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2024.12.13

上白石萌歌も高杉真宙も来た!「日本一海に近い駅」がある長崎県島原市で“ロケ×体験”周遊ルートを開拓

長崎県島原市にある「日本一海に近い駅」島原鉄道の大三東(おおみさき)駅。青い海と空に黄色いハンカチが映えるこの駅は、2021年に放送されたCM「キリンレモン無糖」(出演:上白石萌歌)のロケ地として有名だ。続けざまにマクドナルドやGoogle PixelなどのCMにも登場し、現在、聖地巡礼で観光客が押し寄せている。

 

同市は、市役所に市長直轄「ロケツーリズム班」を置き、市を挙げてロケ誘致とロケ実績の活用に取り組むことで、CMだけでなくドラマや情報番組などにも取り上げられてきた。「ロケツーリズム班」結成当時の令和元年に9件だった撮影件数は、昨年度過去最高の41件に上った。それらの露出による知名度向上の効果により、昨年度ふるさと納税額は歴代2位の9億9700万円、昨年度移住者数は過去最高の86人となった。

 

そんな中、これまでのロケ実績の活用と市内周遊の促進に向けて、同市が新たに大三東駅から島原城を結ぶ周遊コースの開拓に取り組んでいると聞き、ロケ地情報誌「ロケーションジャパン」編集部員が現地に足を運び、島原市の新たな魅力を探った。

 

まずはCMの聖地「大三東駅」で島原市の“定番”を知る

 

 

周遊コースのスタートは、島原市きってのフォトスポットでもある島原鉄道の大三東駅。満潮時にはホームのすぐそばまで海が近づくため「日本一海に近い」駅とも呼ばれている。「キリンレモン無糖」(2021)でCMロケ地に選ばれたことを皮切りに、マクドナルドCM「夏は、吸い込むものだ。」篇(’22)やドキュメンタリー『ドキュメント72時間』や俳優の写真集などのロケ地に立て続けに選ばれている。ホームにはCM「キリンレモン無糖」の主演の上白石萌歌になり切って写真が撮れるポジションを示す足跡がペイントされていて、おもてなしの工夫が光る。大三東駅は、まもなく最終回を迎える大河ドラマ『光る君へ』で主人公・まひろの弟役を演じて話題となった高杉真宙のフォトブック『I / my』でも撮影場所の一つになっていることもあり、ファンが聖地巡礼する姿も確認されているそう。

 

駅から徒歩8分のMARUZENカフェに立ち寄ってみると、店主・河内弘子さんが「大三東駅がきれいに見える晴れの日には客足が増える」とロケの波及効果を語ってくれた。

 

大三東駅を出発し、島原市の“伝統”を体験

 

 

次の目的地は、大三東駅から徒歩10分の場所にある「島原和ろうそく」を作る本多木蝋工業所。「玉締め式圧搾機」で櫨(はぜ)の実から木蝋を作るという、江戸時代から続く伝統的な手法を今に受け継ぐ日本で唯一の製蝋所だ。「島原和ろうそく」には繊細で色とりどりの花が描かれており、その炎は「1/fのゆらぎ」と呼ばれる心地よさを感じさせるリズムでゆらめく。情報番組にも数多く取り上げられ、お土産としても人気の一品だ。

 

事前予約制で受け付けている絵付け体験は、「島原和ろうそく」オリジナル和ろうそくを作るコンテンツ。櫨のにおいを感じながら島原の思い出を形に残せるのが嬉しい。

 

ここで一服、おやつの時間には「しまばら湧水館」で島原の伝統スイーツ「かんざらし」をいただいた。2019年に放送されたNHK地域発ドラマ『かんざらしに恋して』(主演:貫地谷しほり)の題材にもなった「かんざらし」は、島原の湧水で冷やした白玉に蜜をかけた伝統甘味。「かんざらし」を堪能できるお店は大三東駅周辺を含め市内に多数あり、店ごとに独自のトッピングやアレンジをしているため食べ比べも楽しい。その提供店舗を掲載した「かんざらしMAP」も存在するので、マップを片手に周遊してみるのもおすすめ。

 

中でも今回訪れた「しまばら湧水館」ではカフェの提供だけでなく、かんざらしを作る体験も。作ったかんざらしはその場で食べることができ、古民家をリニューアルした館内でゆったりと島原の雰囲気に浸ることができる。

 

フォトジェニックスポットを巡り、島原城を目指す

 

 

 

「かんざらし」のおいしさの秘訣でもある湧水は、市内の70カ所以上から湧出しており、周遊しながら至る所で発見できる。1日22万トンの水が湧き出す一帯は「島原湧水群」として「名水百選」にも選定された実績を持つ。今回訪れた湧水スポットは、普賢岳のふもとに位置する「舞岳源水」。湧水の周りにカエルなどの石像が数多く置かれ、そのユニークさと愛らしさが写真映えするスポットでもある。

 

写真映えの観点では「鯉の泳ぐまち」も見逃せない。島原の中心街を流れる湧水の水路で、錦鯉が泳ぎ城下町の趣を作っている。最近SNSで注目を集めている水路に防水携帯を入れて撮られた動画でも見て取れるように、湧水ならではの水の透明さと鯉の生き生きとした様子は他地域の水路と一線を画す。

 

 

 

 

 

最後にコースを巡ってたどり着いた島原城は、今年築城400周年を迎えた市のランドマーク。10月20日(日)に行われた築城400周年記念事業ではブルーインパルスが上空を飛行して話題になった。市の公式Xで行った祝福のポストは23万インプレッションを記録したという(通常は1件あたり1000~2000インプレッションだそう)。

 

島原城はバラエティーにもしばしば取り上げられるスポットで、城を背景に松が横たわる高台はロケのスタート場所の鉄板。芸能人になりきって写真を撮り、ロケ地の聖地巡礼をしながら同市の歴史も学ぶことができる。

 

今回の新ルート造成の取り組みについて、古川隆三郎市長は「ロケがロケを呼ぶ形で露出が増え、ロケツーリズムは順調に効果が出ている。スピード感を持って動き、引き続き島原市を効果的にPRしていきたい」と語る。コースの周遊を通して、「ロケ地のファン」から「島原市のファン」になってもらうことを目指しているという。

 

ルート造成の他にもロケ地マップの配布やロケ地看板の設置などを行い、ロケ実績を効果的に活用している島原市。今後の活躍にも目が離せない。

 

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