再放送の『あまちゃん』でも注目! ロケツーリズムに熱視線
コロナ下で落ち込んだ観光産業を再生させるべく、映画・ドラマ・情報番組をきっかけに地域活性化を目指す「ロケツーリズム」に注目が集まっている。
現在BSプレミアム・BS4Kにて再放送中の連続テレビ小説『あまちゃん』(2013、主演:能年玲奈(のん))のロケ地になった岩手県久慈市もその地域のひとつ。遠藤譲一市長は「やはり再放送には大きな効果があります。特にドラマ関係者やファンの人たちが久慈にまた来たいと言ってくれるのがありがたいです」とその成果を噛み締めている。
地元でロケ、町民にも好評
新型コロナウイルスが感染症法上5類に移行されてから10日後。ロケ誘致による観光誘客を狙う全国の自治体・企業と、映画・テレビの制作者、約200人が一堂に会した「ロケツーリズム協議会」(場所=渋谷スクランブルスクエア)が5月18日に開催された。
西伊豆町・星野町長(右列中央)とテレビ東京・太田プロデューサー(左)
この日の目玉は17の地域・企業ブースを制作者が回る「マッチング大会」。ほとんどのブースではロケ担当者が窓口に立ったが、朝ドラ『あまちゃん』で話題の久慈市、過去にドラマ『金田一少年の事件簿』(2022、主演:道枝駿佑)の制作者とマッチングした静岡県西伊豆町、10年以上ロケツーリズムに取り組む神奈川県綾瀬市などは首長も参加し、自らまちの魅力をアピールした。
久慈市は2013年の『あまちゃん』放送以降も「北三陸『あまちゃん』観光推進協議会」を継続。ツアーやロケ地マップなどの取り組みに力を入れ、観光客を賑わせてきた。今年4月からは、同市を通る三陸鉄道で『あまちゃん』10周年を記念したラッピング列車「三陸元気!GoGo号」運行し、再放送も相まって観光客が再び増加している。
また西伊豆町は、町のまちづくり課にロケをサポート・活用する「ロケさぽ西伊豆」を2020年に立ち上げ、撮影実績数が年間100件(2022年度)を超えるほどの実績。当初からロケツーリズムを推進している星野淨晋町長は、
「映画『ツユクサ』(2022、主演:小林聡美)では西伊豆を上手くPRしてもらい、町民にも“町の魅力をこういう風に発信できるのだ”と好評でした。またアニメ『ゆるキャン△ Season2』(2022)ではGWに聖地で渋滞が起こるほど人が訪れました。映像作品のPR効果・発信力は凄まじいので、今後も町民のシビックプライド醸成のため発信し続けたいです」
と、地元でも良い影響が出ていると話す。
テレ東P「地域を盛り上げる作品を」
地域と制作者が交流する「マッチング大会」
作品が観光業に与える影響の大きさを地域が噛み締める一方、常日頃からロケ地を探している制作者にとっても、このような機会は需要がある。ドラマ『サ道』(主演:原田泰造)シリーズを手掛けるテレビ東京の太田凌介プロデューサーは、地域との交流を「貴重な機会」と話す。
「テレビ東京はライフスタイル系の作品が多く、『サ道』や『絶メシロード』(2022、主演:濱津隆之)など人を動かす力があるのが強みです。ぜひ地域を盛り上げていけるような作品を作っていきたいです」
と意気込む。地域を活用することが番組自体のPRになること、協力的な地域はロケ対応も丁寧であることなど、制作側にもメリットは大きい。
このロケツーリズム協議会は2016年~18年度に観光庁の「テーマ別観光による地方誘客事業」に採択され、19年度からは一般社団法人として活動を続けている。自走を始めて5年目となるロケツーリズム協議会に、冒頭で登壇した観光庁 観光資源課 文化・歴史資源活用推進室の遠藤翼室長は、
「現在インバウンドが急増しており、今後も多くの自治体で海外からの観光客が増えると思います。こうした中でロケツーリズムという取り組みは多くの人に地域にある聖地の魅力・観光資源を伝えていけるチャンスです」
とエールを送った。
アフターコロナの観光産業を盛り上げる一手となるロケツーリズムから目が離せない。