「権利処理」の駆け込み部屋 VOL.44 ロケに来た俳優さんがSNSで地域や店舗が分かるように投稿してくれたものを印刷して掲示しても大丈夫?

ロケーションジャパンの人気連載、「権利処理」の駆け込み部屋をWEBで一挙公開!「撮影風景を写真で撮ってもいいの?」「お店の宣伝に使ってもいいの?」など、ロケの受け入れを行う自治体担当者やお店などから届く「権利処理」の疑問に対して、田中康之さんが回答してくださいます!
Q. ロケに来た俳優さんがSNSで地域や店舗が分かるように投稿してくれたものを印刷して掲示しても良いでしょうか。
A. 原則NGです。 「複製権」の 侵害となります。
SNSの創作性のある投稿文は「言語の著作物」、歌詞は「音楽の著作物」、写真は「写真の著作物」、画像・動画は「映画の著作物」にあたります。よって、それを無断で印刷することは、複製にあたり「複製権」の侵害となります。また、画像や動画を自社Webに転載する行為は「公衆送信権」の侵害となります。
ただし、投稿されたSNSをWeb画面で紹介したり、リンクやリポスト機能を使ってWeb上に表示・掲示したり、合法的に「引用」することは著作権侵害にはあたりません。
気をつけなければいけないのは、俳優(実演家)にはパブリシティー権が認められているということです。あたかも俳優が地域やお店を紹介している事実を超えて「顧客吸引力」で応援しているように利用することはパブリシティー権の侵害となりますので、気を付けましょう。
SNSに投稿されたもので、創作性が認められないものは著作物ではありませんので、許諾なく使用することができます。
例えば、①ごく短いものであるとき。②表現形式に制約があるため、他の表現が想定できないとき。③表現が平凡かつありふれたものであるとき。という裁判所の判示がありますが、創作性の判断は難しいので著作権法の専門家に判断を委ねましょう。
ロケ地であることを情報発信することは重要ですので、俳優のSNSを紹介する場合にはリポストや共有機能を使って拡散をするなど、拡散効果のあるインターネット媒体機能を駆使した取り組みが効果的です。
印刷して掲示するためには、原則権利処理が必要ですので、「権利処理確認書」などで事前に許諾を得ることを心掛けましょう。そのためには、ロケ作品をどのようにして地域や店舗プロモーションに活用するのかを予め検討して、ロケ誘致に取り組むことをお勧めします。
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