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インタビュー&コラム

■クリエイターインタビュー

映画『追憶』

「日本海の荒波に日本人の故郷を感じます」
……降旗康男監督
「北に行く人は人とのつながりを
求めると聞きました」
……八木亜希子さん

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中年に向かう俳優の中から
次の世代の高倉健が出れば

八木
今日は、映画の歴史と共に歩んでこられた監督との対談ということで緊張します。

降旗
いやいや、僕が歩いてきたのは脇のほうですから(笑)。

八木
いやいや、王道じゃないですか(笑)。
最新作の『追憶』を拝見させていただきましたが、すぐに引き込まれて、
あっという間に観終わったという印象でした。オリジナル作品ですが、
どのような経緯で手がけられたのですか?

降旗
以前は、何も撮っていない期間でも、
どうせ健さんの映画の準備をしているのだろうと思われて、
あまり企画は持ち込まれなかったんです。
持ち込みが増えたのは最近で、本作もその中の一本です。

八木
健さんという存在を失ってから、
映画に取り組む心持ちに変化はありましたか?

降旗
それはありますね。
それまでは、健さんが映画をやりたいと言ったときには用意していないといけないという気持ちが
いつもどこかにありましたから。

八木
そうでしたか。今回、持ち込まれた中からこの一本を選ばれたのはなぜですか?

降旗
面白い作品になりそうだと思ったからです。半年かけてああでもないこうでもないと検討し、
クランクイン後もまだ作り変えたりして面白い経験でした。
それから、若者から壮年に差し掛かった俳優さんたちの中から
次の世代の高倉健が出てくれればいいなという思いもありましたね。

八木
「次の世代の高倉健」と聞くだけで、役者さんたちは身が引き締まる思いでしょうね。
健さんの片鱗が見えるのは、どういう俳優さんでしょう。

降旗
どんな俳優さんにもその要素はありますよ。
今回はたまたま岡田准一さん、小栗旬さん、柄本佑さんだったけど、
それぞれの形で健さんになれる素質のある方たちだなぁと改めて思いました。
それが撮影の楽しみでもあったしね。

八木
現場を離れた場所での発見もありました?

降旗
今回のキャストはお酒が好きな人ばかりだったんです。
僕はいい年なので、深酒すると翌日の撮影に差し障りがあるから遠慮しましたが、
キャメラマンの木村大作さんが一手に夜の部を引き受けてくれて。
翌朝、木村さんの話を聞くと「そんな面白いところのある人たちなのか」と思うわけです。
そういう部分が映画にもうまい具合に出ればいいなと思いながら仕事をしていました。

八木
エピソードを聞いて撮り方を変えることも?

降旗
僕の場合、最初から決めたやり方はなくて、全て撮りながら決めていくんです。
昨夜の面白かったことも場面になる。そういうのが楽しいんですね。

 

続きは本誌でご覧ください!

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映画『追憶』

【Story】
13歳の四方篤(岡田)は、同様に恵まれない環境の田所啓太(小栗)、
川端悟(柄本)とともに、軽食喫茶を営む仁科涼子(安藤)と、
店のなじみ客の山形光男(吉岡)を慕って家族のような日々を送っていた。
しかし、ある事件をきっかけに幸せな日々は終わりを告げる。
25年後、刑事になった篤は、遺体となった悟と対面。
捜査の過程で容疑者として浮かんだのは啓太だった。
刑事、容疑者、被害者として再び交わる3人。
封印したはずの過去と対峙する中、衝撃の事実が明らかになる。

 

【作品詳細】
『追憶』
監督:降旗康男 撮影:木村大作
出演:岡田准一、小栗旬、柄本佑、長澤まさみ、木村文乃、安藤サクラ、吉岡秀隆ほか
©2017映画「追憶」製作委員会
http://tsuioku.jp/
5月6日(土)全国ロードショー

【PROFILE】

■降旗康男
1934年、長野県生まれ。東京大学文学部仏文学科卒業後、東映東京撮影所入社。
66年『非行少女ヨーコ』で監督デビュー。
『新網走番外地』シリーズ、『駅 ST ATION』(81)、『鉄道員(ぽっぽや)』(99)、
『ホタル』(01)、『あなたへ』(12)、『少年H』(13)など数々の作品を手がける。
日本アカデミー賞最優秀監督賞など受賞歴も多数。

■八木亜希子
神奈川県出身。フジテレビアナウンサーとして活躍したのちフリーランスに。
キャスター、女優。フォニックス所属。かながわ観光親善大使も務める。
ニッポン放送『八木亜希子 LOVE&MELODY』ほか、女優としても、
映画『みんなのいえ』(01)、連続テレビ小説『あまちゃん』(13)、
テレビ東京系ドラマ『昼のセント酒』(16)、大河ドラマ『真田丸』(16)、
TBS系ドラマ『カルテット』(17)ほか出演。

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