数々の名作が生まれた地・滋賀県大津市 『るろ剣』『ちはやふる』ロケ地を巡るツアーで観光誘客へ
『るろ剣』『ちはやふる』など多くの作品を生み出してきた滋賀県大津市が、作品をきっかけに観光誘客を促す取り組みに力を入れている。
大津市は1300年以上の歴史を有し、近江神宮や比叡山延暦寺をはじめ、数々の神社仏閣や歴史的な街並みが残る。“時代を超えた画“を求める映像制作者からロケ地として選ばれ、数々の作品が撮影されてきた。
最近では市内にある瀬田川洗堰が重要な場面で登場した映画『翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~』が大ヒットを記録。2024年には石山寺(大津市)で『光る君へ』大河ドラマ館のオープンを控え、さらなる盛り上がりを見せている。
ロケ地巡りを旅のきっかけに
過去には、大河ドラマ『麒麟がくる』『鎌倉殿の13人』『江~姫たちの戦国~』、映画『るろうに剣心』『ちはやふる』が撮られ、まさにロケ地のメッカとなっている大津市。その中でも、根強いファンが存在する作品は、年月が経ってもロケ地に訪れる人が後を絶たない。
その例の一つが映画『るろうに剣心』シリーズ。ファンにとって、全5作のうち2作に登場する三井寺は “聖地巡礼”に欠かせないスポットになっている。
また、『ちはやふる』のファンの間では、主人公たちが優勝を目指す、競技かるたの大会が行われる近江神宮へ行き、主人公たちと同じように袴を着て“なりきり写真”を撮るのが人気だという。作品の世界観をそのまま追体験できるのは聖地巡礼の醍醐味といえるだろう。
さらに2024年放送の大河ドラマ『光る君へ』の主人公・紫式部のゆかりの地であることから、石山寺では「光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館」と「源氏物語 恋するもののあはれ展」が2024年1月29日~25年1月31日の期間に開催される。
これを機に、国内外からの観光客を呼び込もうと動き出したのがびわ湖大津プリンスホテル(大津市)だ。
同ホテルでは館内で無料配布するロケ地MAPを23年11月に発行。表紙は『るろうに剣心』のシーン写真を大きく使用し、中ではびわ湖大津プリンスホテルから電車やタクシーで巡れるロケ地や観光名所、グルメスポットを紹介している。大津市で撮られた作品は海外ファンも多いため英語版も用意しインバウンド誘致と満足感アップを目指す。
さらに国内外からの観光誘客を図るため、12月15日、16日には「絶景×美食×エンタメの滞在型観光コンテンツの造成事業モニターツアー」が開催された。このモニターツアーは、観光庁の「インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業」の支援を受け、ロケ地情報誌「ロケーションジャパン」編集部が企画・監修プロデュースしている。
宿泊はびわ湖大津プリンスホテル。地上38階建ての最上階のレストランから琵琶湖を眺めながら近江牛のフレンチフルコースが振る舞われた。コースのラストでは湖上の船から打ちあがる花火のサプライズも。大津市のロケ地巡りでは欠かせない、三井寺と近江神宮にも訪れ、参加者はロケ地MAPを片手にガイドによる解説や写真撮影を楽しんだ。参加者からは、「ロケ地巡りと贅沢なホテル、両方じっくりと味わえてうれしかった」「作品を見直してまた来たい」と声が上がった。
24年1月には2回目のモニターツアーを開催予定。紫式部が源氏物語を起筆したといわれる石山寺もコースに含まれている。今後も大津市の“聖地”としての盛り上がりは見逃せない。