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権利処理
2022.07.20

「権利処理」の駆け込み部屋 VOL.31 “ロケツアーのタイトルに作品名を入れることに問題はある?”

ロケーションジャパンの人気連載、「権利処理」の駆け込み部屋をWEBで一挙公開!「撮影風景を写真で撮ってもいいの?」「お店の宣伝に使ってもいいの?」など、ロケの受け入れを行う自治体担当者やお店などから届く「権利処理」の疑問に対して、田中康之さんと國松崇さんが回答してくださいます!

Q

ロケツアーを行う際に、タイトルに作品名を入れて「○○(作品名)のロケ地ツアー」としたいのですが、問題はありますでしょうか?

 

A

作品名を使用して番組公認だと思わせるような形で商品展開すると、不正競争防止法違反や商標法違反に問われる可能性があります

 

田中 著作権の世界では、映画やテレビ番組のタイトルを主に「題号」と呼称します。ロケ地ではロケ作品の題号を使ってツアー造成したり、ロケ弁当と同じメニューで掛け帯紙に題号を印刷したりしてPRに繋げたいとの要望があります。「題号」は著作権法でどのような扱いなのでしょうか。

 

國松 「題号」は著作権法上,全体としての作品の一部だと考えられており,それ単体では保護されません。「題号」が著作権法上の保護を受けるためには,それだけで著作物性が認められるほどの創作性が必要です。よほど特徴的な要素でもない限り、通常は単体では短過ぎて表現に創作性がなく,保護は受けられないでしょう。

 

田中 著作権法では、映画・楽曲・本のタイトルには著作権は認められないのですね。では,「題号」を好き勝手にモジって使っても問題ないということになりますか。

 

國松 そうとも言えません。題号が作品の一部であることは確かなので,その範囲では保護されます。著作権法には著作者の権利として「著作者人格権」というものがあり,そのような「モジり」は,その一つである「同一性保持権」,つまり意にそぐわない改変をされないという権利を侵害する可能性があります。

 

田中 余計なくだりを加えずにそのまま使うことが大切ですね。また、フォントや活字のデザインもそのまま使ってもいいのでしょうか。

 

國松 「○○のロケ弁になった弁当です」といった事実ベースの表現であれば問題ありませんし、その範囲ならフォント等も気にしなくていいでしょう。ただ,作品名を使用して番組公認だと思わせるような形で商品展開すると,不正競争防止法違反や商標法違反に問われる可能性がありますので注意が必要です。

 

田中 なるほど。法律上問題ないからとって,どんなことでも許されるわけではないですよね。ロケツーリズムで利用する場合には,やはりロケ作品の管理責任者との意思疎通が大切だと思います。実際のやりとりについて詳しくはWebで解説します。

 

=====以下、Web版のみ掲載=====

田中 ロケ隊にロケ弁を提供するときに「激励メッセージ」を書き込んだ作品名付きの掛け帯紙などを作成していることがあるのですが、それをロケ撮影が終わってから再利用して、一般に販売するロケ弁の販促に利用されているところがあります。

 

國松 面白い取り組みですね。どういった点に注意して進めているのでしょうか。

 

田中 ロケ弁を再現した情報発信については、宣伝計画に影響を与えないように配慮が必要なのはもちろんですが、それに加えて、過度なフリーライド(ただ乗り)にならないよう、たとえばロケ弁提供時にその後の利活用の期間や範囲、掛け帯紙のデザインなどについて制作側との合意形成しておくなどの配慮が大切かなと思います。

 

國松 そうですね。あたかも作品の公式商品かと思わせたりするような、露骨に商品と作品を結び付けたもの、あるいは出演者や作品のシーン写真などを掲載したものは、安易にやると著作権やパブリシティ権の侵害、そのほか不正競争防止法違反などが問題になり得ると思われます。

 

田中 そのあたりの話は「権利処理」の駆け込み部屋VOL.26でも掲載していますが、ロケ弁同様に、単にロケ作品の題号のみを使ってツアー造成するような場合も、法律上問題ないからとって、どんなことでも許されるわけではないですよね。

 

國松 そうですね、やはり、大々的に展開するのであれば、リスク管理の観点から、ロケ作品の管理責任者との意思疎通が大切です。合意形成する相手は、最終的には作品のプロデューサーということになりますが、申入れの窓口は、制作部(ロケの手配などの役割を担うスタッフ)の担当者や、宣伝担当になります。

 

田中 合意の記録を残すには、メールでのやりとりで十分でしょうか。新たに契約書を結ぶ必要がある時はどのような時でしょうか。

 

國松 ケースバイケースなので、ハッキリと線が引けるわけではありませんが、感覚的には、個別の店頭での小規模な販促の場合には、窓口担当とのメールでのやりとりを保存しておくことで十分かと思います。一方で、後日イベントやネット販売など大規模な販売展開を予定している場合には、担当だけではなく、作品の権利を保有する法人から明確な許可を得たことを残しておくために利用契約を結ぶことを推奨いたします。

 

田中 社会通念上の許容上限は明文化されたものがない以上、法律的に問題がないと開き直って企画を進めるのはやはり危険です。やりたいことの全貌を正確にプロデューサーに事前相談して合意形成をしておくことがトラブル回避の鉄則だと思います。そのためにも、事前にどのようなロケ地活用をするのかをしっかり準備しておくことが大切です。何事も思いつきや事後報告は避けて、余裕をもってプロデューサーと合意形成をしましょう。

 

■ 回答者プロフィール
権利処理_20190912_01 (1)

 

 

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