茂原市が市内初の英語版ロケ地マップを作成 『あの花』『教場』のロケ地も
千葉県茂原市が、市内で撮られた作品を紹介する「ロケ地マップ」の2023年度版を発行した。
5年前から毎年作っているロケ地マップだが、6年目となる今回は市では初めての「英語版」も作成。ロケ地巡りと地元の工場を巡るオープンファクトリーを掛け合わせ、インバウンドの需要取り込みを目指す。
制作者の「理想」叶える
同市は2018年に千葉もばらロケーションサービスを立ち上げ、ロケ誘致をきっかけに地域の活性化を目指す「ロケツーリズム」に取り組み始め、今年で6年目を迎える。
ロケ地マップではディズニープラスで配信中の『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』や、今年放送された人気ドラマ『風間公親 ―教場0―』(フジテレビ系)、年明けに公開を控える映画『笑いのカイブツ』(1月5日公開)などのロケ地を、場面写真やメイキング写真つきで紹介している。
映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』撮影の様子
現在公開中の映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』では主人公・百合(福原遥)のタイムスリップの鍵となる「防空壕」を市内の「木生坊(きしょうぼう)隧道」で撮影。西麻美プロデューサーは、
「今回一番難航したのが“防空壕”のロケ地探しでした。木生坊隧道では3日間昼夜の撮影、しかも『雨降らし』や通行止めもOKだったので感謝しています」(ロケ地マップより引用)
とコメント。
また、『笑いのカイブツ』の滝本憲吾監督も、茂原ショッピングプラザ アスモでの撮影について、
「アスモさんにご協力いただき、営業時間内で撮影できました。その日はオールアップで主演の岡山天音さんが店内のイベントステージであいさつ、たこ焼きを買って打ち上げをしたのも思い出です」(ロケ地マップより引用)
とコメントするなど、制作者からの信頼も厚い。
アフターコロナでインバウンドも視野に
2023年1月~11月末にかけて59本もの作品を受け入れ、その直接経済効果は約380万円ともいわれる茂原市。その背景には、千葉もばらロケーションサービスが6年間で培ったロケ対応力と発信力、都心から車で約1時間という好アクセス、立ち合いから小道具の収集まで幅広く撮影をサポートする市民団体「もばロケ☆ネギらい隊」の存在が大きく影響している。
市内外への周知を図るため、市役所では撮影に訪れたタレントのサインや作品のポスターを展示。市立図書館では作品のDVD貸し出しや上映会を行うなど、市民への周知も徹底して行う。
市立図書館のロケ関連コーナー
2年前からは、全国でもトップクラスのメーカーが市内に集積していることを生かし、オープンファクトリーとロケ地巡りを掛け合わせたモニターツアーを実施するなど、観光誘客の仕組みづくりにも力を入れている。
さらに新型コロナウイルス感染症が5類に移行した2023年度は、観光庁の「インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業」として「〜MOBARAの技術力を世界へ〜 首都圏型の茂原オープンファクトリー造成事業」を展開。ロケ地マップの英語版を制作し訪日外国人観光客の取り込みも目指す。
千葉もばらロケーションサービス発足時からロケを担当している商工観光課の深山渚さんは、
「アフターコロナでインバウンド需要の高まりを感じます。地元にもともとある産業と、近年実績が伸びているロケを生かし、観光誘客につなげていきたいです」
と意気込む。