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2022.01.05

テレビ露出増で、魅力度ランキング急上昇! バラエティー・ドラマのロケ地で盛り上がる湯河原町の仕掛けとは!?

今年度も市区町村の魅力度ランキング(「地域ブランド調査2021」)が発表された。最も魅力度が高かったのは北海道札幌市で、2012年以来となる9年ぶり7度目の1位を記録。ランキング上位10地域には、函館市・小樽市・富良野市も入り、北海道の市が多くを占めたほか、もはや常連となっている京都府京都市や兵庫県神戸市、神奈川県横浜市、鎌倉市が顔をそろえた。

 

注目すべきは、昨年からの順位を大幅に上げた地域だ。続くコロナ禍で地域は声高に観光誘客ができず、シティープロモーションに困難を極めたことが推測されるが、急上昇した地域では何が起こっているのだろうか。

 

魅力度の伸びで並べ替えてみた中のトップ10のうち9地域は、前年度の魅力度ランキング上位100地域に入っていた、もともと知名度のある地域たち。一番ポイントが急上昇した長野県軽井沢町。前年20位から8位に大きく躍進した。もともと別荘地・観光地として有名なまちだが、リモートワークやワーケーションといった2拠点居住地として注目が集まっているという。

急上昇したトップ10のうち異彩を放っているのが、神奈川県湯河原町だ。唯一前年度の魅力度ランキングで100位にも満たなかったにもかかわらず、湯河原町は今年11.2ポイントも魅力度が伸び、前年122位から今年55位に急上昇。トップ100にも満たなかった地域が67位もごぼう抜きしたのだ。

 

湯河原町は神奈川県の南西部に位置し、芥川龍之介、谷崎潤一郎、島崎藤村などの数々の文人墨客から愛された落ち着いた風情の温泉地であるものの、周辺の神奈川県箱根町や鎌倉市、静岡県熱海市と比べると、昨年までのランキングでは大きく差が開いていた。

 

そんな湯河原町が、なぜ今急上昇したのか。ひとつの要因として、テレビ露出が増え、知名度が上がったことが考えられる。湯河原町は2020年度より観光地としての知名度アップ・シティ―プロモーションのためにロケツーリズムに取り組み、ロケ誘致・受け入れを積極的に行ってきた。これまでに町内で撮影を支援した作品は37作以上。最近は『モヤモヤさまぁ~ず2』や『路線バスで寄り道の旅』などバラエティー番組のロケ地として、テレビで見かけることが頻繁になっている。

 

そんな町を新しく知ってくれた人に向けて、アフターコロナでいかに町を楽しんでもらうかの観光政策に湯河原町は取り組んでいるという。

 

11月末には、観光庁「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進に向けた実証事業(第一次)」の支援を受け、「モニターツアー」を実施した。旅・情報番組で紹介されて話題となっているロケ地で体感・体験をすると共に、国指定重要文化財にも指定されている老舗旅館めぐりをする旅のプランを提案。

ツアー参加者は観光について研究を行っている跡見学園女子大学生15名で、この町でしか味わえない老舗旅館を巡った。今回のツアーでは「おんやど恵」「富士屋旅館」「上野屋」「伊藤屋」「藤田屋」の5つの旅館を、“湯河原人”と呼ばれる湯河原の魅力やまちの歴史に明るい旅館のおかみや観光ボランティアが案内。参加者は、古くから高級旅館や別荘が立ち並び、各界の著名人がお忍びで訪れることでも知られる、湯河原町の情緒あふれるまちの成り立ちを知ることができたという。

旅館めぐりの後は、湯河原町の魅力を再発見するロケ地巡りへ。バラエティー『タイプライターズ~物書きの世界~』で紹介された自然あふれる万葉公園を訪れたり、情報番組『食彩の王国』で取り上げられた「and garden」の豆腐料理を堪能したりとロケ地を満喫し、ロケツーリズムという付加価値のある観光を心から楽しんだそうだ。

 

バラエティーやドラマなどのテレビ番組や映画のロケをシティ―プロモーションにも活用している湯河原町。ロケは第三者的にまちの魅力を発見し情報発信してくれるので、まちにとってはその財産を再認識することができる。そのロケを受け入れただけでは終わらず、積極的に観光につなげていく湯河原町の取り組みは、観光誘客やシティ―プロモーションに取り組む全地域のお手本の一つと言えるだろう。

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