『有吉くんの正直さんぽ』で6億円以上の効果?!
「有吉さんぽ」ロケ隊にも大好評!コロナ禍の先を見据え奮闘するまちが大注目
ロケツーリズム協議会が9月24日(金)、リーガロイヤルホテル東京(東京都新宿区)で今年度3回目となる会合を開催した。リモートでの参加も含め、自治体関係者や制作者ら約120名が参加し、ロケ誘致やロケツーリズム事業に関する情報交換、セミナー、制作者との名刺交換会などを行った。コロナ下の明るい話題として、『サンデーLIVE!!』でロケツーリズム協議会の様子も取り上げられている。
年々存在感を増している“ロケツーリズム”。映画がドラマのファンがそのロケ地を訪ね、作品の追体験を楽しむことでその地域の観光振興や移住促進などを図る、観光庁も2016年にテーマ別観光にも選ばれた取り組みだ。“元祖”ロケツーリズムの聖地といえば、映画『ローマの休日』だ。映画の世界観を味わおうと、公開70年以上経った今でも世界中から観光客が押し寄せている。
日本でも、ロケツーリズム事業を成功させた地域事例が増えてきている。単なる観光ではなく「ストーリーのある旅」として、旅行好きだけでなくエンタメファンの人気を誇っているのだ。
今回の協議会でも、近年目覚ましい成果を挙げた地域が紹介された。
長崎県島原市は、『有吉くんの正直さんぽ』などのバラエティー番組やCM撮影などで大きな成果を残した。城や島原鉄道などの資源をロケのために貸し切り、地元の飲食店など地域全体でのロケ受け入れ態勢が制作者に大好評だった。一般社団法人日本広告業協会(JAAA)が年1回発行している「放送広告料金表」を参照に換算すると、露出時間による広告換算効果は6億円以上とも言われる。
島原市は市の施策として「ロケツーリズム班」を設立し、ロケの受け入れや対応、さらに番組や企業とのタイアップを専門の担当者が行った。それが功を奏し、タイアップ商品が販売直後に品切れになるなど大きな成果を挙げた。
他の地域の例もぞくぞく成果が報告された。静岡県伊東市はドラマ「孤独のグルメ」の聖地としてファンの間で有名に。ロケ地の選定やエキストラの手配など、制作者と一緒に作品を作り上げ、放送後、ロケを行った焼肉店の予約が殺到し、売り上げが1.5倍になったそうだ。千葉県茂原市は、今年6月期の日曜劇場「TOKYO MER」で町の消防本部と連携。人命救助をテーマとするドラマで、本物の協力がありがたかったと制作者が語る。長野県千曲市も、今期の月9ドラマ「ナイト・ドクター」で夜のロケを敢行。夜通しの撮影協力にも快く対応した。愛知県幸田町は、人気ドラマ「最高のオバハン」でロケ隊や出演者への温かいおもてなしが評判となり、その人気は出演者のSNSでも紹介されたほど。
これらの地域はすべて、撮影場所や宿泊施設、ロケ弁やスケジュール管理などきめ細かい体制が行き届いていると制作者に好評だったことが特徴だ。万全の感染対策でロケ隊を快く受け入れたことで、制作者や出演者との信頼関係を築いた。作品の上映、放送後のシティプロモーションに繋げるための努力も惜しまず、コロナ終息後に観光客や移住希望者を迎える準備も進めている。そしてその取り組みが、住民が地域を誇りに思う一端にもなり、地域のブランド化に繋がることも大きな注目を集めているのだ。
コロナ禍にあっても地域を盛り上げようと奮闘する自治体の取り組みは、今後さらに大きなトレンドとなっていきそうだ。
■ロケツーリズム協議会
ロケ誘致のノウハウや、それを観光資源として活かす方法、持続的な地域振興やブランディングに繋げるための方策を行う地域の人材育成を軸とし、映像制作者とのマッチングやセミナーの開催など10年以上に渡り取り組んでいる。2016年に観光庁の『テーマ別観光による地方誘客事業』の一つに選出され、2019年に一般社団法人化、活動を継続している。
映画やドラマのロケ地を訪ね、風景と食や地域のおもてなしを堪能し、その地域のファンを増やすことで地域での持続的な観光振興を行う“ロケツーリズム事業”の牽引役として注目を高めている。