以上の情報制限は、ミスコミュニケーションを起こしますので注意が必要ですが、時には墓場まで持っていく情報もあることを心得ておいてください。

 

 

■回答者プロフィール
権利処理_20190912_01 (1)

 

 

■この連載が掲載されているバックナンバーの購入はこちら

LJ96 H1特小 

この記事をシェアする

©Location Japan. All rights reserve