『愛の不時着』『孤独のグルメ』効果で店舗拡大!? ヒット作から生まれる“グルメ”の可能性
2018年10月に日本に上陸した、韓国発祥のフライドチキンブランド「bb.q オリーブチキンカフェ」(運営会社:ワタミ)が国内で店舗拡大を進めている。
日本でも大きな反響を呼んだ韓国ドラマ『愛の不時着』へのメニュー提供が話題になった同店。その影響もあり、2021年1月時点で3店舗だったが、10月には12店舗と出店数を伸ばし、年内には19店舗の展開を目指す。
ワタミ広報「2020年度は前年比150%」
『愛の不時着』はパラグライダーで北朝鮮に不時着した韓国の令嬢と、北朝鮮の将校が織りなす切ない恋物語。第10話で北朝鮮の兵士が好んで食べたのが「bbqオリーブチキン」だった。
ロケーションジャパン編集部はワタミの広報担当者に取材。
「(『愛の不時着』が日本で放送された)2020年度のフライドチキンの売り上げは前年比150%となっています。ドラマの影響や、コロナ禍におけるテイクアウト需要の増大が要因にあると考えられます」
と回答した。
さらにワタミが11月5日に発表した資料によれば、2021年1~10月には、主力商品である「オリーブチキン」が昨対比295%、「ヤンニョムチキン」が400%、「オリーブチキンフィンガー」のが330%と、販売本数を大きく伸ばした。
『愛の不時着』ではヤンニョムチキンも登場。同店における2021年1~10月の「ヤンニョムチキン」販売本数は昨対比400%にのぼった。発表資料では、販売好調の要因の一つとして「韓国ドラマ『愛の不時着』の大ヒットで、ヤンニョムチキンの認知が大きく広がり販売につながった」と挙げている。
このように、話題のドラマや映画に登場したグルメが経済効果を生み出すケースは少なくない。
『孤独のグルメ』に登場した「わさび丼」が名物に
2021年に放送されたドラマ『孤独のグルメSeason9』(テレビ東京)では、2013年放送のSeason3にて話題となったメニュー「わさび丼」が8年ぶりに再登場した。
『孤独のグルメ』は輸入雑貨の貿易商・井之頭五郎(松重豊)が一人で飲食店を渡り歩くシリーズで、わさび丼は五郎が初めておかわりをした一品。ロケが行われた「わさび園かどや」(静岡県河津町)に未だに客足が絶えない。まかない飯であったわさび丼は町内での提供店舗数が2店舗から15店舗に拡大し、現在では“河津町の名物”と言われるまでにわさび丼の知名度を押し上げた。
本来であれば店舗に食べに行きたいところだが、まだ旅行に踏み出せないという人もいるだろう。しかし必ずしも遠出する必要はなくbbqオリーブチキンはデリバリー、わさび丼は店舗によってはオンラインで購入することができる。
このほかNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』では、宮城県登米市の郷土料理である「はっと汁」が作中に何度も登場。ツイッターでは、放送後に自宅で作ってみたという投稿が相次いだ。作品に出てくるグルメの影響は、店舗で購入するだけに留まらないということだ。
11月15日(月)発売のロケーションジャパン12月号では、このようなドラマ・映画に登場したお取り寄せできるグルメを特集で紹介。このほか、芸能人のマネージャーおすすめのお持たせや、2021年10月以降から放送・公開されている注目の作品を特集している。
新型コロナウイルスの影響がまだ続くと思われる今年の冬。気になる作品のグルメを取り寄せたり、自分で作ったりしてみるのも良いかもしれない。