権利処理でロケ地を利活用 VOL.3 ロケの際に提供したロケ弁や撮影に使用した消えものを再現して販売しても大丈夫?

エンタメにまつわる権利のプロがまちや企業で行われたロケ実績の”利活用”に関するお役立ち情報をご紹介します。
「撮影風景を写真で撮ってもいいの?」「お店の宣伝に使ってもいいの?」など、ロケの受け入れを行う自治体担当者やお店などから届く「権利処理」の疑問に対して、田中康之さんと中山茂さんが回答してくださいます!
Q. ロケの際に提供したロケ弁や撮影に使用した消えものを再現して販売してもよいのでしょうか。その際に「映画『●●▲▲』のロケで使用されました」など作品名やロゴも使用したいです。
A.
田中 ロケ弁は、俳優やロケスタッフにとって撮影の大きな楽しみであり、撮影で使う食べ物は、食べて無くなるので「消えもの」といいます。ロケ弁や消えものを商業利用することはいかがでしょうか。
中山 ロケ弁や消えものについて、「映画『●●▲▲』のロケで使用されました」と紹介をするだけであれば、直ちに映画の著作物に対する権利侵害になるものではないと考えられます。
ただし、映画のタイトルを商品名に使用したり、俳優の名前や肖像などを商品説明に無断で使用したりして商業利用することは、権利侵害(商標権侵害やパブリシティ権侵害等)になる可能性があります。
また、撮影時の情報が、制作者との間で約束したことに当たる場合には、無断で情報を開示することが「秘密保持義務違反」となる可能性もあります。
一方で、実際には、俳優さんがロケ弁や消えものに関して好意的に紹介するような場面もあり、製作者側にとってもプロモーションになる利活用は、ロケに関わる事業者にとっても望ましいです。
ロケ弁や消えものの使用実績として、名称などをどのような態様で提供していいのかは、あらかじめ製作側の宣伝プロデューサーなどに確認しておくことが大切ですね。
田中 ロケ弁の掛け帯に「激励文」を付して提供している事業者もおられます。ロケ弁当全体をその後のロケ地展開のツールとして仕込んでおくことは重要であり、ロケ作品のシーン写真や宣伝素材を事前交渉で許諾を得て利活用することは、ロケツーリズムの要となります。
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