平成に放送された朝ドラの中でも大ヒット作として知られる小説『あまちゃん』。
放送10周年を迎えた今年、BSで再放送が行われるとSNS上で「あまちゃん再放送」「じぇじぇじぇ」「前髪クネ男」などドラマ関連ワードが連日トレンド入りするなど話題になっていたが、先週ついに最終回を迎えた。 ドラマのメイン舞台“北三陸市”のモデルでありロケ地にもなったのが岩手県久慈市。海女たちが潜る「小袖海岸」や数々の出会いと別れが生まれた「三陸鉄道」など様々な名場面を三陸の美しい景色と共に彩ってきた。ドラマが放送された2013年以降、“あまちゃんの舞台を生で見てみたい”と国内外から多くの観光客が久慈市を訪れている。

                                「三陸鉄道　久慈駅」

 

そんな中、『あまちゃん』が撮影された実績を地元の活性化の起爆剤にしようと久慈市では域内連携団体「あまちゃん協議会」と協動しこれまで様々な取り組みを行ってきた。例えば、放送翌年の2014年からは市の商工・観光関係者が「あまロスなげき隊」を結成しまちをPR。ロケ地MAPの作成や市内10カ所にあるロケ地に「ロケ地看板」を設置。ファンからイラストを集った“あま絵”をシャッターアートにして展開し、あまちゃんファンを喜ばせた。一方、作品のファンらが声をあげ、作品愛を思い出させるイベントを開催しようと「あまちゃんサミットin久慈」も定期的に行われてきた。また久慈市では、ロケ実績の活用と展開でシビックプライドの醸成を目指すロケツーリズム協議会のセミナー（東京都内で年5回開催）にも参加し、まちのPRに勤しんできたという背景もある。 こうしたロケ実績を活用した効果的な地域活性の取り組みが評価され、2019年には「2018年度ロケツーリズムアワード　地域大賞」に選ばれ、朝ドラ効果を一過性にせずに、継続的に地域活性に繋げるひな形事例として一気に知名度を向上させた。

「小袖海女センター」

放送後も長きにわたり『あまちゃん』の撮影実績をロケツーリズムに活用してきた久慈市。
久慈市役所産業経済部商工観光課の職員・安堵城隼一さんは「『あまちゃん』の放送がきっかけで久慈市を知る人も増えた。これからは久慈市の景色や食に実際触れることで、『あまちゃん』だけでなく久慈市のことも好きになってもらえれば」と語る。 放送10周年を迎え再放送も行われた今年は、『あまちゃん』ファンが790万円あまりをクラウドファンディングで集めて制作された特別ラッピング車「三陸元気！GoGo号」の走行や、主演ののんさん・『あまちゃん』のオープニングテーマを手掛けた大友良英さんらが来訪し「あまちゃんコンサート」が開催。また『あまちゃん』再放送の最終回放送日でだった9月29日から30日にかけては1泊2日で『あまちゃん』のロケ地やゆかりのある場所を楽しみながら周遊する久慈の魅力が詰まった体験型モニターツアーも実施された。

ロケ地巡りを楽しむ参加者たち

ツアー1日目はおもに『あまちゃん』のロケ地巡りがメイン。「小袖海岸」や 琥珀が採れる「坑道」などを周遊したほか、昼食には作中に登場した久慈名物「ウニ弁当」が振る舞われた。2日目は久慈の新しい魅力を体験するターン。地下水族館「もぐらんぴあ」のバックヤード見学やバイオマスエネルギーによって栽培されたしいたけの収穫も体験。また、ドラマでおなじみの郷土料理・まめぶも作り実食した。参加者は「あまいんだかしょっぱいんだか」な形容しがたい美味しさに舌鼓を打ったようだ。2日間を通して最初から最後まで『あまちゃん』だけではない久慈の魅力が詰まったツアーになった。

ツアー参加者からは「今回のツアーを通して久慈の魅力が分かったのでまた来たい」「今度は2泊してもっといろんな体験をしたい」などの声が寄せられた。

第2弾のモニターツアーは11月に2泊3日で実施予定だ。今回の体験に加え、ドラマに登場した三陸鉄道への乗車や平庭高原トレッキング、平庭闘牛見学などさらなる久慈市の魅力を体感できるコンテンツを展開する。現在ツアー参加者募集中なので気になる人はぜひ申し込んでみてほしい。

放送終了後もロケツーリズムによって魅力発信を続けているからこそ、『あまちゃん』の街として長い間愛されている久慈市。今後も『あまちゃん』の聖地・久慈市からますます目が離せない。