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インタビュー&コラム

■クリエイターインタビュー

映画『十二人の死にたい子どもたち』

「12」とつく作品が
色々ありますね(八木さん)

12人って
ちょうどいいバランスなんですよ(堤監督)

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今回のゲストは、スタイリッシュなエンタメから社会派まで幅広い作品を手がける堤幸彦監督。最新作は、今をときめく12人の若手を起用した『十二人の死にたい子どもたち』です。ベストセラー作家・冲方丁さん原作のミステリーをどう映像化したのか。硬軟入り混じる2人の対談に乞うご期待!

 

 

映画界のヒットメーカーが次に手がけたテーマは
“集団自殺!?”

 

 

若手の勢いを撮りたい
でも稽古は1回だけ

八木:今日はよろしくお願いします。今回の作品『十二人の死にたい子どもたち』もそうですが、原作ものを手がけられることが多いですよね。

堤:そうですね。しかも難易度が高いものを(笑)。

八木:原作を読まれてどう思われました?

堤:すごく面白いと思いました。ただ、お金がかかるなと( 笑)。今回はほぼ同じ年代の若手が出演する作品なので、舞台のように彼らの勢いのある瞬間を撮りたかった。そのためには通常のカメラの数では足りない。プロデューサーに「5~6台で素早く撮るか、1~2台でダラダラ撮るか」と迫ったら、同じようにお金がかかるなら早いほうにしようということで、5台のカメラで撮ることにしました。

八木:舞台のように撮るとなると、お稽古が必要ですよね。

堤:稽古は1回だけです。

八木:えっ、そうなんですか!?

堤:本当はこってりやろうと思ったのですが、最初に集まったとき、風邪気味の役者がいて、みんなに感染ると大変だと思って本読みだけして解散しました。

八木:同じく若い役者さんがそろった『包帯クラブ』のときは、合宿されていましたよね。

堤:はい、作品の舞台となる高崎に行ってロケバスから高校生を眺めました。今回は、自殺志願者を集めるわけにもいかないし。

八木:みんな「初めまして」の設定ということもありますからね。

堤:そう。それに今の若い人たちのスキルは半端ないですよ。勉強しているし、礼儀やルールも理解している。そこに不安はありませんでした。むしろリハーサルなしの一発本番でもいいくらい。もちろん、集合するまでのシーンは各人先に撮って歩き方や表情の作り方は確認していました。その上で一堂に会した場面の撮影を始めたんです。

八木:個別の演技指導は?

堤:ほとんどしていません。これはキャスティングの妙です。結果的にほぼ当て書きのようになっている。休憩時間に見ていても、役と素がほとんど一緒の子がたくさんいましたからね。脚本家の感性もすごい。喋り言葉を貫いているのにテンポが落ちることもなく当意即妙。情報も伝わるし感情も出せる。これなら短期集中の撮影でいけると思いました。

八木:若い役者さんたちの空気の読み方や立ち位置に変化を感じますか?

堤:東京在住者が多くて舞台を観るチャンスもあるから、結構情報が入るんじゃないかな。それに、最近はドラマも素を売りにする作品が多いので、そういうものを観ていると自然な演技ができるようになるのかもしれません。

 

(続きは本誌を御覧ください)

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12

サイトに導かれ、とある廃病院に集まった12人の少年少女。初対面の彼らの目的は、全員で「安楽死」をする
こと。決を取り、全員一致で、それは実行されるはずだった。しかし、決行場所の地下室には、13人目の少年が
横たわっていた。自殺か、他殺か。そもそも彼は何者なのか。この不測の事態に対し、少年少女たちは、集いの
原則である「全員一致」に従い、話し合いを始める。それぞれの思いが交錯する中、導かれた結論とは――!?

 

【作品詳細】
映画『十二人の死にたい子どもたち』
監督:堤幸彦 原作:冲方丁
キャスト:杉咲花、新田真剣佑、北村匠海、高杉真宙、黒島結菜、秋川莉胡、
吉川愛、萩原利久、
渕野右登、坂東龍汰、古川琴音、竹内愛紗
(C)2019「十二人の死にたい子どもたち」製作委員会
★1月29日(金)全国ロードショー

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