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■エンタメ
2020.05.22

ウィズコロナで映画館は変わる?映画館の今とこれから

4月7日に新型コロナウィルス感染拡大防止の為緊急事態宣言が発令され、全国で自粛要請が出されてひと月以上が経過している。先日39都道府県は解除されたが、8都道府県は今なお解除されておらず、引き続きの自粛が求められている。

エンターテインメント業界もこの流れを汲み、多くのイベント、制作等が自粛となり、映画業界も休館になったため、新作の上映ができないという大きな影響を受けている。

毎年5月のGWに劇場版が上映され注目される『名探偵コナン』シリーズや司馬遼太郎の名作を映画化した『燃えよ剣』(監督:原田眞人、出演者:岡田准一、柴咲コウ、鈴木亮平ほか)など話題作を含め、多くの映画が延期となった。

 

■自粛の中、映画業界が「ファンに届けるために」

そのような状況の中で、何とかしてファンに作品と届けようと模索する作品もある。

例えば、3月6日(金)に劇場公開した映画『Fukushima 50』が、映画館休止に伴い、有料ストリーミング配信が決定したのは異例のことだ。アマゾン・プライム・ビデオなど複数のサービスで配信が決定され、料金は劇場のチケット代と同じ1,900円で、あくまで「事態の収束まで」という期限を設けている。これは「ステイホーム 今だけおうち映画館」というプロジェクトの一つで、興行の機会を失われた公開中の作品や公開終了後まもない作品を、通常よりも早いタイミングで動画配信を開始し、より多くの方に自宅で新作映画を楽しんでもらい、その収益の一部を映画業界に還元するために実施された。

また、映画『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督はスタッフや俳優が短編映画『カメラを止めるな!リモート大作戦!』をリモートで制作し、YouTubeでお披露目。作品の内容は、外出自粛中の映像ディレクターにプロデューサーから「今月中にドラマを作れ」という無理な発注が入り…、とまさに世相を反映した設定だ。監督はその制作風景の一部もツイッターで公開し、話題となった。実はこの動きは、この映画の特典映像をクラウドファンディング「ミニシアター・エイド基金」の特典として提供され、経営危機に瀕している映画館を救おうという動きでもあった。

 

■各映画館が休館の中、再開後の動きを模索

休業した映画館も、休業中でも何とか動けることはないかと模索している劇場が多い。例えば、ディノスシネマズ旭川は「車で楽しむ映画館」として駐車場を利用した「ドライブイン・シアター」を5月9日に開催。映画館の入った施設が全店臨時休業となったことで実現可能となった企画だった。当日は約60台が並び家族連れやカップルがポップコーン片手に、施設の壁を活用した迫力満点の大きさのスクリーン(縦7メートル、横12メートル)で楽しんだ。また、ヒューマックスシネマは4月10日から『BACK TO HUMAX映画館で待ってるよ!』キャンペーンをオンラインで実施。映画や映画館のエピソードを募集し、投稿を紹介するなどできることで映画館を盛り上げている。チケット販売(現在は終了)や、グッズ販売をして、少しでも多くの方にまた映画館に足を運んでもらえるよう働きかけている。今後もオンラインで映画ファンを盛り上げるキャンペーンを実施していくとのこと。

このように、映画公開延期に加え制作中止に追い込まれる作品も多い中、工夫を凝らして努力を続けている映像クリエイターや劇場がある。

 

5月14日に39県では緊急事態宣言も解け、映画館再開のニュースも見られるようになってきた。それでも3密を避けるため、各映画館では席を離し、席数を減らしたチケットの販売や消毒・換気の徹底、来館時のマスク着用のお願いなどの感染防止の対策に余念がない。当面は、来場者も劇場が提示するルールを厳守の上で、映画を楽しむことが求められそうだ。そういった中で映画館が映画ファンを楽しませるためにできることは何か、模索しながらさまざまな施策がなされていくだろう。それは私たちにとって今までと違った楽しみ方が増えるということだ。これから映画館の動向は見逃せない。

 

 

(ロケーションジャパン)

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