『ゆるキャン△』『真夏のシンデレラ』髭男!・・・の舞台で憧れのプレミアム旅を!観光地・伊東を巡る新たな仕掛けづくり
今年はインバウンド需要が回復しつつある。観光庁の発表によると、今年7月から9月までの間に日本を訪れた外国人が国内で消費した金額は、速報値で1兆3904億円。コロナ渦前の2019年4月から6月までの1兆2673億円を上回って過去最高となった。
その中でインバウンドの来訪を見据え、12月2日(土)・3日(日)に静岡県伊東市にて、様々な作品のロケ地やゆかりのある場所を楽しみながら周遊する伊東の魅力が詰まった体験型モニターツアーが実施された。
伊東市は、かつては団体旅行が主流だった頃の人気の行き先として多くの観光客を迎えてきた。東京近郊からのアクセスが良く、大室山や伊豆高原、城ヶ崎海岸などの世界が認めるジオサイトを気軽に楽しめるとして魅力ある観光地のひとつである。しかし近年は、その当時来ていた観光客層の高齢化に加え、若年層の認知度低下、インバウンド対応の力量不足など課題が山積している地域でもある。
その中で、意外にも新たな観光資源として明るい兆しとなっているのが、情報番組で取り上げられたスポットや、映画やドラマの撮影が決まった“聖地”である。実は伊東市は2020年より、官民一体でつくる「伊東ロケーションサービス」を立ち上げ、撮影受け入れを本格的にスタートした。撮影を受け入れるだけでなく撮影実績を活用し、昨年度は若年層個人観光客向けの5つのモデルコースとして磨き上げてきた。
そこで今回は更なる発展を目指し、ラグジュアリーな旅を希望する訪日外国人観光客や日本人観光客に向けて、今までアンケートで高評価であったコンテンツを厳選し“憧れを体験へ!ザ・クラシカル×ドラマチックな伊東まるごと厳選プレミアムツアー”を造成。「川奈ホテル」をはじめとした観光地を巡る中で、一つひとつの体験のプレミアム感を高めることで、観光消費拡大を狙った。
ツアー1日目はアーティスト・あいみょんやsumikaのMV撮影地である「川奈ステンドグラス美術館」で昼食をとった後、アニメ『ゆるキャン△ SEASON2』の舞台でもある「大室山」へ。ここではインバウンドのグループに対して観光ジオガイドが、設置されているアニメ『ゆるキャン△ SEASON2』のロケ地看板を前で、大室山の紹介などする光景が見られた。
川奈ステンドグラス美術館
大室山
宿泊した「川奈ホテル」は、あのマリリンモンローが新婚旅行で訪れ、滞在中にホテルで提供しているオムライスを2度も食べるほど気に入っていたそう。そんな世界の大スターも宿泊したプレミアムな川奈ホテルでは、昭和初期から大事にされてきた調度品が並ぶ館内や宿泊者しか入ることができない、世界ゴルフコース100選にも選出されたゴルフコースを見学した。また、川奈ホテルはOfficial髭男dismのMV『ミックスナッツ』をはじめ、様々な作品のロケ地になっている。中でもメインバーは映画『わが母の記』の舞台にもなっており、今回のモニターツアーでは「川奈を愛する全ての人に捧げたカクテル」と謳った「ラブリー川奈」や「川奈マティーニ」など、ここでしか飲めないこだわりのオリジナルカクテルを体験し、夜を過ごした。
川奈ホテル
2日目は、2022年度に結成された「伊東ロケこらっシェルジュ」が伊東市の聖地をご案内。
ドラマ『金田一少年の事件簿』のロケ地である「一碧湖」、MV撮影のロケ地や、ドラマ『真夏のシンデレラ』のロケ地にもなった「伊東マリンタウン」、映画『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』のロケ地で話題の「城ヶ崎海岸」といった、人気ロケ地の聖地巡礼を行った。また漫画『テルマエ・ロマエ』のモデル地にもなった「東海館」では、和風建築の技の競演を楽しみながら入浴体験、ワーケーション体験や和スイーツ体験を満喫した。
一碧湖
伊東マリンタウン
城ヶ崎海岸
東海館
今回のモニターツアーは、ロケツーリズムをきっかけとした地域活性というゴールを目指して一般社団法人ロケツーリズム協議会が企画・監修を行った。
ツアーに参加したハーマン・チャンさんはツアーを終えて「今回初めて伊東市を訪れたが、『そこにしかないストーリー』からプレミアム感を感じた。川奈ホテルのクラシックホテルとしての歴史や逸話、ステンドグラス美術館の作品、伊豆半島の地理など、案内人から直接話を聞きながら巡ると価値を感じられた」と語る。川奈ホテルマーケティング戦略の清水貴 英さんは「インバウンドで当ホテルにお越しの方はゴルフも楽しみつつ、合間に周辺の観光も楽しまれる。国内外問わず、地域を周遊する拠点として周遊した今回のコースがモデルケースになれば」と期待を寄せた。
また、伊東市ロケ応援団の「伊東ロケこらっシェルジュ」の岩崎恵美子さんは案内を終えて「伊東市はバラエティ番組、ドラマ、映画を誘致することで、新たな観光客が多く来ている。今後も国内外問わず多くの方に伊東市を知ってもらえれば」と話す。今回企画監修した一般社団法人ロケツーリズム協議会理事の古川武男さんは「今までの観光庁事業では、事業者間の協力体制を整え、個人旅行の多様なニーズに対応したモデルコースづくりを行ってきた。今回は、「観光庁のインバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業」を活用し、ザ・クラシカルな魅力×ドラマチックな聖地でのプレミアムツアーの実施や多言語対応のロケ地マップやロケ地看板を設置し、すでにチャンスが来ているインバウンド対応を強化した。かつてのイメージを脱却し、国内外に向けファンの創出を目指す」と話す。今後の伊東が楽しみだ。