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巻頭インタビュー

映画『アルキメデスの大戦』

時代モノの形式にとらわれず
普通に生きている人を演じたかった

94号

 

ドラマ、映画、舞台、歌と活躍の場を広げ、各方面から注目を浴びている菅田将暉さん。7月公開の主演映画『アルキメデスの大戦』では、
若き天才数学者を演じ、その演技力と集中力に共演のベテラン俳優陣も拍手喝采。
日本各地に及んだロケも含め、撮影の様子を語っていただきました!

「美しいものを測りたい」
その気持ちはよく分かる

 

飛ぶ鳥を落とす勢いとは、まさに、今の菅田将暉さんを表現する言葉だろう。
今年に入ってからも、企画から携わった学園ミステリードラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』で主演し、ギャラクシー賞を受賞。ドラマ『パーフェクトワールド』では、米津玄師作詞・作曲の主題歌「まちがいさがし」を歌い、配信ストアで軒並み1位を記録するなど活躍の幅を広げている。

 

そんな菅田さんが主演する待望の映画が7月公開の『アルキメデスの大戦』だ。
戦艦大和の建造を巡るさまざまな謀略を描いた三田紀房の原作漫画を、VFXの名手、山崎貴監督が実写映画化。菅田さんは本作で若き天才数学者、櫂直(かい・ただし)を演じている。三田作品は、以前から好きで読んでいたという菅田さん。原作者本人から「櫂にぴったり」とお墨付きをもらっていたというが、同じように思っていた人は少なくなかったらしい。
「演じる前から、いろいろな人に『ぴったり、ぴったり』って言われるので、逆に『俺ってこうじゃねーし!』ってちょっと反抗的な自分も出てきたりしていました(笑)。
ぴったりの理由は、櫂と同じく七三分けが似合うからじゃないですか?」
こう軽口を交えながら語る菅田さんだが、映像の中の菅田さんは、やはり天才数学者以外の何者でもなかった。
物語の舞台は、軍拡路線を歩み始めた昭和8年(1933)の日本。海軍省では、巨費を投じることになる巨大戦艦大和建造計画を巡って対立が起きていた。推進派が提示する建造費には不正が隠されている。そう考えた反対派の少将・山本五十六は、不正を暴くべく櫂を海軍に招き入れる。

 

櫂は、美しいと思ったものを全部測る。世間一般からすれば相当の変人だが、菅田さんはそうは捉えなかった。

 

「美しいものを測りたいという気持ちはよく分かる。『美しい』には理由があるはずで、それを知りたいんだと思うんです。それは恋に落ちた相手のことを知りたいと思うのと一緒。櫂の場合はそれが数字だから難しく見えるだけで、測ることで黄金比や白銀比という理論的な裏付けが得られたらそれで納得できる。その好奇心はすごく理解できたし、『数字はウソをつかない』という考え方にも共感できたから、あとは演じるだけでした」

 

ベテラン陣も拍手喝采圧巻の板書シーン

 

どんな役も突き放すことなく、こうして近づく。
そんな菅田さん演じる櫂が、人並み外れた能力を発揮するシーンは随所に登場するが、中でも圧巻なのが、得意の数学を駆使して推進派に迫る会議の場面だ。限られた時間の中で導き出した数式に実数を当てはめて猛スピードで計算を進める櫂。演じる菅田さんは、数式を早口で唱えながら同じ速さで黒板に走り書きしていく。
板書される数式はもちろんデタラメではなく、数学者が導き出した本物だ。気が遠くなるほどの記憶力と集中力を要したことは想像に難くない。幾度かのテイクを重ねて収録を終えたとき、現場のベテラン俳優陣からも拍手が起きたそうだ。ただ、菅田さん自身は

 

「撮り直しの度にセットに緻密な準備が必要になるんですが、長い時間、嫌み一つ言わずに待っていただいたことが本当にありがたかったです」

 

といたって謙虚。
しかし菅田さんが語る物語の「ミソ」は、別にある。

 

「エライ人たちの会議の場面では、最初こそ小難しい話をしているものの、途中から浮気したとかしないとか、しょうもない言い合いになる。こんなことはもちろん史実としては残されていないでしょうが、実際こんな感じだったんじゃないかと思うんです。そう思ったら、日本の運命を決める大事な会議で何をやっているんだと腹が立つと同時に、実は少し安心もした。やっぱり人間なんだ、いろんな感情があって当然だよなって」

 

菅田さんが語るように、本作が従来の戦争映画と一線を画しているのは、全編に「人間くささ」が満ちていることだ。会議中も皆怒り、罵倒もすれば叫びもする。
数学の天才である櫂でさえ、重要な決断の決め手はいつもロジックではなく感情だ。これこそ菅田さんがミソと語る部分である。

 

(続きは本誌を御覧ください)

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映画『アルキメデスの大戦』

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■Story

日本と欧米列強との対立が激化していた昭和8年、日本帝国海軍上層部は戦艦大和の建造計画に大きな期待を寄せていた。海戦の主役は航空機になると考える海軍少将・山本五十六は計画を国家予算の無駄遣いとして疑問視、代案を示すが、世界を驚かす巨大戦艦の建造を夢見る上層部は考えを変えない。そこで山本は天才数学者・櫂直(かい・ただし)を引き入れる。推進派の建造計画に隠された不正を暴くべく櫂は奔走するが、そこに帝国海軍の大きな壁が立ちはだかる。

■作品詳細

映画『アルキメデスの大戦』
監督・脚本・ VFX :山崎貴
原作:三田紀房『アルキメデスの大戦』
(講談社「ヤングマガジン」連載)
出演:菅田将暉、田中泯、舘ひろし、柄本佑、浜辺美波、
笑福亭鶴瓶、小林克也、小日向文世、國村隼、橋爪功 ほか
(C)2019 「アルキメデスの大戦」製作委員会
http://archimedes-movie.jp/
7月26日公開

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