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権利処理
2021.01.18

「権利処理」の駆け込み部屋 VOL.23 “ロケツーリズムの活動の記事をデジタルスキャンしてSNS発信することは可能?”

ロケーションジャパンの人気連載、「権利処理」の駆け込み部屋をWEBで一挙公開!「撮影風景を写真で撮ってもいいの?」「お店の宣伝に使ってもいいの?」など、ロケの受け入れを行う自治体担当者やお店などから届く「権利処理」の疑問に対して、田中康之さんと國松崇さんが回答してくださいます!

Q

ロケツーリズムの活動を雑誌や新聞に記事掲載されました。それをデジタルスキャンしてSNSで発信したいのですが、どのようにしたら発信できますか?

 

A

田中
雑誌や新聞の記事をデジタルスキャンする行為は、著作物の「複製」にあたります。よって、複製するためには通常著作権者の「許諾」が必要となります。そして、SNSへ投稿する行為は「自動公衆送信」となり、やはり「許諾」が必要となるのが原則だと思います。

 

國松
テキストは「言語の著作物」、写真は「写真の著作物」、イラストは「美術の著作物」といったように、雑誌や新聞に掲載されているコンテンツは、それぞれが一つの著作物です。したがって、著作者あるいは出版社・発行者等の法人が著作権を保有ないし管理しています。なので、デジタルスキャン+SNS配信を、これらの著作権者の許諾なくやれば、「複製権」、「自動公衆送信権」を侵害するということになってしまいます。

 

田中
それでは、これらの行為を「許諾」を受けずに発信する方法はないでしょうか?例えば、著作権法上、著作権者の許諾を要しない「引用」や「写り込み」として利用する方法はありませんでしょうか。

 

國松:「写り込み」については、その記事や写真そのものをSNSで利用しようとしている時点で、「写り込み」にはなりません。「引用」については、理論上適用の可能性はありますが、「この雑誌に紹介されました!」という内容だけでPR的に使うのは、残念ながら「引用」に当たらないでしょう。

 

田中
やはり短い投稿を前提とするTwitterやInstagramなどでは、「引用」を主張するのは難しそうですね。ただ、取材して記事化してくれたということは、普通はこちらに好意的な印象を持っていると思います。よって、何か他の商品やイベントの宣伝に露骨に紐づけたりしない限り、許諾を出してくれるケースはあると思います。また、ロケツーリズムの活動を記事にしてくれた雑誌や新聞のWeb版のURLをリンクするのも方法の一つです。詳しくはWeb版で解説しています。

 

=====以下、Web版のみ掲載=====

 

田中
雑誌や新聞の記事をデジタルスキャンしてSNSに合法的に投稿するには、「引用」の要件を満たせば投稿は可能ですが、なかなか投稿文の構成が難しそうです。ほかに何か良い方法はありますでしょうか。

 

國松
確かに、TwitterやInstagramなどのSNS投稿は文章が短いので、利用したい素材の内容にきちんと投稿内容を関連付けるのは難しく、そもそも「引用」とはあまり相性がよくないツールかも知れませんね。たとえば、紹介したい記事がWEBで公開されているものだったら、その記事のURLを記載し、いわゆる「リンク」の形で誘導することはひとつの方法だと思います。

 

田中
インターネット記事のリンクは、許諾なしで可能なので実施可能ですね。リンクには、ユーザーにリンク先のURLをクリックさせて単に誘導するものと、技術的にリンク先の画像や映像をリンク元に表示させ、ページを遷移することなくリンク元で閲覧することができる「インラインリンク」(いわゆる「埋め込み機能」を利用したリンク)というものがありますが、許諾が必要ないというのはどちらも変わりありませんか?

