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権利処理
2022.06.07

「権利処理」の駆け込み部屋 VOL.30 “ロケ地マップや看板でMVを紹介する場合、どんな権利処理が必要?”

ロケーションジャパンの人気連載、「権利処理」の駆け込み部屋をWEBで一挙公開!「撮影風景を写真で撮ってもいいの?」「お店の宣伝に使ってもいいの?」など、ロケの受け入れを行う自治体担当者やお店などから届く「権利処理」の疑問に対して、田中康之さんと國松崇さんが回答してくださいます!

Q

ロケ地マップやロケ地看板でミュージックビデオを紹介する場合、アクセスするQRコードや楽曲の一部を使いたいのですが、どのような権利処理をすればよいでしょうか?

 

A

利用目的をはっきりさせて、JASRAC等に許諾申請を出せば、基本的に許諾を得ることができます。

 

田中 ミュージックビデオ(MV)は①楽曲,②詞,③歌唱実演,④演奏実演,⑤映像,⑥音源から成る複合的な著作物だと言えますが、まずはそれぞれの権利について教えてください。

 

國松 楽曲や詞に関しては、作詞・作曲家に著作権が発生します。歌手の歌唱実演、その他演奏者による実演には、それぞれ実演家としての著作隣接権、映像には映像としての著作権、映像の中で使用されている音源については、レコーディングした人にレコード製作者としての著作隣接権(いわゆる「原盤権」)が発生しています。よって、MVを使用したい場合は、使用の実態に合わせて、これらの権利者から許諾を得るのが原則になります。

 

田中 ロケ地マップやロケ地看板に楽譜や歌詞を載せたりするには、どのような権利処理が必要でしょうか。

 

國松 多くの楽曲は作詞作曲にかかる著作権をJASRACやNexToneといった著作権管理事業者が管理しています。なので、権利者と個別交渉せずとも、利用実態に応じてJASRAC等に許諾申請を出せば、基本的に許諾を得ることができます。

 

田中 QRコードを掲載してMVが置いてあるウェブサイトに飛ばせるような仕組みを設けるのはどうですか。

 

國松 QRコードを通じてアーティスト公式のMV設置ページなどに飛ばすのは、いわゆる「リンク」を設けるのと変わらず、特に誰の許諾も必要ありません。一方、自身の管理するウェブサイトにMVを設置し、そこに誘導したいような場合は、JASRAC等から利用許諾を得るだけでなく、先ほど言及したような原盤権、実演家の権利、映像自体の著作権など、様々な権利をクリアする必要があります。

 

田中 まずは使用したい楽曲を管理しているレコード会社等に問い合わせるなどして、どこにどう許諾を求めたらいいのか確認するのが安全ですね。現在政府文化庁では、「簡素で一元的な権利処理方策」を文化審議会で審議しています。詳しくはWebで解説しています。

 

=====以下、Web版のみ掲載=====

 

田中

「知的財産推進計画2021」によると、現在我が国では、著作権管理団体に委託していない人のコンテンツも一元的に権利処理できるようにして、利用許諾の負担を軽減する「簡素で一元的な権利処理方策」を実現するべく審議が進んでいます。これは、過去の映像やアマチュア作品などを利用しやすくし、権利者への適正な対価還元を目指す取り組みです。

 

國松

そうですね。きちんと団体によって集中管理されている著作物は,従来どおり,特定の著作権管理事業者を通じて処理するという枠組みを維持しつつ,たとえば,そういった団体による管理もされておらず,著作権者等も不明,権利処理に必要な意思表示もない、連絡が取れない、連絡を試みても返答がないといったケースについて、横断的で,新しい一元管理の権利処理の仕組みを創設しようという動きです。これが実現すれば,今まで使えなかった著作物を利用した新たな作品やビジネススキームの開発が促進されることが期待できます。

 

田中

ネット動画配信などは、権利処理の迅速性を求められており、「簡素で一元的な権利処理方策」をコンテンツプロバイダー側から要請されていると言われています。政府としては,海外へのコンテンツ展開なども睨み,ビジネスサイドからの要望に応えて,複雑で専門的な知見が求められる権利処理の問題を,より簡素化する方向で進めていきたいと考えているのでしょうね。

 

國松 損害賠償などの訴訟リスクが桁違いになることもある海外(特に米国)は,非常に権利処理の問題に敏感で,どのような場面においても,きちんと漏れなく適正な権利処理が済んでいなければ,本格的にビジネスを展開することが難しいという現状があります。その意味では,複雑な権利処理の仕組みから脱却できていない日本のコンテンツ戦略はまだまだ発展途上であり,そのことも十分に意識した取り組みだと思います。

 

田中

そのほか,デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進は、文化芸術における創作・流通・利用に大きな影響を与えるので「デジタル時代における著作権制度・関連政策の在り方検討タスクフォース」(2020年9月)では、デジタル時代の実態に応じた著作権制度を含めた関連政策の在り方について、デジタル時代に対応した利用円滑化方策と権利者の利益保護の両立を目的として、

①補償金付権利制限規定

②混合型(メンバー:集中管理、ノンメンバー:補償金付権利制限規定)

③拡大集中許諾制度

④権利者不明等の場合の裁定制度の抜本的な見直し

の4点について,デジタル時代の簡素で一元的な権利処理を可能とし、権利者の意思の尊重にも留意し、権利処理に当たっての障害を解決できる制度改革が必要であるとされています。こうした動きにも期待したいですね。

 

 

■回答者プロフィール
権利処理_20190912_01 (1)

 

 

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