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ロケーションジャパン
2019.09.13

「権利処理」の駆け込み部屋 VOL.13

権利処理アイキャッチ

ロケーションジャパンの人気連載、「権利処理」の駆け込み部屋をWEBで一挙公開!「撮影風景を写真で撮ってもいいの?」「お店の宣伝に使ってもいいの?」など、ロケの受け入れを行う自治体担当者やお店などから届く「権利処理」の疑問に対して、田中康之さんと國松崇さんが回答してくださいます!

 

Q
私の町がロケ地になった
連続テレビ小説『さくら』の主題歌を使って町を盛り上げたいのですが、
主題歌のBGMを①脚本家の田渕久美子さんの講演で流す場合と
②町の防災無線として使う場合は、
それぞれどのような申請が必要でしょうか?
(飛騨市役所 観光課職員)

 

A

田中:①の利用は、その講演会の構成を精査する必要があります。市が市民サービスの一環として講演会を主催し、入場料や報酬の発生しない「非営利・無償・無報酬」で行うのであれば、主題歌の作詞・作曲家の権利は制限されます。よって申請は不要です。

 

國松:著作権法38条1項ですね。公表された著作物については、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金等を受けない場合には、著作権者の許諾を受けないで、公に演奏することができます。今回は市が市民サービスの一環として行うもので「非営利」と考えてよいでしょう。但し、無料イベントでも企業の協賛が付いたりすれば営利性のあるイベントだと判断される可能性が高いので注意してください。

 

田中:ところで、講演に来てもらう脚本家の田渕さんに報酬を支払っても大丈夫でしょうか?

 

國松:38条1項は、但書きで「実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合」には適用されないとしていますが、脚本家の田渕さんは実演家として『さくら』を歌ったり朗読したりするわけではありませんので、38条1項但書きには当てはまらず、楽曲使用に許諾が不要という結論に影響はないです。

 

田中:次に、②の防災無線です。正式名称は「市町村防災行政無線」といいますが、定時チャイム放送のように『さくら』のBGMを利用することは許諾が必要でしょうか?

 

國松:防災無線は名前からして「公衆送信(放送)」のように思えますが、市が市内の屋外に防災スピーカーを設置して、そこに大元で再生する音楽の信号を送るのは、例えばマイクを使用して外部スピーカーから自分の演奏を聞かせる行為と変わらないともいえます。そうすると防災「無線」と言いながら、実は著作権法上は単なる一つの「演奏」行為だと考えることもできますので、38条1項の制限規定により許諾は不要という解釈が成り立ちます。

 

田中:因みに、『さくら』の主歌音楽の著作権者は小六禮次郎氏で、JASRACの全信託曲なのですが、JASRACでは防災無線での利用については管理外(許諾不要、使用料不徴収)という扱いにしているようです。従って、結論としては同じですね。但し、著作権等管理事業者はJASRAC以外の場合もありますので、必要に応じて権利元には確認した方がよいでしょう。

 

國松:その他実務上気を付けることはありますか?

 

田中:個人で複製した音源を使用するとまた違う権利が生じるため、使用する音源は市販CDか権利元の正規貸出品を使用するようにしてください。

 

國松:あとは、この防災無線のBGMをインターネット等で公開することは、また別の権利が働きますから注意が必要ですね。

 

ロケ作品を活用した成功事例 連続テレビ小説『さくら』の舞台 。朝ドラ放送から17年今も愛される『さくら』『さくら』は2002年の放送から17年が経過しているが今なお飛騨市民に愛され続けている。飛騨市では権利処理をクリアしながら様々な形で『さくら』を町のPRに活用しているのだ。

 

 

■回答者プロフィール
権利処理_20190912_01 (1)

 

 

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