“ちさまひ”コンビがドラマでカムバック! ドラマ『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』プロデューサーに聞く撮影秘話
本日(9/4)深夜1:00よりドラマ『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』がテレ東ほかにて放送される。
殺し屋女子のちさと(髙石あかり)とまひろ(伊澤彩織)が繰り広げるまったりとした日常と激しいアクションで多くの人を魅了する映画『ベイビーわるきゅーれ』[通称:ベビわる]シリーズ初のドラマ化となる本作。個性的な新キャラクターも続々と登場し前シリーズを見ていない人でも楽しめる内容になっている。さらに9/27(金)には映画最新作『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』の同時公開も予定されますます目が離せない。
今回はドラマ『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』を手掛けたテレビ東京・加瀬未奈プロデューサーにドラマ化に至った経緯や制作の舞台裏を詳しく聞いた。
「『ベイビーわるきゅーれ』は日常の中に潜んでいる物語」
――今回、ドラマ『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』は映画からドラマ化という珍しい流れですがその経緯を教えてください。
加瀬「私はもともと「ベビわる」シリーズのファンでした。ドラマ化したい旨を映画『ベイビーわるきゅーれ』の製作委員会の方にさせていただいたところ、ちょうど映画の3を製作しようとしているという話を聞いて。「3とドラマ、合わせてご一緒させていただけないですか」と話をし、そこからドラマ化が成立しました」
――ご自身が元々作品のファンということですが、作品のどの部分に惹かれたのでしょうか。
加瀬「私自身、まひろに重ね合わせる部分がありました。具体的に言うと“普通に生きること”へのハードルの高さみたいなものを日々感じていて。例えば女性の場合、普通に彼氏がいて、結婚して…という流れがありますが、そういう世間的な“普通”って私の中ではすごいハードルが高いことだなと思っています。そもそも“普通”ってなんだろうという考えに直面することもよくあります。そんなとき、まひろが不器用に生きながらも殺しという自分の得意ジャンルで頑張っている姿を見て、すごくいいなと思いました。あとはもうアクションですね。映画『ベイビーわるきゅーれ』(21)の冒頭のコンビニでのアクションシーンを見た瞬間に「この映画は只者じゃない」と思い、そこから一気に沼にはまりました」
――今回念願叶って実現しましたが、ドラマ化するにあたり心掛けたことはありますか。
加瀬「ドラマ化するにあたり“何にフォーカスを当てるか”はよく考えました。そして出てきたのが、テレ東の強みでもありかつ「ベビわる」シリーズの強みでもあると感じた “日常パート”です。殺し屋を描く際、普通は殺しの依頼の方を描きがちですが「ベビわる」はなんでもない日常の瞬間に長尺を使っている稀有な作品だなと。テレ東も「食」や「日常」にフォーカスしたドラマが割と多いので相性がいいんじゃないかと感じました。2人のなんでもない日々を毎週お届けするというところを大切にしたいと思っていました」
――ドラマでは日常パートに注目ですね。そのほかストーリーの見せ方でこだわった箇所はありますか。
加瀬「ドラマ化する上で事前に制作陣へお伝えしたのは、“1話の冒頭3分を大事にしてほしい”ということです。映画と違い、ドラマは見飽きたらすぐ次のチャンネルに切り替えられる。配信も途中で辞められるので掴みを大事にしたいと。台本段階でも “このシーンは多くの人に共感してもらえそう”という場面があれば動画に切り抜けるよう1分ぐらいの台本を目指しました。ドラマらしさも取り入れながら制作に取り掛かれたと思います」
――映画に比べ規制が多いテレビで「ベビわる」のようなアクションを描くのは大変だったかと思いますが実際に撮影してみていかがでしたか。
加瀬「テレビには年齢規制などがない分、血の量などの規制はどうしても厳しくなってしまいます。ただ、この作品は血の量を競っているような作品ではなく、アクションそのものが魅力です。ドラマには映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』(23)に出てきた銀行強盗のシーンに近いコミカルなアクションを入れたいと監督に話をさせていただきました。そうして出来上がったのが1話のファミレスのアクションシーンです。ファミレスらしい道具を使ったアクションもあるのですが、“その場所ならでは”のアクションはやっぱり面白いなと思います。私自身、園村健介監督の映画が大好きで。園村監督の凄いところはどこで誰が演じるかによってアクションのスタイルを変えているんです。伊澤さんだったら、アグレッシブなアクションだとか、髙石さんは頭脳を使ったアクションしているとか。アクションスタイルの違いが最初のファミレスのシーンから顕著に現れるのでぜひ見てほしいですね」
――本作と言えば欠かせないのがちさととまひろの “ちさまひ” コンビです。実際に髙石さん・伊澤さんと撮影する中で受けたお二人の印象を教えてください。
