映画『花戦さ』
「原作を読んで、これは今までのようには
いかないぞと思いました」……篠原哲雄監督
「撮影自体がドキュメンタリー番組に
なりそうですよね」……八木亜希子さん
池坊と三千家が監修
専門家の度量に敬服
花をもって豊臣秀吉に挑んだ華道の家元・池坊専好の戦いを、超豪華キャストで描く『花戦さ』。さまざまな美学がぶつかり合う撮影現場では、どのような“戦さ”が繰り広げられていたのか。生け花を中心に据える世界初の映画に挑んだ篠原哲雄監督に、八木さんが笑顔で斬り込みます!
八木
『花戦さ』、拝見しました。華やかでした〜。これまで、華道に焦点を当てた映画はなかったのではないでしょうか?
篠原
おそらく初めてだと思います。長い間、一緒に仕事をしていたプロデューサーからのオファーだったこともあり、花で権力と戦う話は面白そうだ、とすぐに引き受けました。
八木
原作を読まれて、これは大変だぞと思ったりされませんでした?
篠原
思いました、思いました。今までの作品のようにはいかないぞ、どうなっちゃうんだろう、と。自分の中でどう消化していけばいいか分からなかった。ただ、京都に行ったり、池坊さんに会ったりするうちに、だんだん「いけるな」という気持ちになっていったんです。花は池坊、茶は表千家と、それぞれの専門家が監修してくれるので、安心して乗っかればいいのかもしれないと思ったんですね。
八木
でも、それぞれの美学があるだけにまとめていくのは大変だったのでは? 型があることが、演技の上でしばりになることはなかったのでしょうか。
篠原
それはありましたね。例えば茶の湯のシーンで、このタイミングならセリフを言うときも前を見てはいけないと言われたりして、最初は千利休役の佐藤浩市さんも戸惑っていたようです。ただ、ルールの中で物を言うのが時代の定めならば、それはそれで守ればいいのではないかと思い、極力従うようにしました。その場にずっといてくださるので、逆に助かりましたよ。
八木
所作を教えてくださる安心感がありますよね。
篠原
池坊の先生から言われたのは「基本的に生け花は正面から見て最も美しく見えるように生けてある」ということ。先生たちはモニターをチェックして、きれいに見えるよう花の角度に注文を出されるんです。
八木
お芝居の中でなら、後ろが見えてもリアルでいいのではないかと思いますけど、少しでも美しく見せたいということなのでしょうね。
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映画『花戦さ』
【Story】
16世紀の京都。立花の名手といわれた花僧・池坊専好は、織田信長の前で花を生け、居合わせた千利休らに強い印象を残す。このとき思わぬ失態で打ち首になりかかった専好を救ったのは若き秀吉だった。12年後、専好と利休は互いの道を高め合う関係になっていた。一方、天下を取った秀吉の傲慢さは目に余るものに。おごりをいさめようとした茶頭・利休まで自害に追い込まれる。見かねた専好は、秀吉に一世一代の戦さを挑むのだった。刀ではなく花を手に。
【作品詳細】
『花戦さ』
脚本:森下佳子/音楽:久石譲/監督:篠原哲雄
原作:鬼塚忠『花戦さ』(角川文庫刊)
キャスト:野村萬斎、市川猿之助、中井貴一、佐々木蔵之介、佐藤浩市、
高橋克実、山内圭哉、和田正人、森川葵、吉田栄作、竹下景子ほか
■篠原哲雄監督
1962年、東京都生まれ。助監督を経て93年に『草の上の仕事』で監督デビュー。主な監督作品に『月とキャベツ』(96年)、『はつ恋』(2000年)、『天国の本屋~恋火』『深呼吸の必要』(04年)、『地下鉄(メトロ)に乗って』(06年)、『山桜』(08)、『真夏のオリオン』(09年)、『小川の辺』(11年)、『起終点駅ターミナル』(15年)などがある。
■八木亜希子
神奈川県出身。フジテレビアナウンサーとして活躍したのちフリーランスに。キャスター、女優。フォニックス所属。かながわ観光親善大使も務める。ニッポン放送『八木亜希子 LOVE&MELODY』ほか、女優としても、映画『みんなのいえ』(01)、連続テレビ小説『あまちゃん』(13)、ドラマ『昼のセント酒』(16)、大河ドラマ『真田丸』(16)、ドラマ『カルテット』(17)、映画『サクラダリセット』(17)ほか出演。