ホーム > ニュース

ニュース

■地域
2022.02.26

愛知県幸田町で経済効果が増加している理由

愛知県幸田町というまちをご存じだろうか。自動車関連をはじめとした製造業が盛んな一方で、全国トップの生産量を誇る「筆柿」の産地として知られる。

 

いわゆる産業のまちだが、そんな幸田町ではふるさと納税寄付金額が増加するなどの経済効果がでている。なぜお世辞にも知名度が高いとは言えないこの町が、町内外から注目を集めているのか――。その理由のひとつは同町が3年前に力を入れ始めた「ロケ誘致」にある。

 

「最高のオバハン」で経済効果

おもてなし弁当は町内外から人気

愛知県幸田町では成瀬敦町長が旗振りをし、町を挙げてロケ誘致に取り組んでいる。近年では竹中直人、山田孝之、齊藤工が共同監督を務めた映画『ゾッキ』や、大地真央、松本まりか出演のドラマ『最高のオバハン 中島ハルコ』など注目の作品が次々と決まり、「ロケの町」へと着実に変貌を遂げている。

 

なかでも名古屋嬢の中島ハルコが主人公の「最高のオバハン」は、ドラマ全体を通して幸田町がロケ地になった。また町おこしをテーマとした回では「幸田町」の名前で登場。作中ではロケが行われた自治体名を明かさないケースも少なくない中、全国に町名を知らしめる好機となった。

 

ロケ誘致の効果はこれだけにとどまらず、まちの経済にも良い影響を及ぼしている。同作に登場した「石窯パンの店 緑と風のダーシェンカ」では放送後に売り上げが昨対比1.3倍に。地元名産の「夢やまびこ豚(とん)」を使ったロケ弁は松本まりかさんをはじめとした出演者やスタッフに好評で、それを再現した「おもてなし弁当」の売り上げは上々。放送後は町内外からひっきりなしに注文が入ったっという。

 

成瀬町長「試行錯誤の3年間でした」

授賞式に出席した東海テレビ・松本圭右プロデューサー(左)と成瀬敦町長(右)

これらの成果が評価され、ロケ地情報誌・ロケーションジャパンが主催する「ロケーションジャパン大賞」で同作は「特別賞 地域の変化部門」を受賞。授賞式に出席した成瀬町長は、

 

「試行錯誤の3年間でした。『最高のオバハン』ではスタッフ・俳優の皆さんがロケ弁や地域の人とのつながりをいろいろな機会を通じて紹介してくれたことを本当にうれしく思います」

 

と喜びをあらわにした。

 

2022年1月、幸田町は町民のロケ協力に感謝の気持ちを込めてメモリアルブックを制作。冊子には町で撮影された主な作品のロケ地マップや監督・プロデューサーからのメッセージ、作品ができるまでの歩みなどが記載されている。

 

かつては「何もない町」としてドキュメンタリー番組で紹介されたこともあった幸田町だが、ロケツーリズムにおける施策は着実に実を結び始めている。

 

 

この記事をシェアする

©Location Japan. All rights reserve