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■俳優インタビュー

松田翔太 映画『イニシエーション・ラブ』
恋物語に巧妙な仕掛け

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映画、ドラマ、CMなどで圧倒的な存在感を放っている松田翔太さん。
そんな松田さんの最新作が5月公開の話題の映画『イニシエーション・ラブ』である。
東京と静岡に離れることになった恋人たちの物語は、どのような展開を迎えるのか!?
演じた役柄の微妙なオトコ心を、松田さん自らの恋愛観も交えて語ってくれた。

 

恋物語に巧妙な仕掛け
誠実な役柄に興味

どんな作品においても、独特の存在感を放つ松田翔太さん。『LIAR GAME』の天才詐欺師・秋山をはじめ特殊能力を持つ超人的な役柄や、『ハードロマンチッカー』のグーなどアウトローの印象も強烈だ。

そんな松田さんが、今回『イニシエーション・ラブ』で演じているのが、いたってフツーの男子。「主人公の鈴木は、誠実で、今まで僕が演じたことのない役柄。そういう意味でも挑戦したいと思いました」と、松田さんは役柄の印象を語る。

原作は、乾くるみさんの同名の小説だ。物語の設定は80年代後半。当時、録音メディアの主流だったカセットテープのように、ストーリーはサイドAとサイドBに分かれた2部構成となっている。サイドAは、奥手の大学生・鈴木が、合コンで前田敦子さん演じるマユと出会い、変わっていく初々しいラブストーリー。サイドBでは、東京勤務を命じられた鈴木が、静岡にマユを残して上京、新しい生活の中で出会った同僚・美弥子(木村文乃さん)とマユとの間で揺れ動く姿が描かれる。

しかし、この作品、ただの甘酸っぱいラブストーリーではない。原作は「最後の2行で驚愕のミステリーになる」と話題になった大ヒット小説だ。映画でも、最後にとんでもないどんでん返しが待っている。
「脚本を読んで、企画全体の仕掛けに魅了されました。大事件におけるトリックではなく、シンプルな男女の世界の構図になっているところがいい」と松田さん。

そのトリッキーさゆえ難しいといわれていた映画化に果敢に挑んだ堤幸彦監督は、小説とは異なる仕掛けを用意して、ラスト5分で鮮やかに観客を裏切ってくれる。その見事な展開は劇場でのお楽しみとして、ここでは松田さん演じる誠実な男子、鈴木の言動に注目だ。

 

外の空気に触れるだけで
全然違う気持ちになる

監督からは、シンプルに「鈴木を誠実に演じてほしい」と言われたという松田さん。ストレートに恋愛を描いただけではない、トリッキーな作品ではあるが「変に含みをもたせた演技ではなく、ワンシーンで完結するシンプルな演技を心がけた」という。

観どころは、その誠実な鈴木が、東京本社への赴任が決まったことで少しずつ変化していく姿。2人の関係に影響を与えているのが、東京─静岡という微妙な距離である。
「静岡って、東京から近い印象なんですよ。だから鈴木は『毎週帰る』とマユに約束するのですが、いざ週末に通い始めてみると案外遠い。その微妙な距離関係が鈴木にとってはポイントだったんでしょうね」と松田さんは冷静に分析。

こうして、誠実な鈴木は、あるときキレてしまう。これがまた、かなりのキレっぷりなのだが、実はテストの段階ではもっと抑えた演技をしていたのだとか。
「前後の鈴木の言動も踏まえ、気を使った怒りを表現していたのですが、監督は『もっと激しくやってくれ』と」

監督とは30歳の差があるものの、恋愛観については違和感がなかったという松田さん。監督のリクエストに応え、大いにキレた。「監督が僕の発想を覆してくれたのが面白かったですね。結果的にとてもいいシーンになったと思います」とのこと。納得のシーンとなったのは、鈴木の行動が松田さん自身の腹に落ちたからだ。松田さんは自身の遠距離恋愛観についてこう語る。

「離れていれば、会っていない時間に相手のことをたくさん想像します。だから、その時間を経て会った瞬間のひと言目、ひと目見たときの感じが大きな意味を持つようになってしまう。のほほんとしたマユに癒やされることもあるんだろうけど、逆にイラッとすることがあるのもわかる。オレの苦労をわかってんのか、と。鈴木はマユに気を使いつつ、仕事でも成果を上げようとしていて、新しい世界に入っていろいろな意味で疲れている。でも男って『約束したんだから』とか、『一度好きになって付き合っているんだから』とか考えて、プライドのためになんとかして約束を守ろうとしちゃうところがあるんですよね」

 

(続きはロケーションジャパン2015年6月号で)

松田翔太 映画『イニシエーション・ラブ』
恋物語に巧妙な仕掛け

イニシエーション・ラブ

 

映画『イニシエーション・ラブ』
監督:堤幸彦
原作:乾くるみ(原書房/文春文庫刊)
脚本:井上テテ
キャスト:松田翔太、前田敦子、木村文乃ほか
©2015 乾くるみ/
「イニシエーション・ラブ」製作委員会
5月23日(土)全国東宝系ロードショー
http://www.ilovetakkun.com/

 

【Story】
◎Side-A/1980年代後半、バブル最盛期の静岡。奥手で恋愛経験のない大学生・鈴木は、友人に誘われた合コンで歯科助手のマユと出会う。服装や髪型にも気を配るようになった鈴木は……。
◎Side-B/就職した鈴木は東京本社転勤が決まり、静岡にマユを置いて上京することに。週末ごとに東京と静岡を行き来する鈴木だが、同僚・美弥子と出会い、心が揺れ始める。
……この一見シンプルな2つのラブストーリーが、最後の5分で覆る!

【PROFILE】

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1985年生まれ。2005年、スペシャルドラマ『ヤンキー母校に帰る~旅立ちの時 不良少年の夢』(TBS)で俳優デビュー。以後、映画やドラマを中心に活躍。主な作品に、映画『 長い散歩(』06)、『ワルボロ』(07)、『イキガミ』(08)、『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』(10)、『ハードロマンチッカー』(11)、『アフロ田中』(12)、ドラマ・映画『LIAR GAME』(ドラマ07・09、映画10・12)、ドラマ『海の上の診療所』(13)などがある。6月には映画『スイートプールサイド』も公開予定。

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