休眠資源の活用で一歩リードの地域はココだ! 栃木県茂木町の新しい旅の形
緊急事態宣言が発令され、14日にはその対象が11都府県に広げられた。GoTo キャンペーンも中止になり、各地域の観光業はその対応に追われる。そんな中でもこの逆境に立ち向かうべく、Withコロナの先にあるこれからの観光を見据えて、さまざまな取り組みに挑戦している地域がある。そのひとつが栃木県茂木町だ。
コロナ禍で気づく地域の課題
茂木町はもともと、真岡鐵道が運行する全国でも有数のSL・「SLもおか」や家族連れが一日楽しめるモビリティテーマパークの「ツインリンクもてぎ」などで有名であり、まちには年間で300万人の観光客がおとずれる。特にSLもおかは実際に乗車できるとして、鉄道ファンだけではなく、子ども連れにも大人気。ツインリンクもてぎも、長期休暇にはネット上に混雑予測が出るほど多くの人が訪れる茂木町のキラーコンテンツだ。
しかし茂木町はそれらの人気スポットに人が集中してしまうことを課題と捉えていた。コロナ禍においては密な状態ができやすいという状況が予想される。さらにその他の茂木町の魅力が伝わっておらず、観光客が分散しないという点も課題だった。
コロナ禍でもできる、今あるものを磨くということ
そこで茂木町は、伝え切れていないまちの魅力を盛り込んだウォーキングコースを作成し、訪れる観光客に対して密を気にせず、茂木町の自然の中で文化やグルメを楽しんでもらう新たな提案を始めた。「60分ウォーキングもてぎ10選 休眠資源活性化プロジェクト」と名付けられたこの事業(※)が提案するコースは全部で10コース。2020年12月には未成線「長倉線」をガイドの説明を聴きながら散策するツアーをすでに2回実施している。20名の枠に50人以上の応募がくる人気だという。地元メディアにも取り上げられ、休眠資源の活用の走り出しは上々だったようだ。
※観光庁「誘客多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成事業」実証事業
映画やドラマのロケ地も観光客を呼ぶ“休眠資源“
また、茂木町は映画やドラマのロケ地もまちの「休眠資源」と捉え、全国のロケ地を紹介する雑誌「ロケーションジャパン1月発売号」で茂木町のロケ地MAPを作成。浅野忠信などが出演し、2004年カンヌ国際映画祭オープニング作品で上映された映画『茶の味』や山下智久や菜々緒が出演するドラマ『インハンド』、その他バラエティー番組のロケ地を紹介。「休眠資源活性化プロジェクト」の10のコースとともに巡ることも推奨している。ロケーションジャパン編集部は「茂木町のロケ地には、作品の背景に選ばれるほど美しい風景と、旅番組が選ぶ絶品グルメがある。ウォーキングコースに合わせてロケ地巡りも楽しんでほしい」と語る。
まとめ
新しいものを生み出すには動きがとりづらい世の中だが、今あるものを見つめなおし、今できることに取り組む地域の姿勢には学ぶべきところがある。東京から車で2時間半の茂木町。緊急事態宣言が解かれたあとには、地域がwithコロナを見据えて準備をすすめた新しい旅の形を体験しにいってみてはどうか。