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権利処理
2023.01.12

「権利処理」の駆け込み部屋 VOL.34 “公式YouTubeにUPされている動画をロケ地で流すのはあり?”

ロケーションジャパンの人気連載、「権利処理」の駆け込み部屋をWEBで一挙公開!「撮影風景を写真で撮ってもいいの?」「お店の宣伝に使ってもいいの?」など、ロケの受け入れを行う自治体担当者やお店などから届く「権利処理」の疑問に対して、田中康之さんと國松崇さんが回答してくださいます!

Q

ロケ地看板、ロケ地パネルと、権利処理のノウハウを生かしたPR展開をしてきましたが、CMや公式Youtubeにアップされている動画をロケ地で流すのはOKでしょうか?

 

A

インターネットで公式配信されている動画であれば、

そのまま流すことができます。

 

田中 最近は動画を使った情報が主流となってきました。これまでテキストベースでしたが、YouTubeに公式アップされているCM映像やドラマ、映画の動画をロケ地のPRに使うにはどのようにすればよいでしょうか。

 

國松 動画といってもいろいろな映像がありますが、共通しているのは、すべてが著作権法に定められた「映画の著作物」に該当するということです。したがって、まずは著作権法に沿った手順を踏んでいくことが基本になります。

 

田中 「映画の著作物」として、著作権者から許諾を得て利用するということですね。

 

國松 はい。それがまずは基本です。CM映像に関しては、ある程度決まった手順がありましたよね。

 

田中 CM映像に関しては、広告主・広告会社・CM制作会社のいずれかが単独で著作権を持つパターンや他社と共有するパターンなど、契約等によって様々な形があり得ます。そのため、利用者の利便性向上のため、CM制作・利用に関わる各企業が多く加盟する一般社団法人ACCという組織が、CM映像の使用同意を得るための情報提供や事務手続を行う機能を果たしています。

 

國松 映像の著作権はそれでクリアが出来たとしても、CMで使用されている楽曲・音源の著作権や著作隣接権など、他にも色々と権利処理が必要になる場面もあります。すべての権利について対応するのが難しい場合は、たとえばYouTubeに公式アップされているCM映像やドラマ、映画の動画を「埋め込み」機能を利用して自分のWebサイトで再生できるようにしてはどうでしょうか。

 

田中 確かに、それなら許諾を得なくても適法だとする判例がありましたね。あとは、ロケをした映像がインターネットで公式配信されていれば、それを市販のモニターで再生するといったこともアイディアとして考えられますね。そうすれば「ロケ地遺産」として配信期間中は使用することができます。実際の事例をWebで紹介します。

 

=====以下、Web版のみ掲載=====

 

田中 動画を「埋め込み」機能を利用して自分のWEBサイトで再生できるインターネットのリンク行為(いわゆるインラインリンク)は、令和2年7月21日「リツイート事件最高裁判決」において、これまでインラインリンクは、複製権や公衆送信権の侵害に該当する場合もあるのではという見解もありましたが、最高裁判決では間接的に否定されたと理解しています。

 

國松 そうですね。当該判例では、インラインリンクの一種であるTwitterのリツイート機能を使った「リツイート行為」について、たとえば「複製」や「配信(自動公衆送信)」など、著作権者の許諾が必要な著作物の利用行為には当たらないことを前提にしつつ、それでも場合によっては、「著作者人格権の侵害」(判例では氏名表示権の侵害を認めた)になることがある、ということを明らかにしています。つまり、単にリツイートしただけでは元記事の「著作権侵害」は起こらないという考え方を示したわけです。

 

田中 ということは、インラインリンクの機能をうまく使えば、例えばアクティブな正規動画を適切な方法で利活用するなど、様々な工夫ができそうですね。例えば、ロケ地になったが、ロケ地作品を紹介できずにいる場合やCM映像を利用したくても権利処理が難しい場合でも、自分たちのWebサイトに公式Youtubeの動画などをインラインリンクの形で埋め込むことで紹介するなどして、コンテンツを充実させることができますよね。

 

國松 法的にはそういうことになります。こうした機能をうまく活用している実例はあるのでしょうか?

 

田中 島原市では、ロケ地の情報発信として、島原鉄道の大三東駅で撮影されたCMを動画で紹介しています。ただし、YouTubeからの配信が終了すると、表示されなくなるので定期的にチェックをする必要があります。

 

國松 あくまでも元記事・元コンテンツありきの手法ですから、そこは注意が必要ですね。あとは、たとえ適法で合っても、まるで自社のコンテンツかのように扱って紹介するなど、リスペクトを欠くような形で利用することは避けた方がよいかなと思います。

 

田中 確かに、自分たちのWebサイトへのインラインリンクの埋め込みマナーとして、Webサイトのオリジナルコンテンツと区別できるようにフレーム(枠組み)に入れるなどの配慮は必要だと思います。ロケ地マップのデジタル化やロケ地看板のデジタルサイネージ化に対応するコンテンツとして、うまく利活用していけるといいですね。

 

 

■ 回答者プロフィール
権利処理_20190912_01 (1)

 

 

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