主演・横浜流星/映画『ヴィレッジ』撮影現場の裏話を聞く!
プロデューサー2人が語る 藤井道人監督×横浜流星
京都府と兵庫県にまたがる1カ月強のオールロケで制作された映画『ヴィレッジ』。架空の「霞門村」を舞台に、環境問題、限界集落、若者の貧困、格差社会など現代日本の闇を描く本作でメガホンをとったのは、『新聞記者』『余命10年』など話題作を次々手がけてきた藤井道人監督だ。そして、主役の片山優を演じるのは、藤井監督とは映画やミュージックビデオや配信ドラマを含め6度目のタッグとなる横浜流星さん。今をときめくこの2人が、本作にどれほどの情熱をもって臨んだのか。その姿を間近で見つめ続けた行実良プロデューサーと吉田信一郎ラインプロデューサーが、撮影現場での様子を語ってくれた。
まず、今回初めて仕事をしたという横浜さんについて、2人が口を揃えるのは、クールなパブリックイメージが一転したということ。3章立てとなる本作では、各章で境遇や心持ちが大きく変わる優を演じるにあたって、横浜さんは外見だけでなく、歩き方や話し方、すべてにこだわった。その変貌ぶりは見事で、「朝会ったときに、『誰?』と思うこともありました」と行実プロデューサー。「一緒に仕事をするのが楽しかったです」と語り、「各章の終わりと次章の始まりの優の表情にぜひ注目してほしい」とその演技に太鼓判を押す。
一方、「横浜さんのファンになった」とド直球の感想を口にするのは吉田プロデューサーだ。「ものすごく真剣に作品に向き合う人だなと思いました」と現場の横浜さんの印象を語ってくれた。
そんな横浜さんと藤井監督が出会ったのは7年ほど前。もはや同志とも呼べる関係となっている2人の共通項は、妥協なく作品に取り組む真摯さだ。本作では、「優という人物を自分と横浜さんの分身にしたい」という監督の意向により、横浜さんが脚本作りから意見を伝え、ロケハンにも同行した。吉田プロデューサー曰く「藤井監督はいろいろなスタッフを巻き込みながら創造性を上げていく面白い人」
横浜さんも当然の如く巻き込まれたわけで、撮影現場では、2人が話しあったり、並んでモニターを見つめたりする姿が日々見られたという。「現場の2人は、まるで高度な球の投げ合いをしているよう。監督が豪速球を投げれば、流星さんがそれをしっかり受け取って球を投げ返す。すごい現場だなと思いました」と語る行実プロデューサーは、「これほど頑張っている人たちを今まで目の前で見たことがない」という表現で2人の献身ぶりに感嘆する。
なかでも2人の情熱が最も凝縮されたといえるのが、薄暮という厳しい時間的条件のなかで撮影されたラストシーンだ。絶望、悲哀、諦念、安堵など観る者によってさまざまなものを感じさせる優の表情は、2人が言葉と演技のキャッチボールを続け、ギリギリまでテイクを重ねて撮り上げた究極のもの。吉田プロデューサーの「辺りが暮れていく中、スタッフ全員が2人のやり取りを見守っている。すごい撮影現場でした」という言葉からも、現場の緊迫感や集中度が伝わってくる。
プロデューサー陣が敬意と自虐を込めて「究極のドM集団」と表現する妥協なき藤井組と、スタッフにも感銘を与える真摯な姿勢で臨んだ横浜さん。この強力タッグがどんな熱い作品を生んだのか。ぜひ、スクリーンで確かめてほしい。
STORY
能の伝統を受け継ぐ霞門(かもん)村。美しい村の風景に不似合いな巨大ゴミ処理施設で働く片山優は、過去のとある事件で周囲に蔑まれ、鬱々とした日々を送っていた。しかし幼馴染みの美咲が帰郷したことで、人生が変わっていき…。
映画『ヴィレッジ』
監督・脚本:藤井道人
キャスト: 横浜流星、黒木華、一ノ瀬ワタル、奥平大兼、作間龍斗、中村獅童、古田新太ほか
★公開中
©︎2023「ヴィレッジ」製作委員会
◉行実良 プロデューサー
1986年生まれ、山口県出身。スターサンズ所属。09年からプロデューサー業務に従事。22年に急逝したスターサンズの前代表・河村光庸に師事。
◉吉田信一郎 ラインプロデューサー
1984年生まれ、神奈川県出身。07年から制作業務に従事。近年では『AI崩壊』『キングダム』『HiGH&LOW THE MOVIE 2・3』などの制作を担当