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インタビュー&コラム

■クリエイターインタビュー

日曜劇場で『VIVANT』や『マイファミリー』『ドラゴン桜(2021)』『義母と娘のブルース』シリーズなどヒット作を次々プロデュースする飯田プロデューサー。「エンドロールに名前が載ることがテレビドラマならでは。スタッフだけでなくその家族も喜んでくれるのが嬉しい。」と語る。現在放送中の日曜劇場『アンチヒーロー』の製作企画の経緯やプロデューサーとしてどのように作品に携わってきたのかを聞いた。

――『アンチヒーロー』は先週6話で折り返ししました。いよいよ今夜後半戦がスタート。7話以降の見どころを教えてください。

5話の冒頭で、長谷川博己演じる主人公・明墨と野村萬斎演じる伊達原が師弟関係だった事実が発覚しました。また、紫ノ宮(堀田真由)の父親を逮捕させるよう動いたのも伊達原だと分かり、伊達原の存在感は高まっています。伊達原は明墨が徐々に真相に近づいていることを感じ、明墨の前に立ちはだかります。7話以降は、キャスト発表時にシンゴジラ対決などと言われていましたが、見応えのある明墨対伊達原の対決をお届けできそうです。また、先週の6話の終わりで、明墨がついに「ターゲットは瀬古(神野三鈴)」と明確に言い切りました。前半のそれぞれの事件が6話でやっと繋がり、7話からはどんどん急展開へと進みますので、引き続き楽しんでみていただけると思います。

©TBS

 

――『アンチヒーロー』の企画からどのように脚本に反映していったのですか?

まずとにかく何が起こるかわからない、ハチャメチャな感じ、みんなから「わけわからない」と思われるような脚本にしたいなと思いました。また劇中にはいくつも事件が出てくることが想定されたので、事件のバリエーションなどアイディア勝負なところがありました。脚本家が一人だと行き詰ってしまう可能性もあったため、複数人でやろうと決断しました。日曜劇場『VIVANT』の時に、福澤監督の元で複数名で脚本を作りました。次から次へと興味を持続させる脚本作りに成功したので、その時のノウハウを活かして、その脚本家たちを中心にチームを組みました。まずはみんなで考えて、そこから徐々にそれぞれの得意な部分や題材をうまく組み合わせながら作り上げました。脚本で気を付けたことは、明墨が依頼人を無罪にするための方法として、法外な捜査にはしないということです。GPSをターゲットに忍ばせたり、ターゲットの証拠となるやり取りを隠し撮りしたりという程度で、「どこまでがダークだろう?」「このぐらい現実的にやってるかもな」と思えるギリギリなリアルを攻めています。ハッキングとか、そういう超人的な何かみたいなことは一切してないんです。

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――明墨、赤峰(北村匠海)、紫ノ宮など明墨法律事務所のメンバーの名前に色がついているのも企画段階で考えられたんですか?

そうですね。視聴者のみなさんがすごく気になってくれているみたいですね。実は、緋山(岩田剛典)の名前は、当初「檜山」だったんです。たしか1話の準備稿の時はまだ檜山のままだったと思います。その後も明墨と関わっていくことも考えて、緋色の「緋」にしようとなったんです。他の登場人物でも色の名前の人もいますが、物語にはどう絡むでしょうかね(笑)

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――演出の一人でもある田中健太さんとは同期と伺いましたが、本作『アンチヒーロー』には影響しているでしょうか?

田中監督はとてもマジョリティーな感覚を持っていて、客観的に見て面白いか面白くないかっていうのをよくわかっています。その点、僕は理屈っぽくなってしまったり、世界観や作品のスケール感が小さくなってしまうところがあるんです。その点彼は、大胆な意見をポンと出してきたりするので助かっています。例えば1話の一ノ瀬ワタルさんのキャスティング案は田中監督からの提案でした。阿吽の呼吸というものかどうかはわからないですが、田中監督のそういう感覚的なところも信頼しています。

