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インタビュー&コラム

■クリエイターインタビュー

映画『彼らが本気で編むときは、』

「失敗したらもうオリジナル脚本では撮れない。
 その覚悟で臨みました」……荻上直子監督

「5年間たまったマグマをぶつけるような
 気持ちだったのでしょうか」……八木亜希子さん

5年間のブランクで焦り
強い覚悟で臨んだ作品

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八木 作品、拝見しました。
今も生田斗真さんのやさしいトーンの声が頭の中でリフレインしています(笑)。

荻上 あ、そうですか!?

八木 トランスジェンダーのリンコ役に生田さんを起用されたのはなぜだったんですか?

荻上  ビジュアルが美しかったからです。
男の人も「この子ならアリ」と思えるようなリンコにしたかったので。

八木 そうそう、映画の内容を知らずにパンフレットを見ていたうちのスタッフは
最初生田さんと気がつきませんでした。

荻上 え〜!?

八木 それくらいきれい! でも体格はしっかりしてますよね。

荻上 そうなんです。映像で見る限り華奢な印象だったのですが、
実際にお会いすると、筋肉も鍛えているし意外と大きくて。

八木 私は、その大きさがリアルだなと感じたんです。
身近にトランスジェンダーの人が多くて、
ガッチリした体型でハイヒールが好きな人も知ってるし。
日常を描いているのに、生田さんが自然なトーンで演じるほど
映像に違和感がある感じが面白かったですね。

荻上 そうですか、よかった。

八木 生田さんも共演の桐谷健太さんも「ターニングポイントになる作品」と
おっしゃっているそうですが、ご自身の意気込みはどのようなものでしたか?

荻上 作品を撮るのは5年ぶりだったんです。
この間、双子を出産し、文化庁の新進芸術家海外研修制度を利用して
1年間家族でニューヨークに移り住んだりしていて。
でも帰国後なかなか映画化の話が進まず、
一生映画が撮れなくなったらどうしようってだんだん不安になって。

八木 子育てもされているし、
このまま家族中心の生活でいいかという気持ちにはならなかったですか?

荻上 むしろ、そうなるのがこわかったです。この作品が決まったときは、
「よし、今までと全然違うものを作ろう、もう1回新たに始める気でがんばろう」と
思いました。クランクインのときには「攻めの姿勢を貫きます」と
スタッフ全員に宣言もしましたし。

八木 5年間たまったマグマをぶつけたいという気持ち?

荻上  そうですね。
今、オリジナル脚本で映画が撮りにくい状況になっているので、
これで失敗したら二度とオリジナルが作れなくなる。その覚悟もありました。

 

続きは本誌でご覧ください!

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映画『彼らが本気で編むときは、』

【Story】
小学生のトモは、母親ヒロミと2人暮らし。
ところがある日、ヒロミが家を出てしまう。
一人になったトモが叔父マキオを訪ねると、マキオは美しい恋人リンコと暮らしていた。
老人ホームで介護士として働くリンコは、
女性への性適合手術を受けたトランスジェンダーだった。
母親より愛情を注いでくれるリンコに、戸惑いながらも次第に心を開いていくトモ。
こうして3人の共同生活が始まった……。

【作品詳細】
『彼らが本気で編むときは、』
脚本・監督:荻上直子 キャスト:生田斗真、桐谷健太、柿原りんか、ミムラ、
小池栄子、門脇麦、りりィ、田中美佐子 他
©2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会
2月25日(土)、新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

 

【PROFILE】

■荻上直子
千葉県出身。千葉大学工学部画像工学科卒業後、南カリフォルニア大学大学院
映画学科入学。『バーバー吉野』(03)でベルリン国際映画祭児童映画部門特別賞受賞。
大ヒットとなった『かもめ食堂』(06)に続き、『めがね』(07)、『トイレット』(10)、
『レンタネコ』(12)でも独自の世界観を築く。

■八木亜希子
神奈川県出身。フジテレビアナウンサーとして活躍したのちフリーランスに。
キャスター、女優。フォニックス所属。かながわ観光親善大使も務める。
テレビ朝日系『聞きにくいことを聞く』、ニッポン放送『八木亜希子 LOVE&MELODY』に
レギュラー出演している他、女優としても、映画『みんなのいえ』、
NHK連続テレビ小説『あまちゃん』、テレビ東京系ドラマ『昼のセント酒』ほか出演。

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