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2020.03.15

「権利処理」の駆け込み部屋 VOL.18

権利処理アイキャッチ

ロケーションジャパンの人気連載、「権利処理」の駆け込み部屋をWEBで一挙公開!「撮影風景を写真で撮ってもいいの?」「お店の宣伝に使ってもいいの?」など、ロケの受け入れを行う自治体担当者やお店などから届く「権利処理」の疑問に対して、田中康之さんと國松崇さんが回答してくださいます!

 

 

Q
【神奈川県綾瀬市の事例から】
私の町で撮影した映画の情報発信のために公開前に宣伝から宣伝写真を提供してもらいタウン誌で紹介しました。しかし同じタイミングで市内にロケ地看板も設置したいと打診したところNGの回答でした。タウン誌と看板は異なるのでしょうか(市役所・ロケ受け入れ担当)

 

 

 

A
田中:映画宣伝写真が作られる目的は映画興行の成功(PR利用目的)です。よって、タウン誌での掲載は映画の宣伝利用という目的に合致した使い方ということで写真の貸し出しを受けられたのだと思います。一方、ロケ地看板とは、ロケツーリズム必須アイテムのロケ地情報の案内板ですが,必ずしも映画の宣伝のために設置されるものではありません。今回ロケ地看板での利用を断られたのは、ロケ地看板が映画の宣伝物ではないと判断されたのでしょう。宣伝利用という手法が使えないとなると、映画の宣伝担当者ではなく映画会社の製作責任者に利用申請して判断を仰ぐ必要があります。
なお,映画写真のロケ地看板利用は「三種の神器」※1.において、事前に承諾を得ていれば、改めて申請許諾の必要はありません。宣伝目的以外の利用であっても,事前に合意形成が出来ていると考えられるからです。

 

國松:結局のところ,貸出が許可される前提条件が違うということ尽きるということですね。宣伝媒体であれば当然宣伝利用のための映画写真が借りられますが,そうでなければ正規の窓口で有償で借りる(ライセンスを受ける)しか方法はありません。しかし,こうした利用は,映画公開前であれば更にハードルは高く,普通は認められないように思います。

 

田中:そうですね。ロケ地看板の設置は,できれば製作側とよく相談して,双方にメリットのある形で提案をすることが必要です。では、ロケ地看板でシーン写真をどのようにして掲載許可を取るのかを以下で具体的に解説します。

 

田中:ロケ地看板で掲載する写真には、どのような権利があるのでしょうか。

 

國松:写真,イラストなどには当然著作権がありますし,俳優の方が写っているなら俳優さんの肖像・パブリシティ権もあります。いずれも,基本的には権利者の許可(許諾)なく使用すれば,著作権や肖像・パブリシティ権の侵害で,損害の賠償などを求められるトラブルに発展し得るものです。

 

田中:そういったリスクは避けるためには必要な許諾を取らないといけません。もっとも,実際にロケ地看板用にロケ地写真の利用を依頼するにあたって、画一的な方法があるわけではありません。簡単に許諾を受けられるケースと、とっても難しいケースがあります。例えば、俳優の写っていない「ロケ撮影風景の写真」の許諾ハードルは低いでしょう。一方、「複数の俳優が写っている写真」のハードルは高いでしょう。また、ロケ地看板の利用が特定の企業の宣伝に繋がっているような場合は,そもそも認めてくれないか,認めてくれたとしても,商用目的として有償となるケースがほとんどでしょう。

 

國松:俳優の肖像や名前には,それ単体で人の目を引き付ける効果があり,企業が大金を払って俳優を広告に起用するのは,まさにこのような効果を狙ってのことです(これを顧客吸引力と呼びます)。タダ乗りが横行してその希少性が失われてしまうと,その俳優の顧客吸引力はどんどん低下し,その結果,俳優や事務所にとっての死活問題となるわけです。例えば,自分が契約している会社のライバル企業の宣伝に勝手に使用されたなんてことは,俳優にとって一番困ることですよね。あとは,当然,映画そのものにもスポンサーが付いていることがほとんどですから,映画写真はこれらの関係先との調整も必要でしょう。

 

田中:製作側からすれば,映画写真の許諾を出す際には,こうした配慮や調整が必要になりますので,市町村でロケ地看板の写真を掲載する場合には、大義名分があった方が説明しやすいといえるでしょう。単なる観光案内ではお断りされることが多いと聞きます。我が町でロケ撮影された作品を「ロケ地遺産」として保存する目的に掲載したいと判断できる方に伝える必要があります。

 

田中:判断できる方とは、ロケ撮影現場ではなく、映画の発意と責任を持った「映画の著作者」です。つまり、製作責任者まで交渉する必要がある場合もあります。依頼者は交渉先によっては、それぞれの依頼先に相応しい肩書が必要と思います。つまり、必要であれば首長名での申し入れも想定しています。交渉方法と依頼者を誰にするかは慎重な判断が必要となります。

 

 

■回答者プロフィール
権利処理_20190912_01 (1)

 

 

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