 

國松
やや技術的な話になりますが、「インラインリンク」であっても、①リンク先の画像や映像が、リンクを貼った方のウェブサーバー上に「複製」されるわけではありませんし、その結果、②自分のサーバーからユーザーに「自動公衆送信」がされるという構図にもならないため、複製権、自動公衆送信権のいずれも侵害しない、というのが現在の著作権法及び判例の解釈です。したがって、埋め込み機能が使われていたとしても、単にリンクを貼るのと変わらず、著作権侵害にはなりません。
(※)インラインリンクと同じようなツールとして、Twitterのリツイート機能があります。写真や画像を含む元tweetをリツイートすると、自分のタイムライン上にも元tweetの写真や画像が表示されますが、これは上記と同じ理論で「著作権侵害にはならない」、と考えられています。ただ、リツイートによって自分のタイムライン上に表示される元tweetの写真や画像は、Twitterの仕様上、一部分表示されないことがあり、その表示が欠けた部分に写真や画像の著作者表示があったような場合には、著作者人格権(氏名表示権)の侵害になり得る、とする最高裁判例(最高裁・令和2年7月2日判決「リツイート事件」)があります。

 

田中
相談内容とは少し離れますが、違法にアップロードされた画像や動画のリンクを貼る行為は、違法サイトへの誘導として問題視されることがあります。このあたりは今どのように整理されているのでしょうか。

 

國松
「リンク」を貼る行為が著作権侵害にはならないというのは現在も変わりません。しかし、ページのアクセス数を稼ぐために大量のドラマや漫画を無断でアップロードしている違法サイトが増えるとともに、このような違法アップロードサイトにリンクを繋げて誘導する、いわゆる「リーチサイト」と呼ばれるサイトが近年問題になっていました。前者は著作権侵害で立件ができますが、リンクが著作権侵害にならないとすると、後者の「リーチサイト」は明確に違法だとはいえないところが厄介なところだったんですね。そこで、2020年に著作権法が改正され、違法アップロードされたページに誘導をかけるリーチサイトの運営や、リンクの提供行為が、刑事罰の対象になりました。詳しくは文化庁のホームページを参照してください。

 

 

田中
リンク機能を使う場合には元サイトをよく確認し、違法アップロードがされているサイトではないか、きちんと調べておくことが必要ですね。いわゆる公式サイトであればそのような心配はないでしょうから、リンクを貼る場合は、原則雑誌や新聞の公式サイトを使い、個人の投稿にリンクで繋げるのはできるだけ避けた方が安全ですね。あとは、Twitterのリツイート機能を使う場合には、リツイートによって自分のタイムラインに表示される元tweetの写真や画像がどう変わっているか、念のためよく確認した方がよいということですね。
※リツイートの著作権侵害事例は『「権利処理」の駆け込み部屋』バックナンバー VOL.21を参照ください。

 

「写り込み」の範囲が拡大

○写真を撮影したところ、本来意図した撮影対象だけでなく、背景に小さくポスターや絵画が写り込む場合

 

○街角の風景をビデオ収録したところ、本来意図した収録対象だけでなく、ポスター、絵画や街中で流れていた音楽がたまたま録り込まれる場合

 

○絵画が背景に小さく写り込んだ写真を、ブログに掲載する場合

 

○ポスター、絵画や街中で流れていた音楽がたまたま録り込まれた映像を、放送やインターネット送信する場合

 

 

でも「写し込み」はNG
○本来の撮影対象として、ポスターや絵画を撮影した写真を、ブログに掲載する場合

 

○テレビドラマのセットとして、重要なシーンで視聴者に積極的に見せる意図をもって絵画を設置し、これをビデオ収録した映像を、放送やインターネット送信する場合

 

○漫画のキャラクターの顧客吸引力を利用する態様で、写真の本来の撮影対象に付随して漫画のキャラクターが写り込んでいる写真をステッカー等として販売する場合

 

著作権と引用の5条件! 動画や歌詞を掲載する場合の注意点とは?

 

■回答者プロフィール
権利処理_20190912_01 (1)

 

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