もう「銚子の隣ね」とは言わせない! 千葉県旭市がエンタメの力でまちの魅力再発見
ロケを活用したPRの動きが活発化
ここ最近、ロケ誘致をきっかけに地域をPRするロケツーリズムの動きが盛んだ。アカデミー賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』のロケ地として話題になった広島市も、聖地巡礼ツアーなどを企画し、観光誘客に繋げている。そんな中、千葉県北東部に位置する旭市がロケツーリズムの取り組みをスタートした。実は千葉県内第1位、全国でも第5位の農業産出量を誇り、刑部岬などの観光スポットもある旭市だが、名前を出しても「あぁ、銚子市の隣だよね」と言われる始末……。今回は、そのような状況を脱却すべく、市の知名度を上げ、旭市ブランドを確立するための、街を上げたロケツーリズムへの取り組みに注目した。
ロケツーリズムの動き強化! 市長も期待
写真左:株式会社地域活性プランニング代表 藤崎慎一、同右:旭市長 米本弥一郎氏
千葉県旭市は2022年4月21日に地域活性プランニング(東京都港区)と「包括連携に関する協定書」を締結。ロケの活用によるシティプロモーションに実績のある地域活性プランニングと協力することで、映画やドラマ、報道番組を活用した効果的な情報発信を通じ、課題解決に取り組む。具体的には、官民一体の組織づくりや地場産品・地域のPRなどを通してシティプロモーションを強化していく予定だ。 米本市長もこの取り組みに期待を寄せており、協定締結時の記者会見では「市民の皆さんにもう一度旭の良さを認識してもらうとともに、食べ物がおいしく、気候も温暖で、自然豊か。そして、人が優しいといった市の魅力を全国に発信したい」と語った。「必要なところでは前に立ち、市民の代表として取り組んでいく」と意気込み十分だ。
とにもかくにも、まずはロケ誘致。
ロケハンツアーでは旭中央病院や市役所などが人気だった。
5月11日には早速、映像制作者を招いてのロケハンツアーが実施された。実際に旭市役所や国保旭中央病院などが好評で、参加した映像制作者からは「旭市役所の入り口は銀行のロビーとしても使えそうなくらい重厚感があっていいですね。銀行はロケしにくいので代わりに撮影出来たら嬉しい」と地元の人では気付けないロケ地としての使い方をアドバイス。いい話はもちろんだが、今後旭市がロケツーリズムをおこなっていく上で改善していくべき点など、率直な意見交換も行われた。具体的には「ロケ地としての魅力は受け入れの体制面も大きい。市役所の方がロケ対応で立ち会ってくれると嬉しい」という声が。撮影受け入れ体制がまだ整備できていない旭市は、早速体制の強化に取り組み出した。
ロケ対応は万全の体制で!
ツアー終了後、早速事務局ミーティングを開催。課題と解決策について話し合いが行われた。
今回ツアー対応をした旭市企画政策課の田中さんは「旭市の強みと弱みが分かったことで目標も明確になった。今後も制作者の意見を聞き、改善を繰り返しながら、旭市を映像作品でPRするために頑張っていきたい」と語った。 もともと旅番組や情報番組での露出が多かった旭市だが、今回のツアーで気づきとなった「幅広く様々な画が撮影できる強み」を活かし、今後はドラマや映画のロケ誘致も強化していく予定だ。制作者の声も活かし、7月には市役所に窓口を一本化し、民間企業の協力を得ながら街を上げて撮影に取り組んでいく「旭市ロケーションサービス」が立ち上げられる。 映像制作者にとって撮影しやすい環境が整い、その作品によって市民のシビックプライドが醸成される。そして旭市の名前が全国に……。「もう、銚子の隣とは言わせない」その野望を抱き一歩を踏み出した旭市が、今後どのように変化していくか注目だ。