大河ロケ地”制作者に一番やさしい県”へ
棚田と板倉の里 種蔵(岐阜県飛騨市)
「君の名は。」「麒麟がくる」の聖地がロケ誘致で大人気
地域間の連携でストレスフリーな撮影が可能に
映画「君の名は。」、大河ドラマ「麒麟がくる」、そして朝ドラ「半分、青い。」国内外で大きな話題となったこの3作品の”共通点”をご存じだろうか?
答えは、”どれも岐阜県にゆかりがある”こと。実は今、岐阜県は映像作品の舞台として地域の魅力を発信する熱いスポットなのだ。映画やドラマの制作者は通常、撮りたいシーンの内容のイメージを決めてからロケ地を検討する。ロケ地が広域に点在していると、まずそれぞれの地域の自治体に対して撮影申請の手続きや交渉をし、それから移動や食事、宿泊の手配。それには多くの労力や時間がかかる。
その問題を解消するため、岐阜県の16自治体が参加する「ぎふロケツーリズム協議会」では、地域間で連携したロケの受け入れ態勢づくりを2019年から行っている。広域にわたるロケでも、1つの窓口に相談すれば、自治体の垣根を越えたロケの相談が可能になったと大評判だ。
例えば時代劇や歴史モノには、大垣市の大垣船町川湊や、揖斐川町の横蔵寺。趣ある小道が必要なら可児市のかぐや姫の散歩道など、シーンに合った様々なロケ地の提案を受けることができる。
ほかにも、昭和レトロの雰囲気を求めるならば、岐阜市の柳ヶ瀬商店街や、美濃加茂市のぎふ清流里山公園、養老町の養老鉄道養老駅など。青春モノや学園モノにぴったりの場所も多数揃っている。
このように複数の自治体が連携することで、撮れるシーンのバリエーションが増え、効率よく撮影を進めることができる。自治体側も、「作品の聖地」となることで地域の魅力を発信しやすくなり、観光客の増加を期待できる。ロケを呼び込むため、制作者に対して助成金を支給する自治体もあり、まさにロケ誘致の最先端ともいえる取り組みを行っている。
16の自治体がそれぞれの資源の強みを生かし結束したことで生まれる作品は、ますます増えていきそうだ。「あの作品の聖地」として輝き続ける岐阜から目が離せない。