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2020.05.15

「権利処理」の駆け込み部屋 VOL.19

権利処理アイキャッチ

ロケーションジャパンの人気連載、「権利処理」の駆け込み部屋をWEBで一挙公開!「撮影風景を写真で撮ってもいいの?」「お店の宣伝に使ってもいいの?」など、ロケの受け入れを行う自治体担当者やお店などから届く「権利処理」の疑問に対して、田中康之さんと國松崇さんが回答してくださいます!

 

 

Q

陶芸家を主人公とした映画の撮影のために、市が所有する空き家を活用したロケセットを作りました。プロデューサーからは、撮影後ロケセットを残してもいいと言われたので、作品を活用した観光プロモーションに生かしたいと思っています。この場合、口頭約束で問題ないでしょうか?または契約書などは必要でしょうか?
(権利が誰にあるのかを明確にし、トラブルを防ぎたい)

 

 

 

 

A

田中:ロケ地セットは簡易構築物なので、屋外での管理は短期間しか持たないと思います。外囲いを設置する、屋内で展示する場合は比較的長持ちするでしょう。そこで、課題となるのは、所有者と管理者は誰なのかです。もちろん一義的にはいずれも譲渡を受けた方ですが、管理を委託するのであれば,物理的な管理は委託先が行うことになります。その場合は備品としてしっかり管理するように,しっかりと契約を結んでおくことが必要かと思います。

 

國松:ロケ地セットの種類や規模にもよりますが,維持や取扱いが難しいロケ地セットなどは,思わぬ費用が掛かったりするでしょう。合理的な管理にかかった諸経費は,特に取り決めがない場合は原則として委託した側が負担することになります。委託先から高額な請求を受けて困らないように,どの程度の管理が必要かしっかり確認しておくことや,高額な費用を要する管理を行うような場合は予め相談が必要,などのルールを決めておくことが大事だと思います。

 

田中:ロケ地セットや小道具の展示で、映画の紹介や脚本一部を印刷利用する場合、また、俳優の映像や写真を使う場合には、新たにどのような権利処理が必要でしょうでしょうか?

 

國松:公開中の映画やドラマの宣伝のための使用に当たると製作側が判断してくれれば,その範囲であれば無償で使えるという考え方もあるでしょう。一方で,すでにOAや公開や終わった作品となると,宣伝ではなく,単に利用者本人のための利用(店や施設の宣伝やPR効果などを狙った利用)ということで,無償の利用を断られることもあります。この場合は,通常通り,写真やイラスト,脚本などの著作権者から利用許諾を受ける必要があります。もちろん,例えば街おこしなど,多くの人のためになるような利用なのであれば,それに共感して無償で許諾してくれることもあるかと思いますが,普通は有償です。あるいは,そもそも許諾をしてくれないというケースも当然あります。また,別の問題として,かつての製作チームが将来に亘って許諾窓口になってくれるとは限りません。誰が許諾を得るべき権利者なのか,こちらで改めて確認する作業も必要になるでしょう。映像作品は「権利の塊」ですから,こうした作業を怠ると思わぬトラブルになるおそれがありますので,注意してください。

 

田中:ロケ地展示のために、多くの権利処理と費用を投下することは現実的には難しいと思います。やはり、観光資源としても賞味期限があるので、通常の二次利用ではなく、あくまでもロケを受け入れる際の製作サイドとの取り決めの延長線上で利用が出来るようにしておくことをお勧めします。そのためには、予め宣伝プロデューサー及び、製作プロデューサーと密に連携して、最終的には大義名分となるロケ地の市町村が定める「ロケ地遺産」に賛同してもらうことが良いと思います。

 

 

■回答者プロフィール
権利処理_20190912_01 (1)

 

 

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図1

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