それに、同じドラマ部の同期ということで少し特別です。2005年に入社して、僕も田中監督も1年目は、バラエティ番組の担当で、特に田中監督はかなりハードな現場でした(笑)。その後同じタイミングでドラマ部に異動となり、僕は磯山プロデューサーのドラマ『吾輩は主婦である』(2006)、田中監督はドラマ『クロサギ』(2006)から、ドラマ人生をスタートさせました。その後、ドラマ『最高の人生の終わり方〜エンディングプランナー〜』(2012)や日曜劇場『半沢直樹』(2013)『陸王』(2017)『集団左遷!!』(2019)『マイファミリー』(2022)などで同じ現場を経験しました。

今回は、長谷川(博己)さん主演の日曜劇場『小さな巨人』(2017)で田中監督がチーフディレクターを担当していて、「長谷川さんはこういう風にしたらすごく魅力的になる」と現場で話しています。今まで色々な現場を僕も田中監督も経験してきて、お互い共有できることが非常に多いので、全部理解できるんです。「そのシーンのここのこういう感じがね」とか「いやこっちじゃない」というような感覚的な会話が、割とストレスなく通じるところはありますね。

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――プロデューサー自らXでよく発信していますよね。作品の宣伝として効果的に活用されているのですか?

リアルタイム視聴や配信などの視聴方法に結びつくための宣伝方法は、まだまだ模索中です。今回は1話を放送した翌日の月曜日にすぐ試写会を実施したことで、翌日すぐに記事になりました。このタイミングで話題になったことで、その後1日空いて情報番組でも取り上げてくれました。そういったこともあり、割と長くニュースフィードでざわざわしている状態を作り出すことが、今の世の中を見ていると大事なんだろうなと考えます。

他には、Xの盛り上がりは以前よりも増して必要なこととして、自分でもポストしています。今はいろんな形で情報を得ることができるからこそ、新しい情報の解禁だけでなく、わくわくするような自分が知らないことが発信されると思うことで、視聴者の方に盛り上がってもらうことを大事にしています。Xは誰でも手軽にポストできますので、投稿によってはネタバレされちゃいますよね。投稿される前に観なきゃと、リアルタイム視聴に繋がっていくんだろうなと思っています。

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――企画から立ち上げて、作品を世の中に届けるまで見届け、ヒットさせるというのがプロデューサーの仕事ですね。プレッシャーもあると思いますが、プロデューサーでよかったと思う瞬間はありますか?

俳優さんやスタッフから「この番組をやってよかったです」とか「エンドロールに名前が載ったと親が喜んでいる」と嬉しそうに報告してくる時ですね。エンドロールに載るとかは、テレビの仕事に携わっているからこそ感じるやりがいですよね。自分の名前が出るのは、やっぱりすごくいいなと思います。他には、ドラマを担当してるカメラマンが「映画関係の知り合いから、映像が素晴らしいって連絡あったんです」という報告を聞いた時、携わった作品を通してカメラマンが外の世界でも評価されていることが、とても嬉しかったです。

 

飯田和孝プロデューサー

 

日曜劇場『アンチヒーロー』はいよいよ折り返し。主人公・明墨の思惑に迫っていきます。12年前の事件や今までの登場人物がどのように絡み合っていくのか、物語が動きます。最後まで見逃せない瞬間が続きますので、瞬き厳禁で楽しんでください。

 

★前回のインタビューはこちら⇒「日曜劇場『アンチヒーロー』第6話がいよいよ今夜放送!「そろそろ始めましょうか」長谷川博己演じる主人公・明墨がすべてをあぶりだす?!無罪にした緋山の事件の真の目的とは

 

 

【あらすじ】

長谷川演じる弁護士は、たとえ犯罪者である証拠が100%揃っていても無罪を勝ち取る、「殺人犯をも無罪にしてしまう」“アンチ”な弁護士。ヒーローとは言い難い、限りなくダークで危険な人物だ。しかしこのドラマを見た視聴者は、こう自問自答することになるだろう。「正義の反対は、本当に悪なのだろうか・・・?」

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日曜劇場『アンチヒーロー』
放送:毎週日曜 21時00分~21時54分(TBS系)
現在放送中
出演:長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、木村佳乃、野村萬斎 ほか
©TBS
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