「権利処理」の駆け込み部屋 VOL.43 シーン写真やサイン色紙をデジタルサイネージで使用してもOK?
ロケーションジャパンの人気連載、「権利処理」の駆け込み部屋をWEBで一挙公開!「撮影風景を写真で撮ってもいいの?」「お店の宣伝に使ってもいいの?」など、ロケの受け入れを行う自治体担当者やお店などから届く「権利処理」の疑問に対して、田中康之さんと國松崇さんが回答してくださいます!
Q. ロケに来た作品のシーン写真やサイン色紙を民間企業や自治体がデジタルサイネージで使うことはできるのでしょうか。
A 著作権法的にOKな場合もそれ以外の権利が働く可能性があるので、事前に許諾を取っておくことが賢明
田中 そもそも、著作物の利用について、民間企業と自治体との区別はありますでしょうか。
國松 著作権法においては、一部の定めに法人と個人を区別するものはありますが、著作物の利用に関して、民間企業だからとか、国や自治体だからといった形で区別するような規定はありません。
田中 フリー素材のイラストや楽曲等の利用について、よく商業利用の場合には有償といった但し書きがあったりしますが、著作権法において、商業利用と個人利用の区別はありますでしょうか。
國松 著作権法の条文でいうと、個人的な利用に関しては「私的使用のための複製(著30条第1項)」がありますね。私的使用であれば、複製に当たって著作権者の許諾を要しない、というものです。ほかに、楽曲などに関しては、「営利を目的としない提示等(著38条第1項)」があります。「非営利・無償・無報酬」であれば、同じく許諾なしに著作物を上演などすることができます。ただ、こうした制限規定については、判断が難しいケースもありますので安易な判断は避けた方がよいです。
田中 そうですね。「制限規定」に該当するかどうかを著作権法の専門家に判断してもらうことをお勧めします。仮に制限規定の適用が難しいとなった場合、ロケのシーン写真などをデジタルサイネージなどで表示することについては、通常制作サイドに許諾を取る、民間企業や自治体の職員が撮影の合間に記録として撮影した写真などの場合は、所属する民間企業や自治体の「職務著作」として判断すればよいということになりますね。
國松 そのとおりです。ただ、写真に出演者が写っている場合、それを作品自体のPRを超えて、自分たちの宣伝・広告にも利用していると見えかねない場合は、別途出演
者のパブリシティー権がはたらく可能性がありますので、注意が必要です。
田中 「権利処理確認書」などでデジタルサイネージ等の掲示方法や掲示内容について、事前に制作サイドや出演者再度に確認を取っておくのが望ましいですね。サイン色紙はどうでしょうか。
國松 サイン色紙は、自分で用意したか、譲渡を受けたものですし、普通はサインそれ自体には著作物性は認められませんから、デジタルサイネージでの複製・表示は問題ありません。
田中 ただ、サイン色紙もデジタルサイネージでの複製・表示が予め分かっている場合には「権利処理確認書」に記載しておく方が、出演者に対しては親切だろうと思います。具体的な事例についてはWebで解説します。
【Web解説はこちらから】
参考事例を紹介いたしますので、ご参考にしてください。
■ロビーでの展示事例
(静岡県伊東市)
(千葉県茂原市)
■ロケ写真などの展示事例
(岐阜県飛騨市)
(静岡県西伊豆町)
■動画をはめ込んだHP事例
(長崎県島原市)
田中 いずれも、一緒に写り込んだ地元の特産品などがあれば、紹介するなどして情報発信の工夫をすることをお勧めします。
■「権利処理の駆け込み部屋」で聞きたいこと大募集!
質問はこちらから