加瀬「初めてお2人にお会いしたのは、映画『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』の撮影現場でした。阪元裕吾監督があて書きだと仰っていたのですが、仕草含めもう本当にちさととまひろそのものだなというのが第一印象です。ただ、カメラが回るとよりちさととまひろになっていくんですよね。その切り替えがすごいなと思いました。アクションも流石でしたね。今回のドラマで初めてアクション練習に立ち会ったのですが、やっぱり緊迫感がすごいんですよ。ちょっとした気の緩みが怪我に繋がるから、一瞬も気が抜けない状態。そんな中でも2人とも全然弱音を吐かずに取り組んでいて。凄まじい集中力の高さを感じました」
――ドラマの“ちさまひ”も楽しみです。そして今回ドラマには新キャラクター・夏目敬(草川拓弥)、日野彰(柄本時生)が登場します。お二人に関してはいかがでしょうか。
加瀬「「べビわる」の世界線に常識的なちさまひと同年代の方を入れたらどうなるんだろう”という思いから誕生したのが夏目です。ドラマ『SHUT UP』(テレ東)を見た際、ノートの貸し借りなど大学生の日常の一コマに当たり前に溶け込む草川さんの姿が印象的で、今回オファーさせていただきました。後半話ではまひろたちを引っ張ってくれるような年上の方を入れたいと阪元監督に相談したところ、誕生したのが日野です。ボサボサの髪で、顎ひげを蓄え、自分の服装に無頓着でお風呂とかも全然入らない…みたいな崩れたキャラクターがいいなと思っていて。ちょうどドラマ『錦糸町パラダイス~渋谷から一本~』(テレ東)を撮影し終えたタイミングで柄本さんにお会いしたのですが、金髪のボサボサ頭だったんですよ。雰囲気がまさに日野にピッタリで、ほとんどそのまま撮影に臨みました」
「まるで合宿みたいな静岡ロケ」
――ここからは本作のロケ地についても聞いていきたいと思います。今回印象に残っているロケ地はありますか。
加瀬「風林火山編に登場する豊門公園(静岡県小山町)ですね。静岡には1週間弱いたのですが、草川さんもコメントしていたように合宿みたいな感じでした。泊まりきりでの撮影だったこともあり、どこか夏休みみたいな空気感が流れていましたね。だだっ広い空間にある豪邸を丸々カナリヤ製作所として使えたのは贅沢でしたし、建物的に和の感じと洋の感じの両方撮れるのも貴重でした。宮原さん(本田博太郎)の習字シーンは和室で撮り、宮原さんの書斎は洋室で撮っています。ちょうど宮原さんが着ている衣装が和洋折衷なのでこのロケ地は本当にぴったりでした」
――素敵なロケ地に巡り合えてよかったです!ちなみに本作のロケ地を選ぶ上で意識した点はありますか。
加瀬「「ベビわる」シリーズは日常の中に潜んでいる物語という感じなので、コインランドリーや居酒屋など普通に営業している店が登場します。本格的な飾り込みはちさまひの家とちさとの実家に集中させて、今ある場所をいかにうまく使うか、現状営業しているままの姿っていうのを見せようというのを意識したロケ地選びだったと思います」
――二人の家とちさとの実家は作り込んでいるということですが、作り込みはどのような点にこだわったのでしょうか。
加瀬「作り込みに関しては最初の映画から携わっている美術の岩崎未来さんに一任していました。この作品の制作陣が意識しているのは、「使うもののリアルな商品名を出すこと」だと思います。ドラマでは商標物の許諾が大変なのでブランド名が分かるものは控えがちです。ただ今回はリアル感を出すため一個一個許諾取って、全部生のものを使うことにこだわっていました。結果、脚本段階から美術まで、いろんなところで商品名がめちゃくちゃ出ています。あと、7話に登場するちさとの実家の作り込みは「こんなの実家でしか見ないわ」みたいな小ネタがいっぱい詰まっています。画面いっぱいに“実家あるある”が映り込むのでぜひ注目して見てほしいですね」
――細部まで見逃せませんね!最後これから見る方にぜひメッセージがあれば教えてください。
加瀬「『ベイビーわるきゅーれ』自体が映画から始まったシリーズですが、今回ドラマから見ても楽しめるような構造を意識して作った作品です。ドラマを見てから映画『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』を見るという流れでも全然楽しめる内容になっていると思います。また本当に共感できる作品だと思うので、“なんかわかる~”と思うことがあればどんどんSNSに書いてほしいです」
――ありがとうございました!
水ドラ 25 『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』
2024 年 9 月 4 日(水)スタート 毎週水曜深夜 1:00~1:30 放送
出演:髙石あかり 伊澤彩織/飛永翼(ラバーガール) 水石亜飛夢 中井友望
草川拓弥/本田博太郎/柄本時生
脚本: 阪元裕吾
監督: 阪元裕吾 平波亘 工藤渉
プロデューサー:加瀬未奈(テレビ東京)鈴木祐介(ライツキューブ) 服巻泰三(ソリッドフィーチャー)
制作:テレビ東京 ライツキューブ
各話放送終了後から、広告付き無料配信サービス「ネットもテレ東」(テレ東 HP・TVer・Lemino)にて見逃し配信&動画配信サービス「U-NEXT」にて第一話から最新話まで独占見放題配信
<インタビュイー> 加瀬未奈プロデューサー
2019年入社。ドラマを中心に様々な作品を担当する。主な作品にバラエティー『アルコ&ピースのメガホン二郎』(22)、ドラマ『ひだまりが聴こえる』(24)、『人違いから始まる恋もある』(24)など。