「権利処理」の駆け込み部屋 VOL.14 “聖地巡礼で映画のシーン写真を風景に当てはめて撮った写真をSNSで紹介するのはOK?”
ロケーションジャパンの人気連載、「権利処理」の駆け込み部屋をWEBで一挙公開!「撮影風景を写真で撮ってもいいの?」「お店の宣伝に使ってもいいの?」など、ロケの受け入れを行う自治体担当者やお店などから届く「権利処理」の疑問に対して、田中康之さんと國松崇さんが回答してくださいます!
Q
ロケ地を巡礼して
映画のシーン写真を風景に当てはめて写真を撮りました。
せっかくなのでこれを自分のSNSで紹介したいと思っていますが
大丈夫でしょうか?
A
田中:いわゆる「バッチリ写真」のシーン写真の利用範囲についての質問ですね。適法に映画やドラマのシーン写真を利用して写真を撮り、SNSにアップロードすることはできますか?
國松:シーン写真を利用した写真撮影とSNSへのアップロードは、シーン写真の「複製権」と「自動公衆送信権」が働き、著作権者の許諾が必要です。しかし、著作権法上の「引用」に当たれば、権利者の許諾を得ずとも適法にこうした利用ができます。権利者の許諾を要しない類型に「私的使用」もありますが、私的使用が許される範囲は写真の「複製」までです。従ってSNSへのアップロードまでは適法になりません。この点は注意ですね。
田中:パンフレットや紹介誌面に掲載されているシーン写真をロケ地の風景にかざして個人的に写真を撮って保存することまでは著作権法の私的利用でOKですが、その写真をSNSにアップロードする場合は「引用」でないといけないというわけですね。
國松:引用となると、例えば旅行の感想などを書いただけのブログ記事の中では利用できません。引用は「報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲」でないといけないので、そのシーン写真をSNSに載せることが必然となる何かしらのテーマを掲げた記事にすることが必要です。
田中:なるほど「このシーン写真はどこで撮ったのか検証してみた!」といった記事なら大丈夫そうですね。また、投稿記事全体から見てシーン写真がメインになっていないこと(主従の関係)、シーン写真を挿入していることが分かるような「バッチリ写真」(明瞭な区別)であることなどが引用成立のポイントになりますね。
國松:はい。最後に、シーン写真の作品名や権利元の表示も忘れないようにしましょう。作品自体を記事のどこかで紹介する等、工夫してみてください。
田中:ところで、掲載誌やロケ地マップに「バッチリ写真」を掲載する場合には、同様の考えで良いでしょうか?
國松:基本的には同じです。ただ掲載誌やロケ地マップは「私的使用」ができません。先ほどの引用以外にはシーン写真を許諾なしにバッチリ写真に利用することはできません。逆に権利元としっかりと協議してその旨の契約を交わしておけば、「バッチリ写真」として撮影してもらい、SNSで拡散してもらう用途でシーン写真をマップに載せるなど、いろいろと企画の幅を広げることもできそうです。
田中:ロケ地巡礼の楽しみとして「なりきり写真」の撮影がありますが、どのようになり切ったかを紹介するのに「バッチリ写真」で紹介するといいですね。
ロケ作品を活用した成功事例!ロケーションジャパンは「バッチリ写真」を活用!権利処理を行い誌面やマップで掲載ロケーションジャパンではこれまで様々な作品のシーン写真を活用した「バッチリ写真」を紹介してきた。もちろん権利処理をその都度実施して、掲載の許可を得たものを掲載している。掲載媒体や内容によって条件が異なるため、情報発信の際は注意が必要だ。
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