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2013.11.08

三谷幸喜×種田陽平、トークショーレポート!

 ついに11月9日(土)から、三谷幸喜監督の最新映画『清須会議』が公開! 三谷節全開の今作でも、セットへのこだわりは健在だ。そこでぜひ注目したいのが、上野の森美術館で開催中の『種田陽平による三谷幸喜映画の世界観展~「清須会議」までの映画美術の軌跡、そして…~』(11月17日(日)まで)。
 去る10月13日行われた、三谷監督と美術監督・種田陽平氏のトークショーをレポート! 
※展覧会の詳細は別記事(http://locationjapan.net/newss/20131108_news/)ご参照を。

トークショーは、各作品についての思い出を、お二人が語るというスタイル。
その一部をご紹介!

【THE 有頂天ホテル】
 初めて種田美術監督が三谷監督とタッグを組んだのが、こちらの作品。海外の監督とも仕事をする種田美術監督が、クエンティン・タランティーノ監督の映画『キル・ビル』を手掛けた後、「もっと大規模なものを手掛けたい」と思っていたところにこの話が持ち上がったのだとか。
 東洋一大きいと言われる東宝スタジオ第9ステージを使って作られた本作は、“横浜あたりにある小さなホテル”を想像して作られたという。「次やるなら、モダンな、21世紀型のものを作りたいですね」と三谷監督。

【ザ・マジックアワー】
「前作はホテルだったから、今度は街をやろう」と完成したのがこちら。「これは、いつかどこかの物語。世相とかを排除しているんです」と三谷監督。街のセットは外に作ることが多い中、スタジオ内に作ったのだとか!「とにかく、街の細部まで精巧にできているんです。(スタジオ内にいるのに)外にいる(本物の街にいる)と錯覚してしまった。溝の中に空き缶があったり…。排水溝に水が流れて行かない、上を見るとライトがあって、中なんだ、と気づくんです」と三谷監督。「よく、『セットを残さないんですか』と言われるんですが、僕は壊したいと思っている。壊すことで映画の中だけの街になるんです。役者が死んでも映画が生きているように、セットも映画のなかで生きているんです」という種田美術監督の言葉が印象的。

【ステキな金縛り】
「僕が目指すのは、リアルから3センチくらい浮いたアンリアルなんです。例えば、更科六兵衛(西田敏行)がハーモニカを通じて法廷で証言するシーン。ハーモニカを浮かせるのに、本来であればスクリーンに映ってはいけない照明機材を固定するやつでハーモニカを支えたんですが、スタッフにしてみたらリアルすぎる、と言われてしまいまして(笑)」と三谷監督。「時代、風俗、場所を排除しているというところが、一般の映画とは違うところでしょうか」
 ちなみに、展覧会にも展示されているイス(写真)は、ローマ法王が座ったイスを作ったメーカーが作ったイス(回りくどい!(笑))なのだとか!

【清須会議】
 「作品ごとにファンタジー度が増してますね。時代劇はファンタジーなんです。時代劇をやるのは小学生のころからの夢だったんです。僕は丹羽長秀が大好き。描けますよ(笑)。肖像画に影響されていて、メイクもそれを意識しました」と三谷監督。本来は天守閣が存在しない時代にあるはずの清須城。しかしそこに三谷監督の時代劇愛がさく裂! 「どうしてもほしくて想像で作りました(笑)」。
 セットについて種田美術監督もこう語った。「黒澤明監督の名作『七人の侍』からの続く、いろんな方の技術が引き継がれているんです。美術チームに、黒澤組だった方がいるんですが、黒澤組の方たちを呼んで、案内したんだそうです。そしたら、『こんなところで撮ってみたい!』とうらやましがられたそうで。彼はもう、ドヤ顔ですよね(笑)」。
 また、豪華絢爛な衣装も見どころ。衣装担当は、黒澤監督の娘さんであり、映画衣装デザイナーの黒澤和子さん。衣装に合わせて、部屋の色なども決めているとか。家系や対立グループなども色で分けられているそうなので、ここにも注目したい。「戦国時代は(質素を推奨された)江戸時代よりも好きな服が着られた時代。映画ファン、歴史ファンの僕にとって一番理想的な作品になりました」と三谷監督。
 ちなみにお二人のお気に入りについては、種田美術監督は「廊下ですね。いろいろドラマが展開されるので」、三谷監督は「撮ってて楽しかったのは信勝(妻夫木聡)のシーン。4部屋を1つにして、おもちゃとかぬいぐるみみたいなのを配置して…。撮りづらかったのは、お市様(鈴木京香)の部屋。上座に常に座っているから、画を変化させるのが難しかったです」とか。

 はじめは「三谷さんが7割話してくれればいいので…」と控えめだった種田氏も、徐々に白熱!観客も大盛り上がりのトークショーだった。

 ご紹介した内容は、あくまで三谷映画&種田美術監督の映画美術の魅力のほんの一部!ぜひ、展覧会でその世界観、哲学を体感してほしい。※ちなみに、11月9日(土)17時から種田陽平氏のギャラリートークが開催!

 また、11月15日発売号のロケーションジャパンでは三谷監督のインタビューも掲載しているので、そちらも併せてチェックを!

公式HP
http://www.tanemita.com/

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