芸妓さんによるガイドも! 大河ドラマのロケ地にもなった長野県千曲市で昭和レトロな街並みを満喫
長野県で唯一“芸妓のお座敷文化”が残る長野県千曲市。市内には、スナックの看板がネオンに輝く昭和レトロな温泉街やNHK大河ドラマ『風林火山』(2007年)、『江~姫たちの戦国~』(2011年)の撮影も行われた城山史跡公園「荒砥城跡」などまるでタイムスリップしたかのような雰囲気を味わえるスポットが盛りだくさんだ。
そんな千曲市は今、「団体旅行客の減少」と「観光形態の変化」という2つの課題に直面している。昭和50年代に年間120万人を超えていた観光客は、平成30年時点で63万人まで減少。また、近年の北陸新幹線の開通により日帰り来訪客は増加しているが、宿泊客は低迷傾向にあるという。
この状況を脱却するべく立ち上がったのが、「戸倉上山田温泉旅館組合連合会」だ。
千曲市の旅行客を増やすべく、11月30日~12月2日の3日間で芸妓ガイド付きのレトロ温泉街トリップツアーを試験的に実施した。
ツアーの運営事務局で同組合の林欣克(よしかつ)さんは本企画の狙いについて「千曲には温泉やあんずなど日本が誇る文化や産品があるにも関わらず、なかなか旅先に選んでもらえないという現状がある。千曲の魅力を夜まで堪能していただくコンテンツを作ることで宿泊を伴う周遊やインバウンドの誘致に繋がれば」と語る。
ツアー1日目は芸妓による市内の昭和レトロな街並みの周遊がメイン。昔懐かしい射的場やスナックなどを楽しんだ。温泉街にある昔ながらの旅館では芸妓の「上山田小唄」や踊りを鑑賞した。
2日目は姨捨の棚田を散策。昼には棚田米を使用したランチと千曲市の特産品「あんず」をふんだんに使ったデザートを堪能。参加者は初めて食べる“あんずスイーツ”に舌鼓を打っていた。夜も地元のスナックで地域の人々との交流を楽しめたようだ。
最終日は、映画『ペルセポネーの泪』のロケ地にもなった喫茶店「喫茶 あもん」で朝食。その後日本でも珍しい戦国時代の山城を復元した千曲市城山史跡公園を鑑賞。展望台から臨む市内の景色に参加者は感動していた。3日間を通してツアー参加者は十分千曲市を満喫できたようで、「今回初めて千曲を訪れたが夜まで見どころが多く驚いた」「とても楽しかったので次の旅先の候補地として人におすすめしたい」などの声が寄せられていれた。
ツアーで千曲市内を案内した芸妓の真珠子さんは「普段は芸妓として主に旅館内で観光客の皆さんと交流しているが、今回は外に出て千曲市内の見どころを案内させていただいた。千曲のよさが伝わったようでこちらも嬉しい」と語る。
今回のツアーは磨き上げを行った後商品化される予定。またツアーで巡った場所を含む市内のおすすめスポットをまとめた「千曲旅ガイド」も来年1月に発行される。
昔ながらの街並みや伝統を活かしつつ、ツアーの醸成やロケ実績の活用など観光客誘致のための新たな取り組みにも力を入れている千曲市。人気観光地として飛躍する未来もそう遠くはないのかもしれない。