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2020.07.15

「権利処理」の駆け込み部屋 VOL.20

権利処理アイキャッチ

ロケーションジャパンの人気連載、「権利処理」の駆け込み部屋をWEBで一挙公開!「撮影風景を写真で撮ってもいいの?」「お店の宣伝に使ってもいいの?」など、ロケの受け入れを行う自治体担当者やお店などから届く「権利処理」の疑問に対して、田中康之さんと國松崇さんが回答してくださいます!

 

 

Q

映画のクランクアップで俳優に花束を渡して記念写真を撮りました。撮影現場で俳優ご本人・担当マネージャーさんからSNSへアップすることをOKもらいましたが、映画会社などの許可は必要でしょうか?
(権利が誰にあるのかを明確にし、トラブルを防ぎたい)

 

 

 

 

A

田中:俳優が写っていたとしても,撮影したのはこちら側ですから,法的にはその記念写真の著作権はこちらにあります。また,本人と担当マネージャーからSNS掲載の承諾を得たのであれば肖像権の問題も一応はクリアしたことになりそうです。さらに映画会社の許可が必要になることがあるんでしょうか。

 

國松:写真に関する法的な整理はそのとおりですね。しかし,実際には,ロケ地で俳優さんと撮影する記念写真という特殊性から,映画会社の確認を取っておいた方がよいものもあります。単なる記念写真とはいえ,場所や構図によっては,俳優さんの衣装や小道具などの映り込みから,まだ未公表の映画の内容が分かってしまう場合があり得ます。すでに映画が公開されていても,いわゆる「ネタバレ」に繋がるような写真になっているかも知れませんよね。要するに,写真に関連する権利についてはクリアできても,ロケ地を受け入れるにあたって要請される秘密保持に違反する可能性があるということです。

 

田中:確かに,映画公開前の情報流出や,作品のネタバレは,映画の興行に影響を与えかねません。映画会社が展開する宣伝戦略に対する配慮が必要ということですね。

 

國松:映画会社にとって宣伝戦略は非常に重要ですから,特に公開前であれば,無断でこうした写真がSNSにアップされることについて,あまり快く思わない可能性があります。衣装や小道具などの映画の要素が写真に含まれていれば尚更のことですし,写真とともに,「●●の撮影でロケ協力して,××さんと一緒に記念撮影しました!」といった情報を併記する場合は,いつ何の情報を解禁するか,という映画の宣伝戦略にダイレクトに絡んできます。場合によっては,秘密保持違反を理由にSNS投稿の削除などを求められてしまうでしょう。

 

田中:ロケ地側としては,むしろこうしたSNS投稿を,映画会社の宣伝戦略の中に取り込んでもらうように工夫ができればwin-winですね。やり方によっては,ロケ地も一体となって映画の宣伝効果を生むことができます。クランクアップ時の記念写真であれば,使い方次第でドラマの最終回に向けて、あるいは映画の公開に向けた宣伝に繋がるので、宣伝プロデューサーに積極的に相談するのが良いと思います。

 

=====以下、Web版のみ掲載:シーン写真について詳しく説明します。=====

 

 

田中:まずは,俳優の基本的な権利についておさらいをお願いできますか。

 

國松:コンテンツに関連するものとしては,大きく分けて2つです。一つは,ドラマや映画で演技をする際に発生する実演家としての著作隣接権です。簡単にいえば,自分の演技を撮影し,映像化する際に働く権利です。そして,もう一つは自分の肖像や名称に生じる宣伝効果の価値を前提に,これらを利用する際に働くパブリシティ権です。

 

田中:ロケ実績の展開をするうえで、やはり出演俳優のシーン写真は必須です。ロケ地巡礼においても作品そのもののファンもおられますが、出演俳優のファンも多いです。よって、俳優の出演しているシーン写真はサインと同様に展示物としても確保しておきたいですね。

 

國松:映画やドラマなどのコンテンツに関して言えば,宣伝広告物を含め,通常,俳優あるいはその所属事務所との出演契約等を通じて,映画会社が先ほど挙げた俳優の権利も包括して第三者に許諾できるような契約になっていることが多いです。したがって,映画会社経由でシーン写真の利用許諾が得られていれば,多くは写真に含まれている俳優の権利もクリアされていると考えてよいでしょう。あとは,こういったシーン写真をロケ実績に使用してよいかを映画会社と交渉することになります。

 

田中:映画の宣伝やDVDの販促につながるような場合には一定の期間で利用許諾が下りやすいです。一方、その期間が終了しても継続して利用するには、やはりロケ受け入れ時の条件として製作者に申し入れて交渉する必要があります。ロケが終わってからの要請では、時遅しとなることが多いのが現実です。また、自治体が「ロケ地遺産」を制定して、文化的保存物として公的に取り扱う方法は賛同が得やすいと思います。

 

 

■回答者プロフィール
権利処理_20190912_01 (1)

 

 

 

 

 

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図1

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