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権利処理
2025.12.12

権利処理でロケ地を利活用 VOL.4 プレスリリースの際に報道機関が撮影する写真に、制作物や俳優が写り込む場合は報道機関に内容を事前に見せるよう求めるべき?

エンタメにまつわる権利のプロがまちや企業で行われたロケ実績の”利活用”に関するお役立ち情報をご紹介します。

「撮影風景を写真で撮ってもいいの?」「お店の宣伝に使ってもいいの?」など、ロケの受け入れを行う自治体担当者やお店などから届く「権利処理」の疑問に対して、田中康之さんと中山茂さんが回答してくださいます!

 

 

Q. 写真に映画の制作物や俳優が写り込んでいる場合は「権利処理が必要」という認識なのですが、プレスリリースの際に報道機関が撮影する写真に、制作物や俳優が写り込む場合は報道機関に内容を事前に見せるよう求めるべきでしょうか。

 

A. 

田中 こちらの事例は、「著作権や肖像権の権利処理」と「報道に関する権利の制限規定」の問題が組み合わさっているので、それぞれ場合分けをして紐解いてみましょう。

 

中山 映画の著作物や俳優の写真については、著作権・肖像権の問題がありますので、写真撮影は制作側の承諾を得て行う必要があります。映画やドラマの宣伝用の写真も、基本的に、制作側の意に反して使用することはできません。制作発表も、通常は情報解禁日等を設定し、製作側が情報をコントロールして公開されます。
一方で、「プレスリリース」は、報道機関に情報を取り上げてもらい、宣伝に活用する方法です。著作権法上、時事の事件の報道については、目的上正当な範囲で著作物を使用できるという規定もあり(著作権法41条)、このような「報道」の特殊性も考慮する必要があります。

プレスリリースの際に、メディアが撮影した写真に映画の著作物や俳優が写っている場合について、製作側としては写真を事前確認したいと考えるかもしれませんが、報道機関としては、許可を得てプレス取材をした以上は、写真も含めてそのまま使用してよいと考える可能性もあります。この点は製作側と、報道機関との間で行き違いが生じないように、プレスリリースの際に、適切なコミュニケーションを取ることが必要です。

 

田中 通常の著作物の利用と報道利用については、異なる部分があります。今回のプレスリリースは報道利用ですので、報道機関からすれば、制限規定に基づいて、逐一権利処理は不要と考える場合もあるでしょう。プレスリリースとはそういうものなので、メディアコントロールをしっかりして情報発信をしましょう。

 

 

 

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