調布市、狛江市、日の出町が連携! 地域の魅力向上・発信に取り組んだ5年間を振り返る
ロケ誘致による地域活性を目指す東京都調布市、狛江市、日の出町の3地域は、2018年から3市町は「フィルムコミッション事業を核とした地域の魅力向上・発信プロジェクト(多摩・島しょ広域連携活動助成金事業)」に取り組み始めた。
角川大映スタジオや日活調布撮影所など、映像制作会社が多く集まる調布市は「映画のまち」として知名度をあげること、狛江市、日の出町はシビックプライドの醸成と人口定着につなげることを目的とし、さまざまなロケ実績の活用を進めてきた。
この3市町がどのような成果を生み出してきたのか、5年間にわたるロケツーリズムの取り組みを振り返ってみよう。
ロケ誘致から誘客へ。「ロケ地マップ」を制作
まず行ったのが、ほぼすべての映像制作者が閲覧するロケ地検索サイト「ロケなび!」での掲載。映像制作者にニーズの高そうな50施設を3市町からピックアップして載せたところ、この5年間で1000件近く受け入れ(3市町合計)と、かなりの実績を上げている。
その実績を活用し。2018~2022年度にかけて、4種のロケ地マップを3市町で発行。マップはターゲット・目的に沿って、毎年趣向を変えた。たとえば2020年は現場で人気の「ロケ弁」をロケ地と合わせて紹介することで、制作者が見ても「撮影に行きたい」と思えるような内容に。日の出町は撮影の際にロケ弁の注文を必須としており、マップの効果もあって2022年4月~12月の注文数は800件以上にものぼる。
2021年は飲食店の情報も掲載し、ロケ地巡りの合間に立ち寄りやすいようになっている。マップと同様の内容がロケーションジャパン本誌にも掲載されているため、一般人・自治体・制作者の3つのターゲットに訴求できるのが特徴だ。
これらのマップは毎回好評で、実際にロケ地に足を運ぶ人も多い。
「はな恋」ヒットで大ブレイク!パネル展やイベント開催
調布市内をメインに撮影された映画『花束みたいな恋をした』(2021年公開。出演:菅田将暉、有村架純ほか)では、土井裕泰監督のインタビュー付きの単作ロケ地マップを発行。本作は興行収入38億円の大ヒットを記録し、ロケ地マップ1万部はあっという間になくなった。
劇中に登場する渋谷PARCOではパネル展を開催。同じく名場面が撮られた御道坂橋交差点付近には場面写真を使ったロケ地看板を設置し、それらを巡る「謎解き街めぐり」イベントを実施するなど、幅広い実績活用を行った。調布市には連日ロケ地巡りに人が訪れ、その様子が各メディアに取りあげられた。社会現象を巻き起こした本作の事例は、権利処理を活用したプロモーションのひな型ともいえる。
このような事例は「はな恋」にとどまらず、BS-TBSのドラマ『帰らないおじさん』(2022年放送、出演:光石研、高橋克実、橋本じゅん ほか)では、狛江市の「タコ公園」が物語の重要な拠点に。制作側と交渉を重ね、ドラマの放送日に合わせたSNS発信や、キャストコメントを市の公式サイトに掲載、キャスト等身大パネルを設置するなど、市内外へ積極的にPRした。
5年間の連携のなかで、着実にロケツーリズムの成果とノウハウを積み上げてきた3市町。再び「はな恋」のようなブームを生み出すことになるのか、今後の展開にも注目だ。