「贈る言葉」「3月9日」… 定番の“卒業ソング”、世代を超えてなぜ人気?
“卒業ソング”といえばみなさんは何を思い浮かべるだろうか。
明治から昭和にかけて歌い継がれてきた「仰げば尊し」(1884)は世代を超えた圧倒的な認知度を誇る定番曲のひとつ。しかし現代では「言葉の意味が分かりづらい」などの理由から歌わない学校も増えているとの調査も発表されている。
その一方で、今でも人気が揺るがないのは海援隊の「贈る言葉」(1979)やスピッツの「空も飛べるはず」(1994)など。これら2曲は学園ドラマの主題歌としても有名である。レミオロメンの「3月9日」(2004)は今年に入ってLittle Glee Monsterによるカバーが発表され、公式YouTubeにアップされたMVは200万回再生を突破し話題を呼んでいる。
長寿ドラマの主題歌に
そもそもこれらの楽曲は、どのような形で世間に知れ渡ったのか。
「贈る言葉」が主題歌になったのは、1979~1980年に放送された『3年B組金八先生』(TBS)の第1シリーズ。学園ドラマの金字塔ともいえる不朽の名作で、32年間にわたって放送された。東京の区立中学を舞台に、学級担任の坂本金八(武田鉄矢)がさまざまな問題を体当たりで解決し、生徒たちが人間として成長していく物語だ。
「空も飛べるはず」は1996年放送のドラマ『白線流し』(フジテレビ)の主題歌。大河内渉(長瀬智也)や七倉園子(酒井美紀)ら高校生7人が、長野県松本市を舞台に恋と友情を育み、将来の不安に揺れる心を励まし合いながら卒業を迎えるまでの過程を描く。
作中にも登場する、学帽の白線とセーラー服のスカーフを一本に結んで川に流す「白線流し」は岐阜県立斐太高校の伝統行事がモデル。斐太高校が白線を流すのは岐阜県高山市の大八賀川だが、ドラマでは長野県松本市の薄川(すすきがわ)で白線流しのシーンが撮られている。
そんな青春の象徴でもある「空も飛べるはず」は、布施明、中島美嘉をはじめとした著名人が数多くカバーし、歌い継がれてきた。ロケーションジャパン4月号ではこれらの作品や春ソングのMVのロケ地を紹介している。
「3月9日」リトグリのMVに注目
2000年代に入ると、ドラマ『1リットルの涙』の挿入歌になったレミオロメンの「3月9日」が卒業式で歌われるように。多くの人々に愛されてきたのはいうまでもないが、2022年2月下旬にLittle Glee MonsterによるカバーのMVが公開され人気が再燃している。
注目したいのが両者のMV。レミオロメンのMVは卒業式後の女子高生(堀北真希)がビデオカメラを持って東京・堀切や高井戸、綾瀬川堤防などを巡る。姉の結婚式や子供のころのビデオを観るシーンなどが散りばめられ、大切な人との“別れ”を感じさせる。
対してLittle Glee MonsterのMVは乃木坂46・遠藤さくらが、スマートフォンをかざしながら神奈川・三浦半島のスポットを歩いている。公園や昼の月を撮るシーンなど、本家のMVと所々でシンクロしているのが面白い。
気付けば春はもうすぐ。うららかな陽気の中で懐かしいドラマやMVのロケ地を巡ってみるのも良いだろう。