「聖地巡礼」で町おこしを狙え! ロケツーリズム協議会で地域×制作者のマッチング大会開催
映画・ドラマ・情報番組のロケをきっかけに地方創生を目指す地域と、ロケーションを探している制作者が商談する「第1回ロケツーリズム協議会・マッチング大会」が5月23日に渋谷キューズにて開催された。
協議会には200人が参加。今回の目玉であるマッチング大会には地域22団体と制作者56人が参加し、各地域がまちの魅力を売り込んでいた。中には首長自らアピールする地域もあり、市長就任後初めて参加した千葉県茂原市・市原淳市長は「制作者の提案が具体的で驚いた」とコメントしていた。
「マッチング」で作品が続々誕生
ロケツーリズムとは映画・ドラマのロケ地を訪ね風景と食を堪能し、 人々のおもてなしに触れ、その地域のファンになってもらうこと。現在公開中の劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』で大勢のファンが舞台の函館に“聖地巡礼”に行っていることからも、作品は地域に大きな経済効果をもたらすことやシティープロモーションにつながることがわかる。
ロケツーリズム協議会は2016年度より観光庁の「テーマ別観光による地方誘客事業」に選定されたことをきっかけに発足、19年からは一般社団法人として活動している。マッチング大会は過去に足立紳監督の映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』(2023)×岐阜県飛騨市、道枝駿佑(なにわ男子)主演のドラマ『金田一少年の事件簿』(2023)×静岡県伊東市、西伊豆町などが決まっており、地域の盛り上げに一役買っている。
5月23日の協議会に登壇した観光庁観光資源課文化・歴史資源活用推進室長の遠藤翼さんは、
「現在日本には数多くのお客様が来ており、その数はコロナ前に迫る勢いです。一方で東京、京都、大阪というようなゴールデンルートに旅行客が偏在しているという状況はいまだ変わらず、もっと地方の魅力を国内外の様々な方々に伝えていかなければと考えています。訪れた方々ができるだけ長く滞在し、様々なアクティビティを楽しむために、1年で終わるのではなく中長期的に自立していけるような取り組みにしたいです」
と、ロケツーリズムの効果に期待を寄せる。
ロケを活用し「シティープロモーション」に
協議会には岩手県久慈市の遠藤譲一市長、千葉県茂原市の市原淳市長、岐阜県飛騨市の都竹淳也市長、静岡円下田市の松木正一郎市長、西伊豆町の星野淨晋町長、長崎県島原市の古川隆三郎市長、宮城県登米市の丸山仁副市長も駆け付け、制作者に自ら地域をPR。
参加した西伊豆町の星野町長は、
「世間では西伊豆町を知らない人も多いと思います。人口は7000人を割り込んで、高齢化率は50%超。ただ町外に出た方が“やっぱり西伊豆へ戻りたいな”“移住したいな”と思ってほしいので、そのきっかけとしてここで情報発信をすることが必要だと感じています。これからは町のシティープロモーション含めて皆さんが地元に住んで良かったと思えるような橋渡しができる作品を作っていきたいです」
と意気込む。また市内で大規模ロケが行われた映画『雑魚どもよ、大志を抱け』が昨年公開された岐阜県飛騨市の都竹市長は、
「飛騨市は東京から遠いのでCMやドラマを沢山撮るというよりは腰を据えて映画を撮るという人がほとんどです。そのため映画『雑魚どもよ、大志を抱け』に続き、じっくりロケ実績を増やし共に良い作品にすることを重視しています。そのため受け入れ体制は完全な画を撮れるように準備し、制作者からの質問には基本的に全部お答えするようにしています」
と、今後も制作者と連携して作品作りに取り組んでいくとコメントした。
制作者から「自治体の熱量がすごい」
参加した制作者は映画・ドラマ・情報番組とジャンルも様々。初めて参加した人からは「自治体の熱量がすごい」「こんな会があることに驚いた」との声が上がり好評。
映画『今はちょっと、ついてないだけ』やドラマ『さらば、佳き日』を手掛ける柴山健次監督は、
「映画『今はちょっと、ついてないだけ』の制作は協議会での出会いから始まりました。その後、地域の方々と協議会と一緒に作った映画が一本出来て、それが代表作になっています。ここにくると何か生まれるのではないかという期待がいつもあるので、協議会含め業界全体が盛り上がっていけたらと思います」
と今後の盛り上がりに期待を寄せた。