実はマルタじゃなかった!?『コンフィデンスマンJP 英雄編』に隠されたもう一つの仕掛け
大ヒット公開上映中の映画『コンフィデンスマンJP 英雄編』。騙し合いの舞台は中世の街並みが広がるマルタ島だ。首都ヴァレッタは全体が世界遺産に登録される異国情緒あふれる土地で、目を奪われた人もいるだろう。
撮影はもちろん、マルタ島で行われた。しかし実は多くのシーンが“日本”で撮られていたという――。
神奈川や和歌山のリゾート施設で撮影
本作では“英雄”と謳われた「三代目ツチノコ」の称号をかけ、信用詐欺師のダー子(長澤まさみ)、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)が騙し合いの勝負に出る。3人は別行動に出るわけだが、行く先々でマルタに見せかけた日本のロケ地が登場するのだ。
ダー子、モナコ(織田梨沙)、ちょび髭(瀧川英次)らが、ターゲットである“おサカナ”候補のジェラール(城田優)たちの様子を観察するシーンは、神奈川県逗子市のリビエラ逗子マリーナで撮影。江の島と富士山を臨むハーバービューが特徴的で、南国リゾートさながらの雰囲気だ。
街を歩くダー子がボクちゃんと鉢合わせた場所は、和歌山市の人工島・和歌山マリーナシティ内のポルトヨーロッパ。フランスのまち並み、イタリアの港町、スペインの古城を再現したテーマパークで、ちょっとしたヨーロッパ旅行気分を味わえる。
ダー子、リチャードが追っ手から逃げる緊迫のシーンは、和歌山県上富田町の南紀白浜リゾートホテルでロケ。クラッシック・ヨーロピアンスタイルを基調にしたホテルで、高級感あふれる空間となっている。
田中監督「かなり苦労しました」
このような撮影状況には新型コロナウイルスの影響が大きく関係している。
マルタ島での撮影にあたってはロケハンができず、オンラインで情報収集。田中亮監督は現地での撮影について「日本でイメージしたものの答え合わせをするような感覚で現地に足を運びました」と話す。
感染拡大防止のためマルタ島でのロケは最小限にとどめ、作品の多くは先述の通り日本各地で撮影。田中監督は日本でのロケ地探しについて、
「壁は装飾でなんとでもなりますが、床はどうにもなりません。今回のマルタ設定では、コンクリートはNG。かなり苦労して探しました」
と振り返る。
今回のロケ地の一つであるリビエラ逗子マリーナは「コンフィデンスマンJP」シリーズではおなじみの場所。日本全国のマリーナを探した末、英雄編でもこのロケーションが選ばれたという。
視聴者でさえも騙してしまう「大どんでん返し」が魅力の本シリーズ。みなさんは、この舞台そのものの“仕掛け”に気づいただろうか。