朝ドラ『おかえりモネ』 「百音が暮らす家」に秘められた美術のこだわり
第1話視聴率19.2%、その後も平均2桁をキープ(2021年6月30日現在)しているNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』。百音が働きに出ている宮城県登米市と百音の故郷・気仙沼市の2か所が舞台となっており、それぞれのまちの美しさにも注目が集まる。視聴者からは「現地に行ってみたい!」という声もあがっているようだ。
雑誌「ロケーションジャパン 6月号(No.105)」(2021年5月15日発売)では『おかえりモネ』の舞台であるロケ地・宮城県と、舞台美術の特集を掲載。『おかえりモネ』で美術を手がけている岩倉暢子さんにインタビューを行い、登米市と気仙沼市の景色と共に、それぞれの場所での「百音が住む家」に注目している。
登米市で百音が居候しているのは「山の家」だ。山主の新田サヤカ(夏木マリ)が「ついのすみか」として建てたという設定の家で「新しい家なのでモダンをテーマに造りました」と岩倉さん。
地元の名士であるサヤカは、伝統と新しいものを融合させるセンスの持ち主。岩倉さんは「海外の和テイストが入ったタウンハウスを参考にしました」と語っている。また、宮城県では豪華な神棚を置く特徴があることから神棚の造りにも力を入れており、「(神棚の)紙飾りは地元の神社に作っていただいた」というこだわりについても触れた。
一方、「海の家」となる百音の実家・気仙沼の永浦家には、漁業が盛んな風土を生かした風合いと、百音の今までの人生が盛り込まれている。古い漁具や貝殻を再利用した小道具には土地柄が、使い込まれた座卓・壁に掛けた郵便物入れには「実家感」がたっぷり。岩倉さんが苦労したのは、意外にも百音の部屋。「百音が音楽を諦めた経緯の名残を残すバランスが難しかった」とのこと。
岩倉さんの「こだわり」は、まだまだ作中で変化を見せていくという。登米市の新田家、百音の部屋の壁に飾られた写真にお気付きだろうか。この写真は、今後の百音の「歩み方」により、変化していくのだとか! 7月からは東京編もスタートする『おかえりモネ』。各シーンに登場する美術のこだわりに注目して見れば、より作品が楽しめるかもしれない。