コロナ不況が一転、ロケの聖地へ!業界初のホテルロケ地ガイド&イベント実施
映画『ドライブ・マイ・カー』のアカデミー賞受賞で、改めてロケ地・広島に注目した人も多いのではないか。作品をきっかけに地域をPRし、観光誘客に繋げるロケツーリズムの動きは近年とても活発だが、映像作品のもつPR効果が発揮されるのは実は地域だけではない。今回ロケツーリズムに取り組む企業として注目したのは、千葉県にあるホテルスプリングス幕張だ。
不況を逆手に、新たな一手を!
当ホテルは幕張新都心で一番初めにできたシティホテル。普段は周辺のビジネスマンや、幕張メッセでのライブ・イベントの際の宿泊利用が多い。しかし、コロナ下で宿泊や宴会の利用が少なくなる中、そこを逆手に取り、2020年12月から映画やドラマ、CMなどのロケ地として貸し出す取組みをスタート。11年前にドラマを撮影して以来受入れておらず、ある程度反響が出るまで時間がかかると覚悟していたが、ふたを開ければ1年足らずで60件を超える作品が撮られ、一気に映像関係者が注目するロケ地ホテルとなった。
ロケがもたらす本業への波及効果
また、館内のスポットを撮影場所として提供することで収益に繋がると同時に、ロケ地にファンが訪れる、いわゆる“聖地巡礼”がこの1年、後を絶たないという。実際に撮影された作品の中でも特に反響が大きいのが、King&Prince『Namae Oshiete』のミュージックビデオだ。昨年7月に公開された映像を見てファンが場所を特定し、10カ月たった今でも毎日のように2〜3組がホテルを訪れているという。
これまで何度もファンに声を掛けられ、実際に館内を案内したというホテル総支配人の金田氏は、「正直ここまで反響が出るとは思っていなかった。良い意味で予想外。ロケ地を目当てに宿泊に繋がる動きも見られ、PR効果は抜群」と語り、ロケ受け入れとPRの実践に強い感触を得ている。
ロケ実績を活用した業界初の取組みへ
そんな中、2021年から2022年の年末年始にはロケ地イベントを実施した。サイン展示コーナーの設置と、利用者しか入れないロケ地として使用された宴会場やチャペルの無料一般公開だ。年末年始という時期にも関わらず、それを目当てにくるファンや、近隣住民の来館も見られ、予想以上の反響があった。イベント開催時、とある協議の全国大会に出場していた高校生が宿泊していたが、ロケ地であると知り喜びの声が上がり、支配人の金田氏は改めて実績活用の効果を実感したという。
そのように、実際に作品や芸能人のファンが訪れ、宿泊客からの問い合わせが多いことから、今回ホテルのおもてなしの一環としてロケ地ガイドの制作に踏み切った。金田氏は「ロケ地ガイドを作成したことで、より多くの方にホテルを知っていただき、ロケ地ホテルとして楽しんで欲しい」と語る。
さらに、ロケ地ガイド発行記念として、ゴールデンウィークの2022年4月29日(金・祝)〜5月6日(金)の期間にロケ地特別開放イベントを開催予定。参加者は、普段は宿泊者しか入ることのできない宴会場などに行くことができ、写真撮影も可能。特典としてロケ地ガイドが配布されるそうだ。
コロナ下で苦しい状況が続く中でも映像作品をきっかけにファンを増やしているホテルスプリングス幕張。これから夏に向けて人々の活動が活発化する際に、ロケが宿泊者を増やすための起爆剤となるか。今後の動きに注目したい。