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2015.04.10

本物が“嘘”を補強?! 映画『ソロモンの偽証 後篇・裁判』公開!

 宮部みゆきの原作を、『八日目の蟬』の成島出監督が映画化したヒューマンミステリー大作『ソロモンの偽証』。公開中の「前篇・事件」に続き、いよいよ4月11日からは「後篇・裁判」が公開。ついにすべての真相が明らかになる――。

 

 

 映画はクリスマスに起こった同級生の不可解な死の謎を、生徒たちが自ら「校内裁判」を開廷して解き明かしていく様を描く。前篇では主演の藤野涼子(本作の役名である藤野涼子を芸名としてデビュー)ら中学生たちが、真実を追求せず保身に走る教師や大人たちに対して立ち上がり、自身の手で真実を明らかにしようと決意。そして迎える後篇では、ついに子どもによる子どもだけの法廷が夏休みの体育館で開廷。様々な思惑といくつもの“嘘”が絡みあう中、真相究明のために生徒たちが奔走する。

 

 前篇を観た観客から「今すぐ観たい!」と、圧倒的に後篇を渇望する感想の声が湧き上がった本作。原作を読んであらすじを知っている、ネタバレな人をも惹きつける魅力のひとつは、主役である14歳という多感な時期を生きる中学生たちだ。全国規模のオーディションで1万人の中から選ばれた、演技経験のないキャストを含む33人の精鋭は、役が決まる前に2ヶ月に及ぶ長期間ワークショップを行うなど異例の取り組みを経て決定された。

「お互いを本名で呼ぶのは禁止。セリフがうまく出てこないのは、役になりきってないからだと全員を追いつめました。ほぼ素人の子たちが主役を張って、前代未聞の校内裁判をやる。こっちとしても大ギャンブルですから、命がけです」(成島監督)

あちこちで「できない自分」に悔し泣きするキャストも続出したが、その苦しみの共有はクライマックスの校内裁判にむかっていく生徒たちに見事にシンクロ! 役をそのまま“生きた”彼らの真摯な姿こそ、映画『ソロモンの偽証』の最大の観どころだ。

 

 メインの撮影は彼らが夏休みの時期に集中的に行われた。そのため、事件が起きたクリスマス前後の降雪場面も、実は炎天下の真夏に撮影されている。前篇冒頭の涼子と野田(前田航基)が雪の通学路を歩くシーンは、舞台となった東京下町の雪景色に後から合成、校門のシーンは塩で作った雪を美術部が製作して大阪府堺市で撮影、さらに遺体が発見される裏門のシーンは山梨県大月市の学校で、再び美術部が総出で3日がかりで夏に雪を作り込んだそう。

 

 ただし、それだけではない。撮影部は東京の大雪予報をずっと待ち構えて、台東区でリアルな下町の雪景色を撮影している。

「それが前篇冒頭のキャスターの映像で、真夏の雪という大嘘をつくためにリアルな雪が役立っているわけです。今回はいろんな場所を組み合わせて撮影する必要があったのですが、安直に画を組み合わせていくと嘘っぽくなってしまう。本物があってこそ“映画の嘘”がつけた、そこはすごく大事だったと思います」(成島監督)。

 

 息もつかさぬ緊迫感を持って描かれる、後篇の前代未聞の校内裁判もまた同様。舞台となる体育館は、本作がフィルム撮影で圧倒的な光量を要するため天井一面に230kw(通常デジタル撮影なら18kwライトで足りるそう)のライトを配したセットで作り上げられたが、そこにも山梨県大月市にある本物の体育館でのロケ撮影が加わっているのだ。

 

 偽証=嘘がキーワードでもある本作は、映画の嘘、撮影のマジックが巧みに織り込まれた傑作。衝撃的でサスペンスに満ちた前篇から、すべての謎や気持ちの曇りが払拭される後篇へ。ラストまでの緊迫感、結末に辿り着いた時の極上のカタルシスをぜひ、映画館で味わってほしい。

 

(ロケーションジャパン)

 

 

『ソロモンの偽証 後篇・裁判』

監督:成島出(なるしま・いずる)

原作:「ソロモンの偽証」宮部みゆき(新潮社刊)

出演:藤野涼子、板垣瑞生、石井杏奈、清水尋也、富田望生、前田航基、望月歩、西村成忠、西畑澪花、若林時英、加藤幹夫、石川新太、佐々木蔵之介、夏川結衣、永作博美、小日向文世、黒木華、尾野真千子 ほか

4月11日(土)全国ロードショー

(C)2015「ソロモンの偽証」製作委員会

 

 

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