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権利処理
2023.11.15

「権利処理」の駆け込み部屋 VOL.39  “公式グッズを使ったSNS発信は可能?”

ロケーションジャパンの人気連載、「権利処理」の駆け込み部屋をWEBで一挙公開!「撮影風景を写真で撮ってもいいの?」「お店の宣伝に使ってもいいの?」など、ロケの受け入れを行う自治体担当者やお店などから届く「権利処理」の疑問に対して、田中康之さんと國松崇さんが回答してくださいます!

 

Q
アクリルスタンドなど肖像のある公式グッズを使ってロケ地紹介をしたいと考えています。公式グッズを使ってSNSで情報発信しても問題ないでしょうか。

 

A 正規に購入した公式グッズであれば、加工などしなければ問題ありません。

 

田中 まずは、公式グッズを正規に入手したことを前提にしたいと思います。模倣品や違法取引による商品の場合、その時点でアウトと理解していいですよね。

國松 そうですね。模倣品や違法取引による非正規のグッズということは、俳優の肖像やキャラクターの著作権が無許諾で使われている可能性が高いということです。このような非正規グッズ制作・販売する行為は、それ自体が基本的に違法性を帯びますので、購入したからと言って安易に使用すれば、たちまち炎上に巻き込まれるおそれがあります。自分でも知らず知らずのうちに犯罪に加担することにもなりかねませんので注意しましょう。

 

田中 次に、出演者などのヒトの場合とキャラクターなどのモノの場合には、判断に違いはありますでしょうか。

 

國松 出演者は生身の人間ですから、法的には肖像権やパブリシティ権の問題です。一方、キャラクターは著作権の問題です。肖像権やパブリシティ権の侵害はあくまでも民事上の責任(※損害賠償や差止め)にとどまりますが、著作権侵害はさらに刑事罰の適用がありますので注意しましょう。

 

田中 公式グッズを正規に入手して情報発信をするために「写し込み」をすることがありあすが、個人が情報発信する場合と法人や自治体が情報発信する場合とでは判断が異なりますでしょうか。

 

國松 SNSなどを利用して出演者の肖像やキャラクターを広く情報発信的に使用する場合は,個人であっても法人・自治体であっても基本的には変わらず許諾が必要です。例外的に許諾が不要となる「私的使用のため」(著作権法第30条第1項)とは言い難く、ほかに当てはまりそうな例外事例もありません。もっとも、公式グッズを正規に入手して、「この街でロケをした●●という作品にはこんなグッズがあるんです!!」とSNSでアピールすることは,当該商品が想定している使用の範囲に含まれる行為だといえるかなと思います。

 

田中 公式グッズをうまく利用した情報発信は効果的であると思います。最近、ドラマのロケ地で出演者の正規品フィギュアをベンチや橋の欄干に並べて、なりきり写真を撮っているファンがおられました。具体的な情報発信方法についてはWebで詳しく紹介いたします。

 

【Web解説はこちらから】

田中 最近の情報発信はインターネットによるSNSが欠かせないですが、紙媒体とインターネット送信では権利が異なるところがありますでしょうか。

 

國松 インターネットで著作物を配信などする行為は、著作権法の世界では「自動公衆送信」と呼ばれます。サーバーへの保存やウェブページ制作で行うコピー(複製)行為とは、法的にはまた別の行為ですから、たとえば,ある著作物を記録端末に保存した上で無断でSNSなどにアップロードすると「複製権」の侵害と「自動公衆送信権」の侵害がそれぞれ成立するということになります。

 

田中 最近の視聴デバイスはスマホを使うことが多いですが、スマホの場合はどうも私的使用の範囲と勘違いしてしまう危険性があります。スマホの手元画面でもパソコンモニター画面でもインターネット通信であることに違いはありません。スマホでちょっと操作するだけだからまあ大丈夫だろうという風に思わないことですね。

 

國松 そうですね、インターネット上での著作権(自動公衆送信権)利用に関しては、たとえば設置場所や設置期間がうまくハマったり、あるいはインフルエンサーなどの目に留まって紹介されたりされれば、あっという間に物凄い閲覧数になることもあります。その際も意図していない著作権侵害が発生してしまったら損害賠償に大きく跳ね返ってくるかも知れません。やはり気をつけたいですね。

 

田中 趣味の範囲で、ドラマやアニメの舞台となった場所などで出演者やキャラクターの正規品フィギュアと一緒に写真を撮ったりして、SNSで配信することは、購入した商品の通常の利用方法の範囲内といえそうですがどうでしょうか。

 

國松 そうですね。そういった利用も厳密にいえば著作権等の侵害の問題は生じ得るのですが、正規グッズなどがファンを中心にSNS上で盛り上がれば、商品の販促に繋がることもありますので権利者サイドがあえて何も言ってこないということはあり得ることです。ただし、その状況を利用して自社や自身の別の商品や作品のPRまでしてしまうと、それは流石にやり過ぎだとしてクレームが入るかもしれません。

 

田中 SNSによる情報発信は、個人や公式による情報発信が拡散して好循環となることもあります。最初の情報が正しく発信されることで,その後に続く利用者のメディアリテラシーも高まっていくので、最初に情報発信する方は、権利関係には十分注意して情報を発信して楽しんでください。

 

■ 回答者プロフィール
権利処理_20190912_01 (1)

 

 

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