インバウンド効果を狙え!「聖地化」目指し、自治体×制作者がマッチング
映画・ドラマなど作品の力で地域活性を目指す「第4回ロケツーリズム協議会」が11月16日に渋谷キューズにて開催された。今回は、“自治体×エンタメ”の力でインバウンド効果も狙おうと、202名の自治体・企業・映像制作者が集結した。
また、自治体・企業21団体と映像制作者51名を引き合わせる「マッチング大会」も行われ、盛り上がりを見せていた。
首長自ら地域をアピール
会の冒頭であいさつを述べた観光庁 文化・歴史資源活用推進室の室長・遠藤翼さんは、
「10月の訪日外客数がコロナ禍前の水準をようやく上回りました。ロケツーリズムの取り組みをさらに加速していけるタイミングです。地域にある素晴らしい魅力を世界中に発信していければと思います」
と話す。
今回の会には、北海道上富良野町、千葉県茂原市、神奈川県綾瀬市、岐阜県飛騨市、静岡県下田市、静岡県東伊豆町、静岡県西伊豆町、静岡県川根本町、愛知県蒲郡市、愛知県幸田町、長崎県島原市の、11自治体の市町長もしくは副市長が参加。マッチング大会では制作者の話に耳を傾け、自身の地域の良さを売り込んだ。
参加地域の一つ、岐阜県飛騨市は2016年公開の映画『君の名は。』のモデル地の一つとしてかつて大きな話題になった。『君の名は。』をきっかけにロケに力を入れ始め、映画、ドラマと実績を増やし続け、今春に公開された映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』ではオール市内ロケを敢行。会に登壇した都竹淳也市長は、
「映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』では監督に『カメラを振り回しても余分なものが一切入らない。なかなかこれだけの場所はない』と仰っていただきました。昭和の雰囲気や自然、昔懐かしい街並みが特徴的なまちです。封鎖できる林道や完全立ち入り禁止にできるエリアもたくさんあるので、今後はどんな要望にでも応えられる地域を目指します」
とロケのまちとしての手ごたえを語った。
「ロケ」が社員のモチベーションに
ロケがもたらすメリットは観光だけではない。
現在放送中のドラマ『いちばんすきな花』(フジテレビ系)の撮影でバスを貸し出している東急バスの古川卓取締役社長は、近年社会問題となっている「バスの運転手不足」に触れ、
「この1年間だけで、バス運転手が50人も減っています。大変な状況の中でロケツーリズム協議会に相談したところ、地域活性と同じように公共事業も活性化できるのではないかというお話をいただきました。ロケツーリズムに積極的に参加をすることで、社員のモチベーションが上がってきているのを感じています。」
と、コメント。社員のモチベーションアップにロケが一役買っているという。
単純な撮影収益だけではない効果を期待する自治体・企業が参加したマッチング大会。参加する映像制作者の意識も単なる「ロケ地探し」の域を超えたものに変わってきているようだ。
何度かマッチング大会に参加しているというTBSスパークルの松井和彦プロデューサーは、
「毎回来るたびに地域・企業の圧倒的な熱量を感じます。作品作りには『ストーリーに合う場所を選ぶか』『場所に合ったストーリーを作るか』という二つのアプローチがありますが、アプローチ方法も様々なので、ぜひ地域とオリジナルコンテンツや課題解決に繋がるストーリーというのを作ってみたいと思いました」
と話す。インバウンドが急増する中、「ロケツーリズム」の輪がどれだけ広がっていくのか今後に期待だ。