関東屈指のロケ地ホテルに、 大学生が“Z世代の視点”で本気プレゼン!
観光需要喚起で、ホテル業界にⅤ字回復が見られるようになっているが、2022年の総括としては、どのホテルもコロナウイルス感染拡大の影響下で苦境に立たされた一年だった。そんな中、ホテル単体の取り組みとして成果を上げたことで話題になったのが、関東屈指のロケ地ホテルと呼ばれる「ホテルスプリングス幕張」の事例だ。
当ホテルは、ブランディングや競合ホテルとの差別化のために2020年12月から映画・ドラマ・MVのロケ誘致を開始。ロケ地検索サイト「ロケなび!」から手法を学び、撮影実績を積み上げていった。翌年には、僅か1年でロケ実績50本以上の受け入れ件数を叩き出し、関東屈指のロケ地ホテルとして知名度を上げるだけでなく、ロケ実績を活用し本業の稼働に繋げ、Z世代が継続的に訪れるホテルとして注目を上げている。
その実績に着目したのが、メディアと地域・企業の連携による効果を研究材料にする目白大学メディア学部・牛山佳菜代ゼミ(以下、牛山ゼミ)だ。今回ロケ需要を利活用し、“ロケツーリズム”に力を入れている同ホテルの支配人、金田幸二総支配人とのタッグで、牛山ゼミの生徒たちによる『Z世代から見たホテルスプリングス幕張内ロケ地のさらなる活性化策の提案』が11月22日(火)、ホテルスプリングス幕張で行われた。
生徒らは、これまでも企業の課題解決のために出来ることを模索し、大学生ならではのアイディアを基に地域・企業に今後の企画・事業へのヒントを得る場としてこれまで様々なプロジェクトを実施してきた。
今回は学生たちから“ロケツーリズム”に関心を寄せる声が多かったことから、特別プレゼンテーションが実現。当日は、2年生10名が3班に分かれ、Z世代ならではの発想で、ロケ実績を活かしたホテルスプリングス幕張の新たな展開案を提案した。各班の発表内容は下記の通り。
1.「わたしたちの夢語ります!」(チームまくはりこ)
<内容>“はとバスツアーとコラボしたツアー”と“レンタルルームとして部屋を貸し出すプラン”の2つを提案。自らもアイドル好きだと公言する発表者たちが、自身の「オタ活」(オタク活動の略。推しているコンテンツを応援する活動のこと)を基にプランを考えていた。
2.「推しを探せ!inホテルスプリングス幕張」(チームグンカン)
<内容>“最新のAR技術を使ったホテル内スタンプラリー”を提案。ホテルスプリングス幕張の公式SNSのフォロワーを調査し、実際の来訪者の特徴や年齢層などを分析することで、どのように訴求すれば効果的かを論理的に見出していた。
3.「ホタ活~オタクによるオタクのためのホテル活用プラン~」(チームプリンさん)
<内容>今流行の「ホカンス」(ホテルに泊まりながらバカンス気分を味わうこと)とオタ活を掛け合わせた独自のプランを提案。ノンアルコールバー「Zer0 Bar(ゼロバー)」など未成年も大人の雰囲気を楽しめるような過ごし方を紹介していた。
発表終了後、金田支配人は「全体を通してホテルのことを自分たちなりに調べてくれているのが伝わる発表だった」とゼミ生たちを称賛。一方で、「将来性を考えてみるともっと良くなる」という今後に向けたアドバイスも。宿泊部・佐々木里奈部長は「ホテルの運営寄りの視点からも企画を考えてくれていてありがたい。」と感嘆していた。企画広報・琴岡祥子さんは「新たな発見が多かった。早速皆さんの意見を参考にしてみたい。」と感想を述べた。
牛山ゼミのゼミ長・沼倉直美さんは初めての発表を終え、「活性化の定義付けが難しかったが、“ホテルが儲かること”と“お客さんが来て盛り上がる”の二つの観点から企画を考えることができた」と安堵の表情。牛山佳菜代教授も「ゼミ生たちも多角的視点で考えるきっかけになり、今回のプロジェクトを行えてよかった」と話した。
今回のプロジェクトは大学とロケ地ホテルがコラボした初めての事例となった。今後も“学校×ロケ地”の新しい化学反応に期待したい。